「レイドバッカーズ」橋本裕之×上江洲誠×鈴木次郎座談会「楽しく笑える・・変なアニメです」【インタビュー】 5ページ目 | アニメ!アニメ!

「レイドバッカーズ」橋本裕之×上江洲誠×鈴木次郎座談会「楽しく笑える・・変なアニメです」【インタビュー】

2019年4月5日に公開される『LAIDBACKERS-レイドバッカーズ-』より、橋本裕之監督、脚本の上江洲誠、キャラクター原案の鈴木次郎にインタビュー。一体、どんな経緯で、どんな思いでこのオリジナルアニメをゼロからつくり上げていったのか聞いた。

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「レイドバッカーズ」橋本裕之×上江洲誠×鈴木次郎座談会「楽しく笑える・・変なアニメです」【インタビュー】
  • 「レイドバッカーズ」橋本裕之×上江洲誠×鈴木次郎座談会「楽しく笑える・・変なアニメです」【インタビュー】
  • 上江洲誠、橋本裕之監督
  • 鈴木次郎
  • 上江洲誠
  • 『LAIDBACKERS-レイドバッカーズ-』(C)おばけ屋/LAIDBACKERS製作委員会
  • 上江洲誠、橋本裕之監督
  • 「レイドバッカーズ」橋本裕之×上江洲誠×鈴木次郎座談会「楽しく笑える・・変なアニメです」【インタビュー】
  • 橋本裕之監督

■犬(アーネリア)はどうやって生まれた!? キャラクターデザインの裏側


――鈴木さんは、アニメのキャラクター原案ははじめてかと思います。キャラクターをイチから起こす作業はいかがでしたか?

鈴木
楽しかったです。
『ラブやん』で一致していたくらいなので、『レイドバッカーズ』のキャラ設定もすごく私好みでした。スムーズに進んだ印象です。

上江洲
「異世界から来たこんな性格の子です」といった文字設定はもちろん渡していたんですが、次郎さんが絵でだいぶアイデアを乗せてくれました。
西洋ファンタジーみたいになるのかなと思ったら、京都らしい和のテイストが入っていて。見た瞬間、他の人のアイデアが入ってよかったと思いましたね。

――自分の想像の及ばない部分が見られますもんね。鈴木さんはどういうふうに作っていったんでしょうか?

上江洲
ひとりずついきますか? じゃあハラミから。

鈴木
さっきおっしゃっていたように和の要素は入れたかったですね。
あと、いっぱい死を見てきた狂戦士なので、骨モチーフの不吉なイメージにしました。目はちょっとすわっていて、あんまりガツガツしていない表情にしています。

『LAIDBACKERS-レイドバッカーズ-』(C)おばけ屋/LAIDBACKERS製作委員会
――髪は外に豪快にハネていて、荒々しいような。

鈴木
そうですね。けど荒々し過ぎないようにして、個々のキャラクターのなかでもギャップを作っています。
「ハラミを理解できていればいいな……」と思いながら仕上げました。

上江洲
いやいやできていますよ。
今言ってくれたようにひとつひとつに理由があることがデザインだと思いますから。骸骨モチーフで衣装を描いてくださったとしても、なかなかこういうアイデア出ないと思います。洋服にも興味が無いと。
それでいてぶっ飛んでいるので、そういう子に骸骨を着せるって最高にロックですよね。

橋本
ハラミは、どんな絵になるのか一番わからなかったキャラクターだったんですが、この絵ができたときに「なるほど、こういう子なんだ」と納得できたんですよね。

――説得力があったんですね。

上江洲
死をイメージさせる骸骨は秀逸でしたね。いくつか案を出してもらって、抑えめに描かれたパターンもあったんですが、これにしました。朝のキッズ向け枠だったら嫌がられるかもしれないけど、これはそんなに道徳的な作品ではないので(笑)。

『LAIDBACKERS-レイドバッカーズ-』(C)おばけ屋/LAIDBACKERS製作委員会ハラミのメイキングラフ

橋本
かわいいとカッコいいは、両立させるのが難しいんですけど、見事にバランスがとれていますよね。
それに、真っ黒に塗りつぶしてもこの子だってわかる個性も、次郎さんのキャラクターにはありますよね。

鈴木
ありがとうございます。それは毎回意識して描いているところなので、よかった。

上江洲
別案も、出せるなら今後出したいですよね。ハラミちゃんに対してカルビちゃんとか。

――次の展開が! そういう広がりがあるのも、狙い通りですね。では、次は舞にいきましょう。こちらの世界ではアイドルとYouTuberをしている女の子ですね。

上江洲
舞は、見たときに「次郎さん、楽しんで描いているな~」って思いました。
候補のなかには、ヘルメットを被った学生運動しそうな子もいたんです。ぶっとんでるなと。

『LAIDBACKERS-レイドバッカーズ-』(C)おばけ屋/LAIDBACKERS製作委員会マイのメイキングラフ

鈴木
そう、『レイドバッカーズ』って全体的に懐かしい雰囲気じゃないですか。そういう昭和モチーフが好きなので、描いてみました。
今回の本編でも出して欲しい。

上江洲
本編できちゃってますから(笑)。出るならカルビちゃんと一緒に続編ですね。

鈴木
楽しみ。舞は、格闘家でアイドルなのでちょっとだけ中華なモチーフにしようという感じで描きました。

『LAIDBACKERS-レイドバッカーズ-』(C)おばけ屋/LAIDBACKERS製作委員会
上江洲
それも、次郎さんに「格闘家」という設定を渡しただけで中華が加わりましたからね。話も早かったなぁ~。すぐ上がってきますし。

