文化庁メディア芸術祭 会場はワンスペース2000m2、クロスオーバーするカルチャーを表現 | アニメ!アニメ!

文化庁メディア芸術祭 会場はワンスペース2000m2、クロスオーバーするカルチャーを表現

文化庁メディア芸術祭は今年で第17回と開催の歴史は長いが、展示構成のかたちも毎年異なり、趣向を凝らす。その時々で様相を変えるのも特徴となっている。

レビュー
第17回 文化庁メディア芸術祭 受賞作品展
  • 第17回 文化庁メディア芸術祭 受賞作品展
  • 第17回 文化庁メディア芸術祭 受賞作品展
  • アニメーション部門大賞 「はちみつ色のユン」
  • 「燃える仏像人間」
  • アニメーション部門新人賞 「WHILE THE CROW WEEPS ―カラスの涙―」
  • アニメーション部門優秀賞 「有頂天家族」
  • 功労賞 柏原満さん(音響効果)の紹介展示。音響の仕事の関連資料
  • 功労賞 柏原満さん(音響効果)の紹介展示。音響の仕事の関連資料
文化庁メディア芸術祭の受賞作品展が、2月5日から2月16日まで国立新美術館で開催されている。メディア芸術祭は、作品募集から受賞作品発表、国内外の巡回展と年間を通じて活動している。それでも年に一度の受賞作品展がもっとも盛り上がる。
過去一年間のアート、エンターテイメント、アニメーション、マンガの成果が一望出来ることが理由だ。最新のカルチャートレンド知る場としても幅広い層から人気だ。

今年で第17回と開催の歴史は長いが、東京オペラシティ、草月会館、東京都写真美術館、国立新美術館とたびたび会場を移している。また、展示構成のかたちも、毎年異なり、趣向を凝らし、その時々で様相を変えるのも特徴となっている。
展示構成には、これまでふたつの大きな流れがあった。ひとつは4つのジャンルを個別のエリアに分けたかたち、もうひとつは4つジャンルを自由に行き来きするかたちだ。この対極の展示方法の間を行き来する。展示の方向性の揺れは、異なったジャンルをカバーする“メディア芸術”という定義の難しさによるもので、メディア芸術祭自身の揺らぎを反映しているようにも見え、興味深い。

2014年は、この後者を選択した。昨年、一昨年の分野ごとの展示室スタイルから大きく変わり、来場者に目新しさを感じさせる。会場を仕切る壁はなく、巨大な会場をひとつの空間とする。とりわけ天井から垂れ下がった何本もの糸が空間を縦断する様は、会場がひとつであることを強調する。展示構成の意図は明白だ。
各作品はそのなかに、視覚的に交わるかたちで配置される。ひとつの作品を観る際に、他の作品が否が応でも目に入ることが多い。また、解説をみなければ、どの分野の作品か分からないこともしばしばだ。クロスオーバー型の展示でも、とりわけ野心的だ。

例えばアニメーションの原画や制作資料、映像は壁面に並べられている。しかし、その間にマンガの原作が挟まったり、ランダムだ。エンターテイメント部門のウェブのスクリーンの先にはアニメーションの映像が見える。
さらに象徴的なのは、エンターテイメント部門の優秀賞『燃える仏像人間』だ。短編アニメーションのエリアに隣接した展示は、劇メーションという手法を取る同作が、あたかもアニメーション作品だったかの様に映る。

そこからは、4つの部門はあるけれども表現の手段こそ違えども、これらの作品は同じものなのだというメッセージが伝わって来るかのようだ。もともと“メディア芸術”という言葉は、スタート当時文化庁がそれまでカバーしていなかった異なるジャンルを結びつける苦肉の策として生まれたと聞く。
しかし、文化庁メディア芸術祭の広がりと共に、“メディア芸術”の定義はそれ自身が居場所を見つけたのでないだろうか。その大きな部分に、先進性、クロスオーバーがある。それを持って4分野は等価になるのではないか。
今回の展示について、芸術としての展覧会に必要とされている個々の作品を十分鑑賞出来る空間がないとの批判もあるかもしれない。しかし、それでは普通過ぎないだろうか。メディア芸術の目指す先進性は、もっとアバンギャルドでいい、エンタテインメントを内包しているほうがいいと思えるのだ。
[数土直志]

文化庁メディア芸術祭
/http://j-mediaarts.jp/
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