不思議な洋館に住む、顔のない“シャドー一族”と世話係の“生き人形”たちの不思議な日常が繰り広げられる独特な世界観が話題を呼ぶ、ソウマトウ原作によるTVアニメ『シャドーハウス』。2022年7月8日より、物語の根幹にせまる2nd Seasonがついに開幕!
アニメ!アニメ!では本作の放送開始を記念し、ケイト役・鬼頭明里さん、エミリコ役・篠原 侑さん、ジョン / ショーン役・酒井広大さん、ルイーズ / ルウ役・佐倉綾音さん、パトリック / リッキー役・川島零士さんによる座談会インタビューを実施。
2nd Seasonの注目ポイントをはじめ、作品内でも描かれる「信頼」をテーマにトークを展開。そんななか、キャスト陣から飛び出す各々の“秘密”とは……。
[取材・文・撮影:吉野庫之介]
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2期で感じる各キャラクターの成長
――TVアニメ1期を振り返って印象深いエピソードを教えてください。
鬼頭:私は第10話でケイトが大きな翼を生やして飛んだシーンがとくに印象深いです。原作でも衝撃を受けたページだったのですが、アニメでもカッコよく描かれていて、着地後に体力がなくてエミリコをドサッと落としてしまうところにも彼女のか弱さが出ていて可愛らしかったなと思います。
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篠原:個人的には「お披露目」の最後でラムが涙を流しながら消失していくシャーリー様を見つめるシーンが心に残っています。その回の収録後にキャストの下地紫野さんと一緒にしんみりと話しながら帰った思い出も含めて私の中で印象深いエピソードになっています。
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酒井:たくさんあるのですが、第9話でジョン様がリッキーを助けるために転がってくる大岩をパンチで砕いたシーンがとくに印象深いです。いつもはコメディー寄りのキャラクターなんですけど、あのパンチに彼の只者ではないポテンシャルの高さを感じて、そのギャップに驚かされました。
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佐倉:私はルウが言った「ルイーズ様は私の顔も声も好きすぎる」というセリフがとても好きなんです。それを事実として受けとめて言ってしまうルウと、当たり前のように乗せられて“すす”を出すルイーズが可愛くてお気に入りのシーンです。
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川島:僕はエドワード役の羽多野 渉さんのお芝居の印象が強く残っていて、第8話のラストで「全てはエドワードの手のひらの上」というセリフから特殊エンディングへと流れていくシーンがとても印象深いです。あのシーンはSNSのトレンドにも入っていましたよね。
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佐倉:羽多野さんは普段とてもいい人なのに、エドワードのようなキャラクターも演じられるから“二度美味しい”ですよね(笑)。
篠原:私は現場で羽多野さんがエドワードの気合いの入った声を「ハッ!ハッ!ハッ!」とすごく練習されていた姿が印象深くて、しかも最終的にその声は使われなかったという(笑)。
佐倉:私も現場でご一緒した時、羽多野さんがノイズが入ってしまいそうな服を着ていらっしゃったことがあったんですけど、アフレコ中にどんどん脱いで薄着になっていって、その姿にエドワード味を感じました(笑)。
川島:お気に入りの羽多野さんエピソードがどんどん出てきますね(笑)。
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――羽多野さん、本当に優しい方ですからね(笑)。また、「お披露目」を経て同期組の信頼が深まったことで各キャラクターの成長につながった部分もあるかと思いますが、1期と2期を比較して感じる変化はありますか?