――頭のなかでどんどんアイデアが浮かんでくるんでしょうね。キービジュアルに描かれた舞は、中国武術のような構え方をしています。

『LAIDBACKERS-レイドバッカーズ-』(C)おばけ屋/LAIDBACKERS製作委員会
橋本
アニメのキャラクターデザインをしている土屋圭さんが、格闘系が好きなんです。鈴木さんからあがってきたデザインを見て、イメージがわいたんでしょうね。
僕らにはわからないこだわりがこの構えにもきっとあると思いますよ。

――話を聞いていると、最初の目的通り楽しんで作っていますよね。

上江洲
みんなのアイデアがケンカしてないのもいいですね。

――では、この調子でKにいきましょう。これは……。

『LAIDBACKERS-レイドバッカーズ-』(C)おばけ屋/LAIDBACKERS製作委員会
橋本
最初から完成度高いですよね。

上江洲
Kは、ボンテージにするかスーツにするか、くらいでしたね。

鈴木
ですね。Kは、あまり描く機会がなかったテイストなので、余計に楽しかったです。
「久々だ~!」ってすごく張り切って描いたのを覚えています。

上江洲
魔術師のお姉さんで学者肌だから、こっちの世界に来ていろんなものにハマっていくのだけれど、それが全部サブカルチャーという。
なので、同人誌とかを入れているようなキャリーケースを持っていて欲しいという要望も伝えました。

『LAIDBACKERS-レイドバッカーズ-』(C)おばけ屋/LAIDBACKERS製作委員会
Kのメイキングラフ
橋本
残念美人なんですよね。

鈴木
そうなんですよね。だからKが夢中になっているであろうアイテムを持たせているんです。

――本当ですね。軍配を持っていたり。

鈴木
あとは歴女要素とか。

上江洲
僕の友だちに歴女が多いので、そういうキャラクターにしたいと思ったら次郎さんが素晴らしいデザインにしてくれました。
身近にいる人をモデルにしたので、一番リアリティあるキャラクターになっていますね。

――では、最後にアーネリアにいきましょう。

『LAIDBACKERS-レイドバッカーズ-』(C)おばけ屋/LAIDBACKERS製作委員会
鈴木
イメージは、ポメラニアンと『忍者ハットリくん』の獅子丸みたいなイメージなんですが、記号的にしたいなと思っていて。

上江洲
アイコン的な存在ですよね。誰でも描けるような。

鈴木
そうです、そうです。

橋本
実際はめちゃくちゃバランスが難しいんですけどね(笑)。
デッサンもしっかりできて、こういう絵も描ける。鈴木さんのすごいところですね。

上江洲
アニメーターさん、みんな真面目だから影をどう付けたらいいんだろうって悩んでました。

――今のデザインに決まるまでの、ラフデザインも見せてもらいましたが、けっこういろんな案が出たようですね。

鈴木
決定案に決まるまで、いろいろと提案させてもらいました。
シンプルなんだけど表情が豊かという感じで作っていったら、かわゆく、かつ良い感じにいじりやすそうなカタチができたので、通ってほしいなと思って捨て案もいろいろと……速攻で捨て案だってバレましたけど。

上江洲
駄菓子の容器かぶっているようなやつが通るわけ無いでしょ!


(一同爆笑)

『LAIDBACKERS-レイドバッカーズ-』(C)おばけ屋/LAIDBACKERS製作委員会アーネリアのメイキングラフ。駄菓子の容器を被ったものも。

上江洲
動物が活躍するアニメ好きなので、アーネリアが他の犬を引き連れて大活躍する話もゆくゆくは作りたいですね。
ハラミたちも出るけど、最終決戦は犬しかいないみたいな展開、いいですね。

鈴木
楽しみです!

橋本
ただアーネリアは、作っていくうえでけっこう苦労しました。
アーネリアの毛はプラチナブロンドという設定なので、ずっとキラキラ輝かせているんですよ。太陽光にあたったらキラキラするし、あたってなくても室内にいてもキラキラする。
だからそれに合わせて音もつけたりして。

――すごく細かな作業ですね。

橋本
あと、足音もこだわっています。
この子からちゃんと土を踏んでいる音がしたら違和感じゃないですか(笑)。真面目な話をしているのに、「そんなかわいい足音たてて来やがって!」というのが面白いんですよね。

――上江洲さんはどんなところで苦労されましたか?

上江洲
ド派手なストーリーにしないと決めたことで却って正解がわからなくなって、どういうクライマックスを作ろうかと考えるのは難しかったですね。
話を作るうえで、アニメらしい事件を起こさないことを目的としてはじめたので。

ただ、そのあとで映画として公開することが決まったんですよ。そこで「映画になるなら何かしらクライマックスがないと」と考え直しました。
これがTVシリーズだったら、何も起こらない日常を描いていたと思います。ずーっと駄菓子屋から出ないっていう。普段はそんなことないのに今回は劇場版だから戦わなくてはならないという体。この例えわかります?(笑)


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《松本まゆげ》
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