これを機に、当時メインキャラクターを演じた3人が集まった。風助を演じた松本梨香さん、藍眺(※正しくは月へんに兆)を演じた真殿光昭さん、橙次を演じた小杉十郎太さんだ。3人に当時の様子をふり返っていただいた鼎談後編を紹介する。
[取材・構成=細川洋平]
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■ 音響監督・水本完さんの存在
――絵も演技も心を掴まれる表現だったのでものすごく引き込まれました。
真殿光昭(以下、真殿)
『忍空』ってベタな友情だったりするけど、でも泣けるところはすごく泣けるし、橙次の飛行機が毎度落ちるみたいなベタな所や、楽しいところは演者もみんなで楽しめる。泣けるところはそれこそ梨香は泣きながらやってたもんね。
松本梨香(以下、松本)
ある時、私、体調を崩して声が嗄れてしまってたんです。アフレコに行った時に申し訳なくて「こんなになっちゃいました……すみません」って水本さんに謝ったら、「あ、お前ちょうどいいよ。今日ね、風助すげえ具合悪いからぴったりぴったり」って。見事に風助とリンクしていてビックリ!
あれは芝居という部分を飛び越えたところで風助とリンクしたんじゃないかな?
本当に心から思ったら表現が繋がったという体験がすごくあったんですよ。そういう風にさせてもらえた現場でした。
――現場の受け皿がすごく大きかったということなんでしょうね。
松本梨香(以下、松本)
そうですね。
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真殿
『忍空』ではすごくいろんな勉強をさせてもらいましたね。梨香ちゃんの魂が震えるような演技や、小杉さんからは笑いのテクニックなどいっぱい学ばせてもらいました。
――音響監督の水本完さんは『忍空』で相当厳しかったとうかがいました。
松本
厳しかったけど愛がたくさんありました。下町のお父さんんみたいな、昔でいう近所の怖いおじさんが子どもを叱りながらもいっぱい教えてくれる、人情味溢れる感じでしたね。
小杉
「ちゃんとやれよぉ!」って言われるんですよ。でもそこに怖さはなくて背中を押される。誉めてくれることは決してなかったですけど、優しさを感じてましたね。
真殿
「芝居を重視してやれば、口なんて合わせなくていいんだよ、口は後で合わせるから」って。
松本
そうそう! 演技中に感極まって泣いてしまいセリフが言えず、セリフが尺の長さにおさまらなかった時、演技に説得力があるからと「OK」テイクにしてくれたり…。
信頼してたし、安心して自由に演じる事が出来ました。
真殿
楽しくてしょうがなかったですね。
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――小杉さんは年齢やキャリアからも、先輩としてみなさんにアドバイスをされたりしたのでしょうか。
小杉
いやあ、何にもないですねえ。アドバイスも何も、風助も藍眺もピッタリだったし。どっちかというと自分の橙次という役が、後にも先にもなかったんじゃないかなという特殊な役だったんです。悪役をやることが多かった中で、ほぼスッポンポンのふんどし一丁のキャラクター。最初に話が来た時には「俺でいいの?」って驚きもありましたね。今見返しても「本当に俺の声か?」って思ったりしますよ。
――みなさんの役はオーディションで?
松本
皆さん、受けてたと思うけど…。
小杉
じゃあ僕もオーディションだったのかな。
真殿
僕は原作も読んでいて藍眺が大好きだったので、オーディションには気合い入れて黒のタンクトップを着て行きました。ちなみに今日も着て来ましたよ!
松本
十郎太さんもふんどししてきてます!(笑)
小杉
ムチャ言うなよ(笑)。
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