鬼頭:ケイトは「お披露目」で同期のみんなと行動することにより様々な考え方があることを知って、以前よりも客観的に自分のことを見られるようになりました。ふと言われた周りからの評価を受けて自分が暴走気味だったことに気がついたりと、どんどん成長していっているなと感じます。
また、2期では感情を表に出すことも多くなってきました。1期の頃はエミリコがケイトの大事にしていた人形を濡らしてしまった時に声を荒げるくらいだったのですが、2期ではギャグシーンでツッコミ役に回ったりと彼女のコミカルな一面も見えてきて。周りに人が増えたことで感情表現が豊かになってきたのだと思います。
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篠原:逆にエミリコは2期であまり喋らなくなったんですよ。お影様たちが解き明かそうとしている謎を彼女なりに一生懸命考えるんですけど、結局わからないから話し合いに参加できずにいて(笑)。でも、1期の頃であれば自分も口を出そうとするような場面で黙っていることができるようになったのも彼女の成長だなと無言の演技の中で感じています。
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酒井:ジョン様は2期でさらにパワーアップしているのですが、珍しくツッコミ役に回る場面があったり、意外と俯瞰して物事を見ていたりという成長を感じます。あと彼はケイトのことが大好きなので(笑)、彼女の影響を受けつつも、ショーンとのやり取りの中で心情が変化する部分もあって。
ショーンに関してはジョン様とエミリコの存在が大きく成長につながっていて、自分の意見や思いを口に出せるようになったり、表情も豊かになって、人間的な成長を感じ取れるシーンも多かったです。2期ではそんな彼らの成長をよりお楽しみいただけるのではないかと思います。
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佐倉:ルイーズは人の話を聞かない子なのでおそらく誰からも影響を受けていないのですが(笑)、ルウに関しては「お披露目」でのリッキーとのやり取りを経て成長した部分があると思います。ルイーズからの指示もなく、生き人形として意志を持ってはいけないことも自覚したうえで行動を起こすというのは、彼女にとって不思議な動きだったと思います。
2期の物語ではルイーズとルウのちょっとしたお当番回があり、そのエピソードでルイーズにも新たな気づきがあったり、ルウは自分たちが置かれている立場の異常性に薄々気がついていて、そのうえでとても冷静に受け入れている悟り感がありながらも、これからケイトたちと行動を共にすることによってどのように変化していくのか、私も楽しみにしています。
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川島:パトリック様に関してはエミリコに「影響を受ける」どころか「歯車を狂わされてしまった」ので、この先が心配です(笑)。繊細な部分があるキャラクターなので、知っていることがあっても、みんなに打ち明けることのリスクを考えてしまい、結果モヤモヤを募らせていて……。でも1期の頃に“ツン”と見えていた部分が、2期では“デレ”に発展しているので、そこはみなさんに可愛らしく見ていただけるのではないかと思います。
リッキーは「お披露目」で初めてほかの生き人形を見て自分が“井の中の蛙”であることに気がついて、嫉妬心はありつつも、完全にみんなの影響を受けています(笑)。ただ、彼はずっと“すす入りコーヒー”の影響を受けているので、 “「シャドーハウス」のルール”に忠実なままなんですよ。
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佐倉:彼は成長……した?
篠原:一人だけ変わってないんだよなあ……(笑)。
川島:ケイトたちがシャドーハウスの謎を解き明かしていくなかで、リッキーだけひたすら「シャドー家のために……」と目をギラつかせています(笑)。
「信頼」から始まる各々の“弱点暴露大会”
――ここからは作品にちなんだところで「信頼」をテーマにしたお話を伺いたいと思います。まずは、みなさんが信頼する友人や家族だけに見せる顔を知りたいのですが、たとえば、佐倉さんはペットを飼っていらっしゃいますよね……?
佐倉:……はいっ!
鬼頭:突然飛んできた誘導尋問(笑)。
篠原:「ペットに見せる顔は?」ということですね!(笑)
佐倉:猫と触れあっている時の私はやばいですよ! 明里は見たことあるよね?
鬼頭:動画や写真が送られてきて(笑)。
篠原:『シャドーハウス』のグループにも送ってください!
佐倉:大丈夫そうなのを送るね(笑)。ほかに家に生き物がいる人は?
篠原:私は犬を飼っていますが、いつもの私と変わらないかも。
佐倉:エミリコだよね(笑)。たしかに篠原さんはあまり裏表がなさそう。
篠原:自分以外の人が「100%好き」で、誰かを嫌いになることがないので、そんなに態度が変わることはないかもしれません。
佐倉:それは……どういう生き方?
鬼頭:本当に。佐倉さんに教えてあげて(笑)。
篠原:私は自己嫌悪が強いんですよ。もしも誰かに嫌われたとしたら、それは私が100%悪いからだと思うタイプなんです。
佐倉:それで自己肯定感は下がっていかないの?
篠原:そうならないように生きることが目標ですかね。今の自分を嫌いじゃないということはとても良い状態だから、このまま頑張ろうと思えますし、自分に嫌われるようなことをしてしまったら、その度に反省をして。
佐倉:でも世の中には理不尽なこともたくさんあるじゃないですか!!
一同:あはははは!
