「あにめのたね2022」受託制作4団体の作品キービジュアルが公開!アニメーション業界就業者に向けたオンラインセミナーも実施中 | アニメ!アニメ!

「あにめのたね2022」受託制作4団体の作品キービジュアルが公開!アニメーション業界就業者に向けたオンラインセミナーも実施中

アニメ業界の人材育成を目的とした調査研究事業「あにめのたね2022」。2月28日まで公開中のオープン講座では、作画・音響・制作など多分野にわたる16種類もの講座を配信中だ。業界人向けの講座とは言え、その中身は個性豊かでどれも面白い!

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「あにめのたね2022」受託制作4団体の作品キービジュアルが公開!アニメーション業界就業者に向けたオンラインセミナーも実施中
  • 「あにめのたね2022」受託制作4団体の作品キービジュアルが公開!アニメーション業界就業者に向けたオンラインセミナーも実施中
  • 2022 (C) IMAGICA DIGITALSCAPE Co.,Ltd. / Imageworks Studio / 文化庁 あにめのたね2022
  • (C)2022 STUDIO ELLE Co., Ltd./文化庁 あにめのたね2022
  • (C)Production +h./文化庁 あにめのたね2022
  • (C) Lesprit /文化庁 あにめのたね2022
  • (C)The Association of Japanese Animations (AJA). All Rights Reserved.
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現在開催中の、アニメ業界の人材育成を目的とした調査研究事業「あにめのたね2022」。

事業として実施している人材育成プログラムは大きく分けて3つ。

01.制作スタジオを対象にした「技術継承プログラム」
02.アニメ制作者を対象にした「技術向上教育プログラム」
03.アニメ業界志望者を対象にした「基礎教育プログラム」

制作スタジオを対象にした「技術継承プログラム」は、4つの制作スタジオに7分から10分のPVを実際に制作してもらうというもの。各社それぞれが課題を掲げ、育成委員会の監督のもと、作品制作を通じて人材育成をする。

アニメ制作者を対象にした「技術向上教育プログラム」は、YouTubeで講演・セミナー・実技演習を行うというもの。演出術、著作権、制作管理、音響など16のテーマが用意されており業界全体のスキルアップを図る。

アニメ業界志望者を対象にした「基礎教育プログラム」は対面形式&オンライン形式のワークショップ。「アニメーションブートキャンプ」と銘打ち、幅広い層のアニメーション業界就業希望者に向け、アニメーション制作を心底面白いと思える「原体験」を得られるワークショップを実施している。

このうち、制作スタジオが対象の「技術継承プログラム」と、すでにワークショップの日程が終了した「基礎教育プログラム」を除くと、現在参加できるのはアニメ制作者を対象とした「技術向上教育プログラム」のみ。

そこで本稿では、「技術継承プログラム」で制作中の4作品の内容、そして「技術向上教育プログラム」で扱われる16の講座に注目。「あにめのたね2022」の事業を紹介したいと思う。

◆事業概要
「あにめのたね」とは?
文化庁が主催となり、文化庁から委託を受けた一般社団法人日本動画協会(AJA)が実施する「アニメーション人材育成調査研究事業」のこと。
2021年度より「あにめのたね」として様々な人材育成プログラムを行なっている。


▲前年度に実施した「あにめのたね2021」の「技術継承プログラム」で制作された4作品のPV動画。

◆「技術継承プログラム」に参加中の4社の作品キービジュアルが公開!


■『天神』/株式会社イマジカデジタルスケープ

▲2022 (C) IMAGICA DIGITALSCAPE Co.,Ltd. / Imageworks Studio / 文化庁 あにめのたね2022

株式会社イマジカデジタルスケープが制作する作品のタイトルは『天神』。

幼い少女「ミル」と彼女の前に現れた少年「ラン」が異世界を冒険するのだが、その先には悲惨な出来事が待ち受けていて……。

原画と3DCGアニメーターを対象に、「コンテの意図を正確に把握し、演技や表現を足せるよう自発的に作業する」「2Dと3DCGのスタッフが互いの理解しながら作業する」「演出や監督の修正指示を理解する」といった育成プランを実施する。

監督:ふくだのりゆき
プロデューサー:岩澤朋也

■『ロックンおヨネ』/有限会社スタジオエル

▲(C)2022 STUDIO ELLE Co., Ltd./文化庁 あにめのたね2022

有限会社スタジオエルが制作する作品のタイトルは『ロックンおヨネ』。

老人用シェアハウスに入居するおヨネが、同年代の入居者とともにバンドを結成。クリスマスの夜の演奏を通じて若かりし頃の思い出をかみしめる。

動画、原画、制作進行、演出を対象に、「プリプロからポスプロまでのフローを理解する」「演出技法の習得」「アニメーターとしての一般的な演技や表現方法の技術を継承する」といった課題に取り組む。

