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「コンクリート・レボルティオ~超人幻想~」新旧超人対談企画第1回 石森プロ編 早瀬マサト×會川昇

10月からスタートするTVアニメ『コンクリート・レボルティオ~超人幻想~』。制作スタッフが数々の超人を生み出してきたプロダクションとそのクリエーター陣を迎えた連続対談企画の第1回。

インタビュー
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――會川さんが印象に残っている石ノ森作品はどうですか?

會川 
『仮面ライダー』(71)に初めて出会ったときのことは鮮明に覚えています。幼稚園のとき「東映まんがまつり」を劇場に観に行って、『どうぶつ宝島』上映後の休憩時間中に配られたステッカーが初めてなんです。
そこにはサイクロンに乗ったライダーとさそり男と蜘蛛男が描かれていたんですが、そのときの第一印象はっきりと覚えていて「どれが主人公なのか分からん!」と(笑)。それぐらい仮面ライダーのデザインは挑戦的でインパクトがありました。

――仮面ライダーの顔は今となってはヒーローとして刷り込まれていますけど、当時としてはショックがあったと。

早瀬 
石ノ森先生にすれば「子ども心にズキュンと訴えるデザインでなければならない」ということなんでしょうね。
同じヒーローでもウルトラマンは「巨大ヒーロー」として見上げ憧れる存在として観ていましたけど、一方の仮面ライダーは“身近に潜む恐怖”のようなものを感じました。
今と違って昔は、夜になると家の周辺は真っ暗ですし、その闇のなかに本当に怪人がいるような気がして。だからよりリアルに感じられました。悪に立ち向かうのが、恐い顔をしたライダーというのも印象的でしたね。「本郷ライダー編」と呼ばれている最初の13話はかなり恐かったです。

會川 
仮面ライダーが身近な恐怖としてリアルに感じられたというのは、『コンクリート・レボルティオ~超人幻想~』を制作するなかで、私たちがまさに今追体験しているところです。
『仮面ライダー』が放送された70代初頭は学生運動が下火になるなかで、日本の中に不安要素が拡散していた時代です。そんななかで「怪人」は「どこかに悪さを企む大人がいるのではないか?」という当時の世相の不安を象徴していました。異形同士の対決、闇のなかで何者かが戦い合っているというのが当時ではリアルだったという気がするんです。

早瀬 
脚本家の市川森一さん(*)は「安易に“正義の味方”という言葉を使いたくない」とおっしゃっていたんですけど、当時の石ノ森先生も同じような思いがあったんだろうなと思います。『仮面ライダー』はある意味で「同胞殺し」の物語ですから、敵を倒すことによってどんどん哀しみが増していく。そのあたり面白いですよね。
*市川森一=『ウルトラセブン』『仮面ライダー』など数多くの特撮作品に参加した。

會川 
そのあたりは『サイボーグ009』など、石ノ森作品では変わらないですね。

早瀬 
そうですね。石ノ森先生は単純明快な正義のヒーローがいるなんて思ってなかったんでしょうね。どこか哀愁ただようヒーローばかりで、仮面も目から涙を流しているようなデザインが多かったりして。

會川 
いわゆる「涙ライン」ですね。

早瀬 
それでも一貫してヒーローを描いていたというのは、「正義」が冷笑されている時代だったから、逆に「伝えなければならない」という危機感があったのかもしれません。


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