――完成報告会で宮野さんがおっしゃってましたが、ミニオンたちがしゃべるミニオン語の一部は公開される国によって言葉を変えてあるそうですね。確かにときおり日本語のような言葉が聞こえました。宮野監督自身の声で各国の言葉を入れているそうです。日本語があるのも嬉しいですよね。――全体の中で宮野さんがお気に入りのシーンってどこでしょう。宮野たくさんあるなぁ。あ、でもこのシリーズをやっていて、初めて笑って収録できなかったシーンがあるんです。その要因を作ったのはバルタザール(笑)。僕は松山さんの声が先に入っている状態でクライヴのアフレコをしたんですが、バルタザールがテレビを見ながら「スーパーセクシー! スーパーセクシー!」ってエアロビをするシーン。マジか面白すぎる、やられた!と思いました。なかなか立ち直れなくて、「すいません、ちょっと時間をください」って言ったのを覚えています(笑)。――今回、主人公グルーの活躍はどうご覧になりましたか?宮野今回のグルーは反悪党同盟の特別捜査官に返り咲くためにバルタザールと戦うんですよね。グルーは悪党稼業から足を洗って、最後まで家族を思っている。だけどそんなグルーも双子のドルーに感化され、ちょっと子供っぽい部分が見えるのが可愛らしい。この双子のやり取りとは、『怪盗グルー』シリーズの新たな絆、コミカルさであると思いますね。でもドルーのいろんな誘いに最後までは乗らずに、まっとうに生きようとするグルーはやっぱりかっこいいなとも思う。それに対してドルーは……どうしようもない(笑)。でもそのドルーが今回いろいろかき乱してくれることで、物語が楽しくなっていますよね。ドルーって、グルーと活動している時は本当にダメさ加減が目立つじゃないですか。そこがこの作品のキモ。グルーがかっこよく見えて、ドルーは可愛く見える。最強の双子が生まれてしまった気がします。――ドルーのように、悪党に憧れる感覚って共感できますか?宮野バルタザールもそうですもんね。彼が子供の時にやっていた番組は、ちょっと悪い子ちゃんなスター。僕もこれまでいろんな作品をやらせていただいて、ヒールのかっこよさみたいなものもすごく感じる時があるんです。ヒーローに憧れる反面、悪役にしかない苦しさ、かっこよさみたいなものは、アニメ好きとしては子供の頃から憧れていた部分ですからね。――前作の『シング/SING』も大ヒットしたイルミネーション・エンターテインメントの作品の魅力は、どういうところにあると思いますか。宮野キャラクター同士の絆や温かい感情を、最終的にはすごく大事にしているところ。それがビシビシ伝わってきますよね。くだらないなぁって笑いながらも、この2人のやりとりなんかいいな、お母さんとして頑張ってろうとしているルーシーって応援したくなるな、とさりげないシーンにグッとくる。キャラクターが増えたことで、いろんな組み合わせによる絆ができていますよね。そして三姉妹の末っ子アグネスは、これまでと変わらずずっとまっすぐ。今回もアグネスの可愛さにメロメロになること間違いなしです(笑)。――イルミネーション作品に関わってきて、宮野さん自身はこれまでどんな思い出がありますか。宮野僕は2012年の『ロラックスおじさんの秘密の種』からイルミネーション作品に関わらせていただいているんですけど、それ以来いろんな役を演じてきたことで、僕の引き出しも増えたかなって思いますね。そして今回の『怪盗グルーのミニオン大脱走』では、10年ぶりに松山ケンイチさんとお会いできたんです。アニメ『DEATH NOTE』(2006~2007年)に、実写版L役の松山さんがゲスト出演されたことがあって、僕は松山さんと二人で取材を受けたことがあったんです。10年以上たって、こうやって相棒役で共演できた。二人で再会を喜び合うことができました。――バルタザールとクライヴは、裏にそんな絆があったんですね。最後に、宮野さんが思うこの作品の見どころを教えてください。宮野子供たちにとっては、大事なものがたくさん詰まっている作品。画面を所狭しと動き回るキャラクターたちに、心から笑ってくれると思いますね。そして大人たちは、キャラクター同士の強い絆などを絶対に感じると思うんですよ。それにバルタザールとクライヴの80年代テイストのやりとりは、大人こそ楽しめるシーンですからね(笑)。何より日本語吹き替えのみなさんが素晴らしいです。もちろんオリジナルの字幕版も素晴らしいんですが、僕らも最高のパフォーマンスをしようと吹き替えに臨みました。その結果、僕自身もお客さんとしてすごく楽しめましたから。この作品を心から楽しんでもらえたら、温かい気持ちが皆さんの心の中にきっと残るんじゃないかなと思います。
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