■驚きの展開で橋本監督が合流
――では、橋本さんと鈴木さんはその後に声をかけたんですね。
上江洲
僕の原案が出来たところで、さて画の方向性を決めるわけですが、監督には橋本さんがいいんじゃないかと推薦をさせていただきました。
橋本
上江洲さんとは、それこそ『蒼き鋼のアルペジオ』でもご一緒しているんですよね。
上江洲
長い付き合いですよね。盟友です。
橋本
ただ、当時僕は演出で入っていたので、監督として上江洲さんとご一緒するのははじめてなんですよ。

――橋本さんに声をかけた決め手は何だったんですか?
上江洲
今回のアニメでは女の子を出したかったんですけど、僕は美少女アニメに全然興味がなかったんです。なので、そんな僕とは“逆”に、まず美少女好きな人であったほうがいいと。
橋本
「美少女好き」ってちょっと語弊あるから!(笑)
上江洲
『ごちうさ』(『ご注文はうさぎですか?』)で名を馳せた監督ですからね。あくまでもイメージですが(笑)。
――納得の理由です。
上江洲
それと、もうひとつ重要だったのは、戦闘シーンが上手であること。
橋本さんって、サンライズ畑でメカものをやってきた方なんですよ、実は! 『DEVIL SURVIVOR 2 the ANIMATION』や『蒼き鋼のアルペジオ』といったバトルものを一緒にやってきて、その手腕をよく見ていたんです。
美少女とバトル、この2つを兼ね備えている監督といえば橋本さんだと!
橋本
ありがとうございます。実は、最初は監督だなんて思ってなかったんですけどね……(笑)。

――というと?
橋本
ちょうど『魔法少女育成計画』をつくっていたときに声をかけていただいたんですけど、『魔法少女育成計画』でプロデューサーを務めていたフライングドッグのスタッフさんが「ちょっとアルバイトしない?」って言うんですよ。
当初はそれ以上のことをなかなか教えてくれず、詳しいことは「まあまあ今度言うよ」みたいな(笑)。
だから「どこかのスタジオの人手が足りないから手伝うのかな?」思っていました。
上江洲
すごい誘われ方だよね、しかもアルバイトって(笑)。
橋本
で、しばらくしてまた別の打ち合わせをしているとき、「ちょっとこれから行こうよ」と行き先も知らないままタクシーに乗せられて。
――それだけ聞くとすごく怪しいですね(笑)。
橋本
「何なんですか?」って聞いても、「ちょっとちょっと……」と(笑)。で、ようやく「実は上江洲さんとオリジナルアニメを作りたいんだよね。で、監督がいないんだよ。橋本さん一緒にやんない?」という話を聞きました。
上江洲
巧妙ですよね(笑)。ここはぜひボールドで記事にしてもらいたいところですよ。「これがフライングドッグのやり口だ!」と。
(一同爆笑)
橋本
で、目的地の喫茶店に着いたら、Studio五組の人がいらっしゃいました。そこではじめてStudio五組さんが作るんだとわかりました。と同時に、「あ、もう逃げられない」とも思いました。「え、アルバイトじゃなかったの!?」「僕が監督で大丈夫ですか!?」ってなりましたね。
そもそも、僕が監督になる前に他の監督の作品でご一緒した人たちとご一緒するから緊張しますし。

――心の準備もそこそこに、気づいたら監督。
橋本
はい。流れるまま、という感じでした。それに、その時点ではどんな話かもまだ知らなくて。
上江洲
すごくないですか? 何も知らないで引き受けてくれたんですよ。
橋本
僕、いつもそんな感じなんです、だからそのへんは大丈夫なんですよ。
上江洲
脚本家もそう。「来てください」って言われて話を聞いて、持ち帰って一旦受けるかどうか考えてもいいのかというとそんなことないんですよ(笑)。
アニメのスタッフがどうなるかはプロデューサー次第なんですよね。
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