篠原:それはたくさんあるんですけど(笑)、きっとその相対した人の状態が良くなかったと思うしかないのかなと。私がそんな状態になることもあるだろうし、私がその人のことを好きなままでいればいいんだって思っています。
酒井:すごいなあ……。僕が言うと引かれてしまうかもしれないんですけど(笑)、篠原さんって母性がありますよね。アフレコの際同じところで何度か躓いてしまい焦っていたところ『大丈夫、大丈夫…』と優しく声をかけてくれて…。
篠原:そうかもしれないですね(笑)。もちろん家で泣くこともありますけど、そんな負の感情を人前で見せることはないと思います。
佐倉:とても興味深いお話を聞けました。私は“苦手”から始まってしまうことが多いので。これ以上人間関係を広げると大変かなと思ったり。
酒井:その感覚は僕もわかります(笑)。
篠原:自衛は大事ですよね。
佐倉:でも私はひとたび“好き”の枠に入れてしまえば、相手の良い部分しか見えなくなるんです。……さて、そんな自分の“弱点暴露大会”となった今回ですが、どうですか鬼頭さん!
篠原:さらけ出しましょう!(笑)
鬼頭:私の場合は初対面の人からテンションが低いという印象を持たれがちなんですけど、自分としては明るくてテンションも高いタイプだと思っているんです。ただ、思っていることをすぐ口にしてしまうことも多いので、むやみに人を傷つけないように低いところでテンションを保っている部分もあるのかもしれません。
佐倉:彼女の発する文字情報と映像情報のギャップはすごいんですよ。文字はおじさん構文で「!!」の絵文字とかをいっぱい使っていたり。
篠原:Twitterの感じですよね。
鬼頭:文字の私が内なる本来の姿なんですよ。
篠原:でも口から出ると絵文字がついてないと(笑)。
佐倉:アウトプットが間違ってるんだよね(笑)。
鬼頭:子供の頃は文字のままの明るい感じだったんです。でもそれで引かれてしまうことや、テンション間違っているのかな?と思うことも多くて、だんだんと抑えるようになっていって。
佐倉:でもそれは空気が読めるからだよね。
鬼頭:だから仲が良い人にはテンションが高いところや、怒ったり泣いたりする私も見せるようになります。
篠原:私はあやねるさん(佐倉さん)が今さらっと「でもそれは空気が読めるからだよね。」と言った時に、あかりん(鬼頭さん)が“好き”の枠に入っているんだなって思いました(笑)。
鬼頭:本当に佐倉さんはよく褒めてくれるんです(笑)。
佐倉:恥ずかしいな!(笑) 川島さんはあまりイメージが変わらなさそうですよね。
鬼頭:たしかに、裏表がなさそう。
川島:友達や家族ともこんな感じですね。でも僕も篠原さんと同じく「人類100%好き」なタイプだと思っていたんですけど、とあるバイトをしていた時、店長に「なんか零士って誰のことも好きじゃないでしょ?」と言われたことがあって。
佐倉:一周回るパターンね(笑)。
篠原:でもわかります。私の「100%好き」は、もしかすると「人にまったく興味がない」の裏返しなんじゃないかと悩む時があって……。
川島:僕もそうなんです!!
篠原:これにもきっと自衛本能が働いていて、「100%好き」と思っていないと自我を保っていられないというか。
鬼頭:その裏返しになってしまう感覚わかります! 好きな人には余計なことを言ってしまうんですけど、興味があまりない人が何か変なことをしていても許せるみたいな。
佐倉:明里に言われたことで余計だなって思ったことないけど、もしかしてまだ“好き”の枠に入ってないの!?
鬼頭:逆に(佐倉さんが)私を好きの枠に入れてくれているから「あれ、言ってよかったのかな?」って思うことはある。
佐倉:そうか~(笑)。みんな優しいなあ……。
川島:僕の答えが見つかっていない……(笑)。最近、メンタリストの方の動画をよく見るんですよ。
篠原:大丈夫!?
川島:みんなに好かれようとして、逆に好かれにくくなっているのかなあ……。
鬼頭:怒ることはないんですか?
川島:ありますよ! 僕はまったく知らない他人に厳しいんです。
佐倉:……これなんのインタビューでしたっけ?(笑)
酒井:でも聞いていて本当に面白いですね。
川島:ぼっちゃま(酒井さん)はどうなんですか?
酒井:僕は人前ではあまり感情を表に出さないタイプなんですけど、一人の時はテンションが高いんです。
佐倉:運転やゲームをしている時とか?
酒井:運転している時は普通なんですけど、ゲームはやばいですね。昔は何個コントローラーをダメにしてしまったことか……。
鬼頭:それは思うようにできない自分にイラついてしまうのか、相手のプレイにイラついてしまうのか、どちらなんですか?
酒井:どっちもですね……。なんか恥ずかしくなってきました(笑)。
一同:あはははは!
