あにめたまご作品「TIME DRIVER」フル作画ロボットアニメで伝える「アニメの楽しさ」山元監督×加納Pインタビュー 3ページ目 | アニメ!アニメ!

あにめたまご作品「TIME DRIVER」フル作画ロボットアニメで伝える「アニメの楽しさ」山元監督×加納Pインタビュー

若手アニメーター等人材育成事業「あにめたまご2018」より、『TIME DRIVER 僕らが描いた未来』を手がけた山元隼一監督とIMAGICAイメージワークスの加納秀紀プロデューサーにインタビュー。

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左から加納秀紀プロデューサー、山元隼一監督
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  • 『TIME DRIVER 僕らが描いた未来』(C)IMAGICAイメージワークス・ROBOT/文化庁 あにめたまご2018
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■「『TIME DRIVER』は僕自身が見たかったアニメ」

――本作の見どころについて教えてください。キャストについてはどういった指針で決められたのですか?

山元監督
全部僕の希望です(笑)。理想通りの豪華な方々にやっていただくことができました。音楽も『熱血人面犬』で担当してくださった井内啓二さんに映画音楽的なイメージで作ってもらいましたし、劇中歌は『電脳コイル』の主題歌を歌われている池田綾子さんに歌っていただきました。

――メカデザインには何かコンセプトはありましたか?

山元監督
やっぱり自分が好きだった「勇者シリーズ」や「エルドランシリーズ」の影響が大きいと思います。主人公の友達というニュアンスもほしかったので『SDガンダム』っぽく眼を入れたりしました。
声は勇者っぽくて紳士的なイメージの杉田智和さんにあてていただきました。脚本段階でプロデューサーの礒部さんから「人が操縦して動かすロボットでありながら、自分の意思でも動けて喋るのは大丈夫ですか?」と聞かれて「そういうロボットもいるんですよ。」と説明したのですが、杉田さんはコアなアニメファンでいらっしゃるので、ひと言「勇者です」とお伝えしたら「なるほど」と即座に理解してくださいました(笑)。ご自身も『電脳冒険記ウェブダイバー』で子供が搭乗し、喋るロボットを演じられていますしね。


――アニメファンならいち作品として楽しめる、アニメ好き監督ならではの作品ですね。

山元監督
僕の見たかったアニメを作る! というコンセプトです(笑)。血税を投じて何やってんだと言われるかもしれませんが、リスク回避のためにマーケティング重視になりがちな今、こういう童心に返れるアニメもあっていいんじゃないかな、と思います。大人向けといってもエロやグロだけが全てではないと思っています。

――メイン視聴者層は大人なんですね。

山元監督
20代から30代の男女と設定しています。夢を抱いて社会に出て、現実にぶち当たって苦闘している、そんな世代に向けての作品です。それは若いクリエイターの投影でもあるんですが、あにめたまごはそれこそ公共事業ですから、大人として社会で働く我々みんなが励まされる作品を作りたい、という思いもありました。

――そうですね。大人としては、ぜひシリーズで見たいなと思わされる作品です。

山元監督
シリーズといえば、実はこの作品は、26話とか52話とかのTVシリーズ作品が終わった後のエピローグというか、劇場版をいきなり作ったらどうなるか? というイメージで作っていて、それを思わせるシーンを入れています。
今のアニメファンの方々はリテラシーが非常に高いので、1、2カットの画があればこれまで見てきたアニメの記憶に照らして「ああ、主人公とヒロインがケンカして仲直りする回があったんだな」「仲間の犠牲を糧に人間的に成長したんだろうな」などと想像できるんです。だから「描かずに描く」ことができるんじゃないか? と思ったんです。


――山元監督が手掛けた『星色ガールドロップ』(『ポプテピピック』の次回予告パート)も同じ手法ですね。

山元監督
点と点をうまく打っていくことで、次回予告の十数秒だけでも、次の1話で何があったのかだいたい想像できます。『TIME DRIVER』も、この1作を見るだけで、TVシリーズ52話も全部見てきた、という気分になるように作りました。自分としても上手くいったのではと思います。

加納P
プロデューサーとしても、当初は想像しなかった作品になりました。あにめたまご2018の4本の中でも異色の作品になったんじゃないでしょうか?

山元監督
あにめたまごに限らず、普通のアニメとして見ても「見たことない作品だ」と思ってもらえるんじゃないかなと思いますし、見る人の心に刺さる作品になっていると思います。

――最後に、育成事業であるあにめたまごを終えての所感と、『TIME DRIVER』の今後の展開について教えてください。

山元監督
あにめたまごの趣旨に「伝統的なアニメの技術の継承」があるんですが、それは指導原画の方々が教えてくださいました。だから僕は「主人公の自室は主人公の内面を表すので、こういうものを置くことで心情が描けるよ」といったような、アニメに限らない演出や表現の持つ意味について考え、試せる機会を作りました。
若手アニメーターたちは今後、原画ではなく演出家になるかもしれないし、アニメという枠組みを超えて、実写や全く新しい表現形態で作品作りをすることになるかもしれません。映像表現の持つ意味や楽しさを理解し、どんな映像にも対応して生き延びていけるようにすることが、アニメ作家、監督として生き延びてきた僕の役割だと思いました。彼らが将来、アニメの表現の可能性を広げるような作品を生み出してくれたら一番ですね。

加納P
『TIME DRIVER』は3月24日、25日開催のAnimeJapan2018などで上映、放送されますが、その後は各種メディアでの展開を予定しています。ご覧になって気に入ってくださった方は、ぜひ応援してください。

――本日はありがとうございました。
《いしじまえいわ》
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