「亜人」、アニメ映像の新たな挑戦と新時代 瀬下寛之総監督、守屋秀樹プロデューサーに訊く:前編 2ページ目 | アニメ!アニメ!

「亜人」、アニメ映像の新たな挑戦と新時代 瀬下寛之総監督、守屋秀樹プロデューサーに訊く:前編

「亜人 -衝動-」が2週間限定公開をスタートした。総監督・瀬下寛之氏とエグゼクティブプロデューサーの守屋秀樹氏、ポリゴン・ピクチュアズに所属するふたりに制作について伺った。

インタビュー
■ 映画とテレビシリーズは同時進行、

―実際に制作に入られたのはいつ頃ですか?

守屋
2013年の秋に企画が決まって、14年の頭ぐらいから脚本会議でしたっけ?

瀬下
企画会議はずっと進んでいたのですが、本格的に脚本会議は2014年の5月か6月ぐらいでしたか…。

―ピッチは早い感じですね。

瀬下
ものすごく早いです(笑)

―11月27日から劇場第1部が公開します。その後テレビシリーズになります。それから劇場の第2部、3部。テレビシリーズは劇場版とは異なりますか?

守屋
テレビシリーズは劇場と同時に作っていきましたが、瀬下総監督、安藤監督とも『シドニア』と並行で進んでいたこともあり、途中から担当を明確にしました。劇場版は瀬下総監督が中心、テレビシリーズは安藤監督が中心というかたちです。

―テレビと映画、それにNETFLIXの配信もあります。かなりの大作ですがなぜこんな大きな企画がきちんと通るんですか。秘訣はあるのでしょうか?

守屋
コミックが売れているというのは当然あると思います。ただ当初から「テレビだけじゃなくて映画もやりたい」と話をしていました。それで最初に何部作にするか製作委員会で相談したんです。
テレビシリーズと映画を同時制作のスケジュールや、映画としてのクライマックスをどうするかなどを考えて、最終的に3部作にしてもらいました。
僕が前々から思っていたのは、我々が担当したアメリカの『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』は冒頭のストーリーをスペシャル番組みたいに映画館で公開したと聞いていました。
日本では現在、1クールに40~60作品がある中でそもそも1話も見てもらえないことも多い。『亜人』は原作の知名度が高いし、その続きをテレビで見られるようにすると、他の作品と差別化もできるし面白いんじゃないかと考えました。映画宣伝はテレビ番組の宣伝と異なる部分があり、作品の知名度が上がりますし、テレビ版を含めたプロジェクト全体でメリットが高いんじゃないかと。そこでテレビシリーズの後でなくて先行でやりましょうと話をしました。


―テレビの総集編的な映画が少なくありません。でもそれは一度テレビで作った素材でやるわけです。そうではなくて同時進行となると、かなり大変だと想像するのですが……。

瀬下
当初はちょっと難しいなとも思った時もありましたが、どうにかきちんとできていますね。

守屋
ベースとなるシリーズの構成や基本設定は瀬下さんが監修した上で、両監督が協力しつつ。映画とシリーズのディレクションを分けられたのが、スムーズにいった要因でしょう。

瀬下
僕の担当は簡単に言うとストーリーと世界観、スタイル。この映像をどういうルックにすべきか、作品全体をどのような様式にすべきかを俯瞰的に構築しました。
これはCGと手描きの違いで、例えばキャラクターの造形を作ったら、よほどのことがない限り絵が崩れたりはしないんですよ。だから、世界観をきちんと作って、開発したストーリー、脚本に基づいてお願いするという分担が可能でした。

―面白いですね。同じ素材から別の監督が映画とテレビを作るという。

瀬下
セットから、キャラクターから、全要素を共有し、様々に使い分ける事ができますから。
映画のほうはとにかくスピード感ですね。約100分間、ノンストップで物語の世界に没入できます。

守屋
シーンもカットしたり入れ替えたり。音も全部映画用に付け直してもらっています。

瀬下
テレビのほうでは、それぞれの心情や状況を掘り下げます。だから、映画とテレビで違った楽しみ方ができるのではないかなと思います。

―劇場をやることで他作品と差をつけるとの話がありました。今回はNETFLIXの配信もあり、劇場、テレビ、配信のコンビネーションは注目度も高いと思います。これはどう組まれたのですか。最初にやるときからこの方法だったのですか?

守屋
2014年8月ぐらいに瀬下が中心になって最初のサンプルの映像を作ったんです。それを『シドニア』の流れがあったNETFLIXにも見てもらいました。「クールだ」と言ってもらえて、その時点でからライセンス交渉を具体化させていきました。
今回は国内も含めてネットに関しては一定期間、NETFLIXの独占というかたちになります。また『シドニア』よりも吹き替えの言語数が増える予定と聞いています。

―逆に言うと、それは『シドニア』がNETFLIXで評判がよかったということですか?

守屋
言語数は、NETFLIXさんの世界展開が加速しているとの理由は大きいのですが、おかげさまで『シドニア』の評判は良いと聞いています。世界各地のユーザーから応援コメントをいただくので、世界でのNETFLIXさんの影響力の大きさを感じています。

―NETFLIXのラインアップで推している作品を見ていると、『シドニア』と『亜人』がここに入っていても全然違和感がないな、むしろぴったりとするという感じです。
あの中に入れる作品は何だろうと考えたら、やはりSF、しかもストーリーのあるSFだと思います。それはNETFLIXに作品を持っていくときに意識されていたんですか。

守屋
最初からそれを狙って『シドニア』を制作したわけではありません。『シドニア』の製作委員会では、北米での権利窓口を担当させてもらったのですが、当社社長の塩田と「新参者でもある我々は日本のアニメ業界の慣習に縛られずに新しいライセンス営業をしてみよう」と、米国の配信各社を中心に交渉にあたりました。
『トランスフォーマー プライム』『トロン:アップライジング』といった米国で知名度のある作品の制作をしていたことや、原作の弐瓶勉さんの知名度などが後押ししてくれました。


《animeanime》
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