“東北ずん子”をいかにアニメ化したのか? あにめたまご2017「ずんだホライずん」竹内監督×青木Pに訊く 2ページ目 | アニメ!アニメ!

“東北ずん子”をいかにアニメ化したのか? あにめたまご2017「ずんだホライずん」竹内監督×青木Pに訊く

本年度の「あにめたまご2017」では、枝豆を使った“ずんだ餅”をモチーフにしたキャラクター“東北ずん子”がアニメーション作品として登場する。本作について、竹内監督とワオワールドの青木清光プロデューサーに話をうかがった。

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――絵コンテを描いていく中で苦労した部分は?
竹内
歌まわりは苦労しましたね。絵コンテを描いている時にはまだ曲が無かったので、曲が出来上がってからコンテを調整し直しましたし、曲に合わせて振り付けたりすると演出側が作画をコントロールしすぎることになる。すると、原画マンの自由度が制限されてしまい、育成という観点からはふさわしくない。なるべく縛りすぎないようにする、というバランス調整が難しかったですね。

――その歌というのは、誰がどのように歌っているものなのでしょうか。

竹内
ボーカロイドとUTAU音源を使ってのオリジナル曲です。もともと主人公の東北ずん子、イタコ、きりたんの3姉妹に関しては音源があったんです。今回、そのほかのキャラクターたちも、新たに声優さんに音声を入れてもらい合成音源に仕上げてもらいました。それが5曲ほどあるので、見どころのひとつですね。

青木
合成音源のデータをもとに歌にしたことは、特殊なポイントだと思います。アフレコとは別に事前収録として各キャラクターごとに声優さんに声を入れてもらったんです。


――オリジナルソングも入って、盛りだくさんの内容ですね。本作は例えばどのくらいの年齢の視聴者を想定して作っていらっしゃるのでしょうか。

竹内
年齢層というよりは東北ずん子というキャラクターを応援してくれる方々に届けばいいなと思っています。とはいえあまり媚びたキャラクターにはしていないですし、僕の立場からすれば、このキャラクターを活かしたアニメを作るということと、このキャラクター使って若手原画のみなさんに腕を磨いてもらいたい、という思いが強いですね。

――キャラクターをアニメ用にデザインし直す際、なにかオーダーはしましたか?

青木
イラスト段階では線が多かったので、あにめたまご用に線を減らしてもらいました。また育成の観点からもキャラクターの線はあまり多くない方がいいだろうと。

竹内
線を減らしつつも、キャラクターのイメージから外さないように、というバランス調整はキャラクターデザインの鈴木さんも苦労したと思いますね。

――育成についてうかがっていきたいのですが、今回あにめたまごの用意した育成環境で作品を作ってみていかがでしたか?

竹内
そうですね、うち(スタジオライブ)でも若手作画に指導者を付けるといったことはやっていますが、あにめたまごほど厳密ではありません。あにめたまごでは、若手の原画をチェックする中堅原画を置くこととレイアウトシステムを義務づけているんですよね。

青木
今のTVアニメの制作現場でレイアウトをまず作るというところはほぼないと思います。時間短縮のためでもあるのですが、主流は最初にラフ原(大まかに描いた原画)で演技プランを決め打ちして演出なり監督なりのチェックに回してしまう。だからレイアウトを経験する場がほとんどないんですよ。

竹内
だからなのか、今回はレイアウトを作る段階で手が止まってしまったようです。レイアウトシステムというものを経験したことがないので、どうすればいいのかわからなかったようです。我々世代はこれが当たり前だったんですが今まで違うやり方で育ってきた彼らにとっては経験したことがなく難しかったようです。「背景原図と芝居のアタリを描いてください。タイムシートはまだつけないでください。」と、そんなに違いは無いと思うんですけど。



――若手原画さんの成長という観点では実感はありましたか?

竹内
そうですね。目に見えて伸びた人もいると思います。ただ、理解する、吸収するためには一度本人の腑に落ちないといけないので、そのスピードには個人差があるんです。今回の現場であまり変わらなくても、他の現場・他の人の教え方がすごくフィットして伸びる子もいますので、あまり強くこちらからは押しつけすぎないように気を付けました。注意し過ぎると、言われたことをなぞるだけになって思考が止まってしまう。だからできるだけヒント出すくらいで止めておこうと。

そんな中、チェックをしていて「おお!ここまでやってくるのか!」というような、本人の「こうしたいんです!」という思いのこもった上がりを見ると、受けとった側としては嬉しいですね。育成ですから、今回はあまり縛り付けすぎないようにと、外したらダメな部分はもちろんあるのでそれはダメ出しするんですが、本人がこうしたいなあと思ったことやって欲しい。その人の持つ作画の面白みや発想力を発揮してもらえたらなと。
《細川洋平》
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