篠原:みんな自衛本能が働いた結果なんでしょうね(笑)。
酒井:自分の守り方の違いというか。
佐倉:役者は感受性豊かな人が多いから、全部を取り込んでいると壊れてしまいますからね。
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――バラエティーパートが終わったところで(笑)、次にお仕事や人間関係などにおいてみなさんが「相手の信頼に応える」ために大切にしていることを教えてください。
鬼頭:その「相手の信頼」がどのようなものかを理解することも大事ですよね。自分の何を求められているのかを考えるというか。
篠原:私は勝手に相手の考えを理解しようとして、その結果できなくて、勝手に落ち込むタイプですね。
佐倉:「できなかった」という状態はどうやって確認しているの?
篠原:たとえば、あかりんみたいに相手に「言いすぎたかな?」と思った時に、自分の中で「すごく嫌なことを言ってしまったかもしれない」と深く考えてしまうんです。それを相手に確認する勇気もなくて。
鬼頭:私の場合は「この前あんなこと言ったけど、傷ついた?」ってすぐに確認して、謝るようにしてる。
篠原:謝るのは大事だよね。あと、お仕事においてはできるだけ「相手の目を見ること」を心がけています。
佐倉:たしかに最初の頃は篠原さんと目が合いすぎて、ちょっと怖かったです(笑)。
篠原:なんとなく自分でもわかっていたんですけど、癖になっているんですよね(笑)。だから「あやねるさんとの距離感を測りかねてしまった……」と思って落ち込んでいました。
佐倉:でもやめなかったよね?
篠原:本当に仲良くなりたかったから諦めきれず(笑)。ここで諦めてしまったら、あやねるさんの方から来てくれることはないと思ったので。
鬼頭:たしかに(笑)。
篠原:だからまずは「相手の目を見て、相手を読む」ということを大切にしています。
佐倉:そのおかげで仲良くなれたと思います。
篠原:よかったー!!
一同:あはははは!
酒井:僕は「相手に期待しないこと」ですかね。「これだけ相手に尽くしたのに何も返ってくるものがなかった……」と思いたくなくて。
篠原:あやねるさんも以前同じことを言っていましたよね。
佐倉:まったく同じことを言いました(笑)。「与えるなら無償の愛」と。
酒井:だからお金と一緒ですよね。貸したら返ってこないものだと思っています。
川島:僕は「名前を知っている人はちゃんと名前で呼ぶ」ということを心がけています。お仕事においては「まずは自分が楽しむ、そして場の空気を楽しくする」ということを大切にしています。
――寒暖差のある興味深いお話をたくさん聞くことができて嬉しいです(笑)。最後に視聴者のみなさまへメッセージをお願いします。
鬼頭:2期ではケイトが推理をするシーンがたくさんあって「どこで呼吸すればいいんだろう?」というくらい喋っています(笑)。視聴者のみなさんもケイトと一緒に「シャドーハウス」や「ローブ様」の謎を推理していくような気持ちになりながら、2nd Seasonを見届けていただけたら嬉しいです。
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篠原:ケイト様と一緒に謎を追いつつ、エミリコなりにも考えて頑張っています(笑)。きっと2期でも何かしら彼女の成長を垣間見ていただけると思いますし、“謎が謎を呼ぶ展開”が今後のポイントになってくると思うので、みなさんも一緒にその謎を解き明かしていきましょう!
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酒井:1期の頃から作品を応援してくださったみなさんのおかげで、この度2期を迎えることができました。「シャドーハウス」の核心へ少しずつ迫っていく物語となっていますので、みなさんも推理や考察を楽しみながら、さらにパワーアップしたジョン様やショーンの活躍にもぜひご期待いただければと思います。
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佐倉:とても綺麗に完結した1期から2期へと作品をつなげられることを大変嬉しく思っています。キャラクターたちをさらに深く掘り下げることができ、各々の見せ場もふんだんに盛り込まれた2期となっていますので、地続きとなった「シャドーハウス」の謎と合わせて、彼らの活躍にご注目ください!
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川島:パトリック様とリッキーは謎解きのシーンではあまり活躍しないので(笑)、個人的にもこれからどんな展開がアニメーションで描かれるのか楽しみで仕方ありません。みなさんと一緒にリアルタイムで楽しみながら、1期の頃から印象が変化してきたパトリック様とリッキーの姿にも注目してご覧いただければと思います。
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(C)ソウマトウ/集英社・シャドーハウス製作委員会