「コンクリート・レボルティオ~超人幻想~」新旧超人対談企画第2回 円谷プロ編 坂本浩一×會川昇 2ページ目 | アニメ!アニメ!

「コンクリート・レボルティオ~超人幻想~」新旧超人対談企画第2回 円谷プロ編 坂本浩一×會川昇

放送直前に迫った「コンクリート・レボルティオ~超人幻想~」新旧超人対談。第2回は円谷プロ編として、坂本浩一監督と會川昇氏が対談!“今では消えてしまった超人たちを発見したい”

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■ いま次世代のウルトラマンに求められるもの

――おふたりとも「ウルトラシリーズ」など、円谷プロ作品に関わられています。近年のシリーズを観て、思うようなところはありますか?

會川
『ウルトラマンメビウス』(06)以降の「ウルトラシリーズ」を観ていると、僕が『ウルトラマンG』(91)に参加したころと比べると、かなり変わってきているなと感じます。
『G』では円谷プロさんのほうからも「古い怪獣を登場させるよりも、新しい怪獣をつくってほしい」との気持ちがあったんです。でも最近では、むしろ旧作の怪獣や歴代のウルトラマンを積極的に出していますよね。

坂本
そうですね。近年の「ウルトラシリーズ」の狙いとしては、“リブート”といいますか、「過去のウルトラヒーローを今の子どもたちにも知ってほしい」というのがベースにあると思うんです。僕個人としても、「僕が子どもの頃に夢中になったヒーローはこんなにカッコいいんだぞ!」と伝えたい気持ちは強くて。

會川
僕は『ウルトラマンX』を毎週楽しみに観させてもらっていますが、最近のウルトラマンの流れとしては異色だなと感じています。『ウルトラマンギンガ』(13)や続編の『ウルトラマンギンガS』(14)では、これまでのウルトラマンを集めていくといった流れがありました。『ウルトラマンX』では「ここで一度リセットしてしまうんだ」と感じたんです。これは「新しいヒーローをつくっていこう」という狙いがあるのですか?

坂本
子どもたちって、興味の移り変わりがとても早いんですよ。だからどんどん新しいものを提供していかなければならない。そこで新しいヒーローも必要だろうと考えています。
『ウルトラマンX』をつくっていて楽しいのは、やっぱり歴代のウルトラマンを登場させられることですね。僕が参加したウルトラシリーズからも、ウルトラマンゼロやウルトラマンギンガが登場したりして、かつての『ウルトラマンタロウ』や『ウルトラマンA』でのウルトラ兄弟の客演回を思い出させます。時代に合った新しいウルトラマンを打ち出しつつ、歴代のウルトラマンの魅力を伝えられる。非常に良いフォーマットですよね。


―おふたりともヒーローや超人たちが活躍する作品に数多く関わられてきました。現在そうしたキャラクターを描くうえで特に必要なことは何でしょう?

坂本
実験精神にあふれた作品もありますけど、僕は王道なヒーロー番組のほうが好きですね。作品をつくるときも、王道でありながら、時代に合わせて新しい要素を付け加えていく。そうしたスタンスがいいのかなと思っています。やはり根本的に外してしまうと、子どもたちの心には引っかからないと思います。

會川
今の日本では、「仮面ライダーシリーズ」「スーパー戦隊シリーズ」「ウルトラシリーズ」以外の特撮ヒーローって、ほぼつくられていないですよね。新しいヒーローはなかなか生まれづらい時代だといえます。
坂本監督は韓国で『GUNBLADE』という新しいヒーローを生み出そうとされていますけれど、どういった思いがあるんでしょう?

坂本
日本にいると気づきにくいんですが、日本の特撮って海外から見るとすごく特殊なんです。ガラパゴス的に独自発展を遂げている。そのなかで、今アメコミヒーローが世界中で人気なのに日本のヒーローは海外、特に欧米に輸出されることはほとんどない。それこそ僕が参加した『パワーレンジャー』ぐらいです。
こういう状況なので、日本の素晴らしい特撮文化を海外にも広めたいと思っています。過去にアメリカで『パワーレンジャー』をつくった経験を活かしつつ、海外展開を進めているところです。

會川
なるほど。『コンクリート・レボルティオ』(15)は海外配信をすることもあって、海外における特撮の消費のされ方について興味があるんです。かつて僕が参加した『ウルトラマングレート』も海外を視野に入れた作品だったんですが、そのときはごく一部の熱心ファンが観ている印象がありました。ウルトラマンの日本と海外で受容のされ方に違いがあるんですか?


坂本
ウルトラマンが海外に進出する際の問題のひとつは「ミニチュア特撮」なんです。とくに欧米圏ではこれが顕著です。僕たち日本人は、子どものころから『ゴジラ』や『ウルトラマン』から当たり前のようにミニチュア特撮を観ています。ところが海外の人からすると「何でおもちゃの街の中で戦ってるの?」と引っかかってしまう。ミニチュアを本物として見る文化があまり育っていないんです。
『パワーレンジャー』をつくっていたころは「戦隊ロボの巨大戦はなるべく短くしてくれ」といつも言われていたぐらいです。とくに今の子どもたちは、『トランスフォーマー』のようなリアルなCG映像を観ていますから、今後はどうウルトラマンの巨大感を表現していくかが課題になると思います。

會川
国内でそうしたミニチュアを撮る場合はどうですか。そのあたりの問題意識はあるのですか?

坂本
『ウルトラマンギンガS』は、本格的にミニチュアで撮る僕の初めての作品だったんですが、CGとオープン撮影のアオリカットとの合わせ技を使って、新しい映像表現にチャレンジしました。
今手がけている『ウルトラマンX』も同じですね。ミニチュア特撮とCGを上手く組み合わせて、海外の人から見ても自然に見えるよう工夫しているところです。

《沖本茂義》
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