■ ロケハンを徹底的に行い、伏見大社の魅力をアニメで再現これに引き続き、本セミナーの主旨である、「アニメ業界のお仕事」について、プロデューサーならびに声優の双方の視点から展開された。前半は、上映会を受けて『いなり、こんこん、恋いろは。』でのエピソードを中心に進められ、後半は、業界に入った経緯についてそれぞれの視点から語られた。まず、『いなり、こんこん、恋いろは。』がアニメ化された経緯についてだが、やはり、角川書店所属のプロデューサーとしては、書籍を売ることが大事な目標になるとのこと。これについては、他のアニメメーカーと違う場合もあると言う。「いなり、こんこん、恋いろは。」制作は2年前からはじまったとのことだが、ちゃんとしたアニメ作品を作るには放送まで最低でも1年は欲しいと、五味プロデューサー。『いなり、こんこん、恋いろは。』のプロジェクトを進めるうえで、まず懸案として考えたのが、関東のスタッフだけで、一般の日本人が考える京都の雅で上品なイメージ、なにより言葉づかいを再現できるのか?という点だったという。色々スタッフと話し合った結果、スタッフ十数名で伏見地域にロケーションハンティングを敢行することにしたという。簡単に聞こえるが、テレビアニメの制作費にとって、旅費、宿泊費なども合わせて数百万円規模になってしまうロケはかなりの負担。多くの場合、そこまで大規模なロケーションハンティングはテレビアニメでは行われないが、今回はそれが生きたという。例えば、キービジュアルなどをはじめ劇中の数々のシーンで描かれた木漏れ。これは実際に現場の様子から得られたイメージだという。この他に考慮したのが、京ことばだ。通常では、セリフは、アニメ制作工程の編集後で録音する(従って、アフターレコーディング、アフレコと呼ばれる)が、今回は、絵コンテが出来た時点で、京ことばを用いてのイントネーションの録音がおこなわれ、声優さんにそれを聞いてもらってからアフレコをおこなったという。つまり、作業的には2回アフレコがおこなわれたのに近い。これについては「本当に大変でした~」と大空さんは声を大きくした。実際、演技がよくても、イントネーションが違うということでNGになってしまったことが何回かあったという。また、音声ガイドの収録は、それはそれで大変だったとのこと。また、コミックの何巻まで映像化するかで悩んだと五味プロデューサー。1クール12話の場合、コミックでは3~5巻までカバーするのが通常だと言う。だが、今回はもともと全10話と決まっていたので、5巻までの内容をアニメにするのであれば、そこまでに描かれたエピソードの中で何を描くかを考えなければならなかったとのこと。実際、構成だけで、3、4ヶ月かかったと五味プロデューサーは当時の苦労について触れた。苦渋の中、良案を提案したのが高橋亨監督。10話ではなく60分作品3本分と見立て、3部作にすることを提案したのだ。これによって、ストーリー構成も整理されていったこと。
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