全4話を通して若くてまだ弱さもある素子から“強い素子”につながるという決着になると思うのですが、border:4まで制作して、今振り返ってみるとどうですか?
―冲方
素子の色んな側面を描けてよかったなと思います。素子が人間になったので、それが一番の課題でしたね。とにかく色んな面を見せようと思いました。弱い、孤立してる、恋人もいて恋愛もする、そしてだまされる(笑)。
―AA
素子に恋人がいて、おかしな言い方ですがちゃんと恋愛をしている素子を見ることができたborder:3はすごく異質な感じがしました。見ちゃいけないものを見たような。
―冲方
border:3は黄瀬さんが監督も担当したので。そこはもう黄瀬さんの力です。生脚から始まって、脚だ! 恋だ! と。
―黄瀬
素子の声を担当してくださった坂本真綾さんも「なんだか照れる」って言ってました。
―冲方
坂本さんはすごく照れてましたよね。素子の恋愛は、「見ていいのかしら」みたいなタブー感はありましたけれども、そこを打ち破れたのがよかったのではないでしょうか。素子にからめるキャラクターの幅がぐっと広がった。
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―AA
素子の未熟さや若さを表現するために、何を盛り込むか、どういう面を見せていこうか、という脚本を作る前段階で話し合いなどがあったのでしょうか。
―冲方
『border:1』の時に意識したのは、とにかくかわいげのある素子を描くこと。仲間を集めるにあたって必然性を作る必要があるので、オールマイティな素子だとそれが無くなってしまう。
―黄瀬
“強い素子”だと、自分で何でもできてしまうから、それだと仲間なんか必要なくて1人で良いじゃないかとなってしまうんですよね。
―冲方
そうなると仲間が集まってこなくて、過去に遡った物語としてつながらなくなる。それだとおかしいんですよね。原作の時にすでに仲間がいるので、その前段階としてはオールマイティではないはず。「border:1」ではかわいげ、あどけなさ、あとは純粋さみたいなものが出ていて、少年的というか、中性的な素子になったと思います。
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