本作は、狂戦士の三乃ハラミ、元魔王のらん、といった異世界の住人が現代日本の京都へ“逆転生”し、自分たちの故郷とは全く異なる平和な京都をエンジョイしつつ、ときには過酷な戦いへと身を投じる脱力系エンターテイメントだ。
そんな『レイドバッカーズ』公開を記念し、三乃ハラミを演じる日高里菜さん、らんを演じる長縄まりあさん、鷲ノ宮優子を演じる藤田咲さんにインタビューを敢行。
さらに今回、京都を舞台にした作品ということで、日本の伝統的ゲーム「投扇扇」にチャレンジいただいた! 果たして勝負の行方は……?
[取材・構成=山田幸彦/撮影=小原聡太]
■「“逆異世界転生”の前はどう過ごしていた?」想像の余地を残すキャラ描写が魅力
――まず、台本を読んだ際の作品の第一印象はいかがでしたか?
日高
とにかく、キャラクターたちが生き生きしている印象でした。
当たり前のようにハラミたちが京都で充実した転生ライフを送っていることにびっくりしました。
長縄
前の世界ですごく強かった人たちがニートっぽくなってしまうほど、現代って平和なんだなって思いました(笑)。
過酷な生活をしていた人たちがこっちに来て楽しそうに暮らしている姿を見ると、素直に「よかったねえ……」と優しい気持ちになりましたね
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藤田
キャラクターに対して観る人たちのイメージを膨らませるような物語が魅力的でした。日常パートをまったり見せつつ、「転生前はどう生きていたのか?」が徐々に開示されていく。想像の余地がたくさんあるし、1本の映画としても楽しめる作品になっている印象でした!
日高
可能性が詰まってるんですよね。観終わってから想像するのも楽しいですし、もっともっと観たいってみんな感じるんじゃないかなと思います。
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――確かに、彼女たちの過去に関しては、察することができる程度に抑えられていましたね。
日高
あと、優子先生もすごく気になりますよね(笑)。絶対何かある気がします。
――何も言わずにらんを家に住ませていますからね。
日高
ふたりでいるときに、らんがちょっと頬を赤らめたりと、距離感がすごいんです!
藤田
ところどころ意味深だったね……。
長縄
「転生してから今までふたりの間で何があったんだ!?」って勘ぐっちゃいますよね……。
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日高
優子先生とらんのシーンはセリフで説明し過ぎず、表情と絵のみで見せる感じが大人っぽいですよね。部屋もなんだか暗いですし。
藤田
あと「あんな暗い家に住む!?」っていう(笑)。どのくらいの年齢層の方が観るかわからないけど、若い男の子だとドキドキしちゃうよね。
日高
します、します!
――それぞれのキャラクターの第一印象や演じられてみてイメージが変わった部分はどうですか?
日高
ハラミと出会ったのはオーディションのときでしたが、とにかくまっすぐ素直な子という印象です。
好きなものがはっきりしていて、やりたいことがあればやらなきゃいけないことを放っておいても没頭しちゃう、みたいな。公式サイトのキャラクター紹介にも「精神は小学生男子」と書いてあるぐらいですから(笑)。
でも、周りに困っている人がいたらすぐに気づいて、さらっと助け舟を出す一面もあります。そういう部分は「カッコいいな!」と。
随所でハラミの良い子具合がみなさんにも伝わると嬉しいです。
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長縄
ハラミちゃん、器が大きいですよね(笑)。
私もオーディションのときに初めてらんと出会ったのですが、最初、魔王だったときの行いに対する責任や罪悪感、償い……そういうものをすごく背負った子なのかなと思っていたんです。
でも、収録で日常の何気ないシーンや優子先生とのやりとりを演じていると、重たい感情も持ってはいるけれど、逆転生した現代でやりたいことを、周囲のみんなに頼りつつ行っていくという、等身大の可愛い小学生なんだなって感じましたね。
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――優子先生は現代の日本に生きる人ながら、逆異世界転生をしてきた彼女たちと同じくらい謎めいていますよね。
藤田
優子は容姿端麗で完璧な女性だとみんなが認識してるんだけど、家の中だと下着で歩くような人……という設定ですが、実は世の女性たちはわりとあんな感じじゃないかな? と思いました(笑)。
ただ、普通の女性と見せかけて、セリフの端々で深いことを言っていたり、深いようで適当なことを言っていたりもして、底が見えないんですよね。
私はそこの深い部分で何を考えているかをあえて定めないようにして、現代にいそうなんだけど、「他の人とは一線を画してますよ?」ということを伝えられたら、と考えていました。
物語の根幹には関わってきませんが、そういうミステリアスな部分がみなさんに引っかかって、「優子先生好きかも……」と思ってもらえればいいですね。
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日高
現時点で、キャストのみんな虜になっていますよ!
Kを演じる大地葉ちゃんも優子先生が好き過ぎて、イベント中ずっと「あのふたり(らんと優子)がいいんじゃ~!」って話をしていて(笑)。
長縄
策にハマってますね!(笑)。
藤田
そういう人が増えればいいなあ(笑)。
■「自由にやってください!」チャレンジ大歓迎なアフレコ現場
――収録時に橋本裕之監督や脚本の上江洲誠さんから受けたオーダーはありましたか?
日高
「自由にやってください!」って感じでしたね。
藤田
「信じてますから!」と言われただけです(笑)。
日高
今回のメインキャストは、過去にどこかで橋本監督や上江洲さんと関わり合いがある人たちが多かったんです。
それもあってか最初の挨拶で「楽しい作品を一緒に作っていきましょう!」という明るい雰囲気でした。
劇場版の収録って、1回集まってその1回きりで終わりということも多いので、緊張感や不安が大きいんです。
でも今回は、その挨拶で緊張がほぐれました。とりあえずやりたいことをやればいいし、違えば言ってもらえると思って、良い意味で肩の力を抜いて挑むことができました。
長縄
私もリラックスして演じられました。独特の良い雰囲気がありましたよね?
