アニメ!アニメ!では、「妹さえ」の魅力を深掘りするためスタッフ陣へ全6回にわたって連載インタビューを実施。第4弾はキャラクターデザインの木野下澄江さんにご登場いただいた。
カントク先生のイラストをアニメで表現する際の試行錯誤や、絵コンテから味つけする作画へのこだわり、お色気シーンの裏話まで存分に語っていただいた。
[取材=沖本茂義(下着派)&小野瀬太一朗(全裸派)/構成=かーずSP(下着派)]
『妹さえいればいい。』
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■カントクさんの絵には、芸術のような上品さがあります
──まずは木野下さんが本作に参加されたきっかけから教えてください。
木野下澄江さん(以下、木野下)
プロデューサーからお声がけをいただいたのが最初です。原作のカントクさんのイラストを拝見したらすごく可愛くて「これは断る理由はない! 忙しいけどやるしかないでしょう!」と二つ返事でOKしました。
カントクさんの絵には上品さがあって、私の絵にはないものが入っているんですよ。私が女の子を描くとどうしても体の線に肉感が出てしまうのですが、カントクさんの絵はスラッとしていて、美しい陶器人形や芸術作品を見ている感じなんです。
───確かにカントクさんの絵は可愛さに加えてどことなく品を感じます。
木野下
カントクさんのイラストは下着とかいろいろ見えちゃってる絵も多いのですが(笑)、それなのにエロ本のようなエロさじゃないのがすごく好きです。パンチラしている絵を女子が男子と一緒に見られる絵描きさんて、なかなかないらっしゃらないと思うんです。普通はどうしても照れが入ってしまいますから。

■原作の絵柄によって、アニメに起こす時にデザインを変えていく
───カントクさんの絵の品の良さは、フォルムや線にあらわれるのでしょうか?
木野下
んー……醸し出す全体的なオーラですよね、線の強弱、肌のブラシの入れ方、表情やポーズの作り方全てに品がありますもの。
シンプルな線なのに情報量があってそれでいて文句なしに可愛いんです。
──アニメ化にあたり、キャラクターデザインの方向性はいかがでしたか?
木野下
『妹さえ』の前に『ガーリッシュ ナンバー』でキャラクターデザインを手がけました。QP:flapperさんの絵柄はふわっとしているイラストレーターさん寄りの絵なので、アニメにそのまま持ってくるとQP:flapperさんっぽくない絵になってしまったり、原画さんや作監さんでニュアンスがかなり変わりそうなところに不安がありました。コミカルで毒舌なキャラクターが多かったので、表情もつけやすいように少し私の絵に寄せてあるんですね。
反対に、カントクさんの絵柄はもともとアニメナイズされていて、ほぼこのままアニメに持ってくればOKな絵柄になっています。
実は企画初期、大沼さんから『ガーリッシュ ナンバー』ぐらいデザインを変えてくれというオーダーもありました。なので私の絵柄に寄せていく試行錯誤はしてみました。たとえば那由多だと、目のバランスをちょっと変えてみたり、頬の輪郭を変えてみたりしたんですが……。
すこしでもばらんすが崩れるとカントクさんの絵から外れちゃうんです。なので今回はバランスが変わらないよう注視しながらにアニメの絵に落とし込んでます。そこのバランスがすごく難しかったですね。

───原作のイラストはもともとスムーズにアニメ化できるデザインというお話がありましたが、そのなかでも微調整した部分はありますか?
木野下
髪の毛の線を少し減らしたり、後は等身の高さですね。カントクさんの絵柄よりも等身を下げないとアニメーターさんが描きづらいので、原作よりも1等身~1.5頭身ぐらい下げています。あと私は意図していなくても肉感がついちゃうので、腰回りやお尻が太くなっちゃうたびによく「肉付きが、肉付きが」と大沼(心)さんからツッコミが入りました(笑)。