監督:鴫野 彰
プロデューサー:釋迦郡 卓

■『宇宙キャンパー/チッチ』/株式会社プロダクション・プラスエイチ

▲(C)Production +h./文化庁 あにめのたね2022

株式会社プロダクション・プラスエイチが制作する作品のタイトルは『宇宙キャンパー/チッチ』。

太陽系第二商業宇宙域で働く普通のOL「チッチ」が休日に宇宙キャンプへ出かけるのだが、アクシデントに見舞われて廃船の墓場のような星に不時着してしまう。

育成対象は、動画、原画、演出。「コンテから求められる芝居作り」をテーマに世代間技術継承に取り組む。

監督:荒川眞嗣
プロデューサー:本多史典

■『キラキラきらり☆』/株式会社レスプリ

▲(C) Lesprit /文化庁 あにめのたね2022

株式会社レスプリが制作する作品のタイトルは『キラキラきらり☆』。

内気な小学生「きらり」の前に、突如現れた不思議な少女。絵を描くのは大好きだけど臆病なきらりを、強引に外の世界へ連れ出し、色んなはじめてを一緒に描いていく。

育成対象は、演出、原画、プロップデザイン、制作デスク、制作進行。中堅スタッフから若手への技術継承や、デジタルソフトを使用した作業効率化、他分野を学習させることで視野を広げさせる。

監督:月見里智弘
プロデューサー:清水香梨子

◆「技術向上教育プログラム」オープン講座も実施中! 「著作権」、「『能』に学ぶ~演出と演技」など


アニメ業界就労者を対象にした「技術向上教育プログラム」のオープン講座は全部で16。作画にまつわることや、美術、撮影、CGなど内容は多種多様。無料で受けられるもののアニメ業界就労者が対象とあって一般では受講することはできない。

しかし、中には普段あまり接することがない知識や独特の視点もあり、アニメ業界就労者しか見られないのはあまりにもったいない講座もある。そのひとつが「アニメ製作・知っておくべき著作権基礎知識」。こちらは前年度に公開されたものを、見やすく編集したバージョンとなる。

本講演で講師を務めるのは株式会社トムス・エンタテインメントの知財管理部長・笹平直敬氏。パート1からパート3まである動画では、まず著作権にまつわる基礎知識からスタート。著作権がどのようなものであるか、そのなりたち、「著作財産権」「著作者人格権」「著作隣接権」などそれぞれの権利の解説を行っていく。

「著作権」とひと言で理解していたものがいかに曖昧な認識だったか考えさせられる内容だ。

続くパート2ではQ&Aで個別の事案を紹介。

たとえば「オマージュという形で他作品をアレンジし、作ったオリジナル作品を元作品の作者に断りなく発表しても良いか?」や「自分が作業した原画を使い、ホームページに掲載したり原画展を開催したりしても良いか?」など、実際にされたことがある相談を例に細かく説明してくれる。

そしてパート3ではアニメを取り巻く権利関係を説明しつつ、製作委員会の仕組みや、製作委員会以前の局発注方式などについて解説。製作委員会方式は巷でも度々話題になることだけに、長年、著作権を扱ってきた人間の貴重な知識や体験談がとても勉強になる内容だ。

もう一本、おすすめの講座を挙げるなら、観世流能楽師の中村裕氏、中村政裕氏、梅若紀長氏、梅若志長氏が登壇した「『能』に学ぶ~演出と演技」も興味深い。

「能の成り立ち」から解説がスタートする本講座では、能の番組の構成や、実際に使用する面の紹介、所作や型、舞台の説明など基礎となる部分を解説している。

基本的に能について掘り下げる講座なのでアニメ制作とは一見、かけ離れているものの、能面の影のつき方で表現するキャラクターの表情変化や、舞いの解説などアニメーションにおける「演出」「演技」と通じる部分が多くインスピレーションを刺激する内容である。

「自分の世界」に直結する講座もいいが、普段あまり接することがないだろう世界が覗けるのも「あにめのたね」の特徴であり良さでもある。

そのほか上記で紹介した講座を含む、すべてのオープン講座は以下の通り。

■01.アニメーション制作概論

  講師:河口佳高(株式会社サンライズIP事業本部 第3事業部エグゼクティブエキスパート、一般社団法人日本動画協会 人材育成員会 委員長、文化庁委託事業アニメーション人材育成調査研究事業「あにめのたね2022」育成委員会 委員長)

動画内容:アニメーション制作概論(33分)
配信期間:2021年9月30日~2022年3月31日

■02.著作権

  講師:笹平直敬(株式会社トムス・エンタテインメント知財管理部長、一般社団法人日本動画協会 著作権委員会 副委員長)

動画内容:パート1「概論、制作のための著作権」(31分)
パート2「Q&A」(20分)
パート3「アニメ作品の著作権」(39分)