日高
そうですね。
基本的には「自由にやってください」という方針でしたが、ハラミに関しては「戦うところはもっと楽しそうに」とディレクションをいただきました。
劇場版なので「バトルシーンは見せ場だ!」というイメージがあったので、シリアスに演じていたんですが、もうちょっと余裕があったほうがハラミらしいと言っていただいて。
だから、バトルシーンのハラミは少年らしさのある感じになっていると思います。
長縄
日常パートから収録を始めて、バトルシーンは最後に録ったんですよね。
日高
そうそう。日常からスタートしたほうがキャラクターを掴めるからって。
藤田
私は戦わないけど、その録り方は、演じる側は嬉しかったんじゃないかな、と思いました。
日高
嬉しかったです。いろいろな場面でこちら側を気遣ってくださって、暖かい現場でしたね。
――日常パートの良い意味でゆるい雰囲気は、その現場の暖かさが現れているんですね。
日高
そうかもしれません。日常パートは、本当に楽しかったですよ!
そもそも、ここまで日常ものとはオーディションのときには思っていなかったんですが(笑)。
長縄
ポスターでも戦ってますもんね(笑)
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――日常パートでもシリアスパートでも、犬として転生してしまったアーネリアの姿がとにかく印象的でした。
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藤田
ズルいですよね(笑)。真面目なシーンでも足音がぴょこぴょこ鳴ってるし、やたらキラキラしてたり。
長縄
「あのキラキラは、何なの!?」って気になってしょうがないですね。
日高
みなさん1回目はどうしてもアーネリアさんに目が行ってしまうと思うので、2回目からは他のキャラにも注目してください!(笑)。
■キャスト陣の考える、“転生したらこの役職”は?
――それぞれ印象に残ったシーンを教えてほしいです。
日高
アーネリアとハラミの過去を描いたシーンです。
ハラミの株が一気に上がるなと思うぐらいふたりの関係性が見えたので。台本を読んだ時点で素敵だったのですが、収録では(内山)夕実さんとのかけ合いでよりグッと来るものに仕上がったかなと。
日常パートでは見えない一面が垣間見えるので、過去のシーンは要チェックです!
長縄
私はたくさんあります!
優子先生とのシーンはどれも好きです。ハラミちゃんとのかけ合いは、らんと同じように私自身も緊張していたんですけれど、優子先生と話すときはリラックスできるんです。
優子先生は、「私生活はちょっと……」なところはあるんですが(笑)、一緒にいると私もらんも心が暖かくなる存在なんですよ。
やっぱり先生なんだなと思って、どれも印象に残っています。
藤田
私、実は優子先生以外の役も担当しているんです。アーネリアのお尻を舐める犬も(笑)。
ぜひ脇のキャラまで見落とさずにチェックしていただければと!
日高
あれは確かに印象に残ります(笑)。
藤田
あんなことする役、初めてだったからね……!
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――本作には“逆異世界転生”という設定がありますが、みなさんが転生するとしたらどんな役職が適任だと思いますか?
日高
咲さんとは実は脱出ゲームで一緒に遊んだことがあるのですが、すっごくリーダーなんですよ!
とにかく頭の回転がすごく早いですし、周りも見ていて自分の作業も速い!
――なるほど、「姫騎士」とか合いそうですね。
日高
でも、魔術師とかも似合いそうですね。
藤田
運動するのは大変だから、魔法も良いなあ。
でも、ちゃんりな(日高里菜)も頭良いですよ。数字強いし、しかも運動も得意でしょ?
日高
ハラミみたいにガッツリ戦う系は良いかもしれないですね……!
長縄ちゃんはなんだろうなあ。
長縄
狂戦士とか武道家は向いてなさそう……(笑)。
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日高
でも、武道家はギャップがあって面白いかも!
藤田
今考えた役職だけど、「羊飼い」とか可愛いかも……すごく空気の良い場所でふんわり過ごしていて(笑)。
日高
可愛い! 絶対似合うし、周りが平和になりますね。
――最後に、これから『レイドバッカーズ』を観る方々に向けて、本作の見どころをお願いします。
藤田
オリジナルの劇場作品ということで、「みなさんどんな気持ちで観てくれるかな?」とドキドキしています。
個性豊かなキャラクター、声優陣、そして肩の力を抜きつつ本気で作品に挑んだ、まさしくレイドバッカーズなスタッフ陣たち(笑)、そんな人たちが「面白い作品とはなんだろう?」と模索しながら企画したアニメです。ぜひみなさんに劇場で観てほしいです!
長縄
上江洲さんや橋本さんはシリアスな作品も作る中で、肩の力を抜いて見られる作品を作ろうと考えられていたということもあって、まったり脱力系アクションに仕上がっています。
なので、キャラクターたちのドタバタを楽しみつつ、まったりとした気持ちで観ていただけたらと思います!
日高
バトルもありつつ、ゆる~い日常が魅力たっぷりに描かれているので、気張らずに観ることができます。観た人を前向きにする作品です。
スタッフ陣は楽しく面白くという気持ちで作品作りをしていて、私たち役者陣もその気持ちに乗っかろうと頑張りました。とにかく楽しい雰囲気はみなさんにも伝わるのではないかと思います!
ぜひ劇場に足を運んでいただけると嬉しいです。きっと後悔はしません!
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