配信期間:2021年9月30日~2022年2月28日

■03.演出・絵コンテ/前提・準備

講師:村田和也(アニメーション監督)

動画内容:パート1「演出とは、絵コンテとは」(27分)
パート2「脚本を読む/直感的なイメージの抽出/配置演出をする」(19分)

配信期間:2021年11月5日~2022年3月31日

■04.演出・絵コンテ/カットを作る

講師:村田和也(アニメーション監督)

動画内容:パート1「カット割/舞台のカミとシモ/イマジナーライン」(31分)
パート2「カットの構図(L/O)/アクションつなぎ」(29分)

配信期間:2021年11月5日~2022年3月31日

■05.演出・絵コンテ/情報を盛り込む

講師:村田和也(アニメーション監督)

動画内容:処理方法の指示/音声と尺(26分)

配信期間:2021年11月5日~2022年3月31日

■06.「能」に学ぶ~演出と演技

講師:中村裕(観世流能楽師)、中村政裕(観世流能楽師)、梅若紀長(観世流能楽師)、梅若志長(観世流能楽師)

動画内容:パート1「能の成り立ち/能楽師のシテ方&ワキ方&囃子方の役目/女性役&男性役&超自然の役の所作、構え、型 など」(18分)
パート2「『羽衣』/舞台の地謡/囃子の楽器と演奏/能の舞台のつくり/舞台で使う『作り物』など」(29分)

配信期間:2021年12月22日~2022年3月31日

■07.制作管理

講師:舛本和也(株式会社トリガー 取締役・制作統括)

動画内容:パート1「シーンとカットの管理の計画と実践」(36分)
パート2「香盤表、カット表、日報」(38分)

配信期間:2021年12月13日~2022年3月31日

■08.作画の役割(仮)

講師:調整中

動画内容:調整中

配信期間:受講開始前

■09.色彩設計・仕上の役割(仮)

講師:調整中

動画内容:調整中

配信期間:受講開始前

■10.美術・背景とはなんぞや!

講師:河野次郎(アニメーション美術監督、有限会社Imageroomジロー)、縫部文江(サンライズ美術塾 講師)、太田清美(サンライズ美術塾 講師)

動画内容:パート1「美術設計・背景ボード・背景作成の役割」(18分)
パート2「レイアウトから背景作成」(25分)

配信期間:2021年12月13日~2022年3月31日

■11.CGの役割

講師:西田映美子(株式会社ダンデライオンアニメーションスタジオ3DCGディレクター・3D演出)

動画内容:3DCG・作画・ハイブリッド制作の工程(41分)

配信期間:2021年11月5日~2022年3月31日

■12.音響の役割

講師:平光琢也(音響監督)、瀬谷新二(株式会社手塚プロダクション アニメーター、文化庁委託事業アニメーション人材育成調査研究事業「あにめのたね2022」育成委員会 副委員長)

動画内容:パート1「音響の役割」(17分)
パート2「アニメーターとの対談(作画のタイミングと音響のタイミングについて)/音響監督の仕事について」(37分)

配信期間:2021年12月13日~2022年3月31日

■13.撮影・編集の役割(仮)

講師:関谷能弘(株式会社グラフィニカVFX部 撮影セクション 撮影監督)、渡邉千波(株式会社グラフィニカVFX部 撮影セクション エディター)

動画内容:パート1「撮影の役割」(38分)
パート2「編集の役割」(9分)

配信期間:2021年12月13日~2022年3月31日

■14.作画のスキル(仮)

講師:調整中

動画内容:調整中

配信期間:受講開始前

■15.レイアウトのスキル

講師:神志那弘志(アニメクリエイター集団 株式会社スタジオ・ライブ代表取締役 兼アニメクリエイター)

動画内容:パート1「絵コンテから描くレイアウト実習(絵コンテを読み取る)/画角について」(27分)
パート2「パースとレイアウトの解説(パースをとらえる)」(28分)
パート3「パースとレイアウトの解説(レイアウトを描く)」(28分)

配信期間:2021年11月5日~2022年3月31日

■16.動きのスキル

講師:後藤隆幸(株式会社プロダクション・アイジー アニメーター)

動画内容:パート1「動きの作画実習」(33分)
パート2「動きを描くコツ」(36分)

配信期間:2021年11月5日~2022年3月31日

なお、「著作権」以外の講座はいずれも最終配信日が2022年3月31日へと延期されているので、今から見始めても十分学べるだろう。また、現状「仮」となっている講座についても、これから順次配信が行われていく予定だ。どれも見逃すにはもったいない講座ばかりになっているので、ぜひこの機会に参加してみてほしい。

(C)The Association of Japanese Animations (AJA). All Rights Reserved.

《気賀沢 昌志》
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