映画「ホビット― 竜に奪われた王国」を生み出したWETAのマジック WETAワークショプで働く大橋将行さんに訊く | アニメ!アニメ!

映画「ホビット― 竜に奪われた王国」を生み出したWETAのマジック WETAワークショプで働く大橋将行さんに訊く

世界最高峰の映像を映像・造形を生み出すWETAでの仕事とはどういったものだろう。WETAワークショップで、造形アーティストとして働く大橋将行さんにお話を伺った。

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J・R・R・トルーキンの原作を大スペクタル映画とした『ホビット― 竜に奪われた王国』が現在、日本で公開中だ。『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズに連なるこの物語は、ホビットのビルボを主人公に、“一つの指輪”がなぜ再び世に現れたのかの馴れ初めを描く。
とりわけ今回はドワーフから王国を奪った邪悪な竜“スマウグ”との戦いが見せ場となっている。そのスペクタクルな映像が、観客の目を奪うに違いない。まるで本当に存在するかのような巨大な竜、壮大なドワーフの地下宮殿、そして輝くばかり宝物、森の奥に佇むエルフの王国…だ。

こうした映像を生み出しているのが、本作の制作を担当するWETAである。WETAは、『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』だけでなく、『アバター』、『キング・コング』などいくつものメガヒットを創り出し、世界に衝撃を与え続けている。
ニュージーランドの首都・ウェリントンに拠点を構えるWETAは、いかにしてこのクリエイティブを実現しているのだろうか。その秘密は、ニュージーランドという土地柄にもありそうだ。今回WETAワークショップで、造形アーティストとして働く大橋将行さんにお話を伺った。世界最高峰の映像を映像・造形を生み出すWETAでの仕事とはどういったものだろう。

abesan■ 飛び込みで得たWETAで働くチャンス

大橋将行さんは、WETAワークショップで造形アーティストとして活躍している。なかでも2012年、2013年にウェリントン空港に出現した巨大オブジェの制作は大きな話題を呼んだ。『ロード・オブ・ザ・リング』、そして『ホビット 思いがけない冒険』に登場した不気味なゴラム、そして『ホビット 竜に奪われた王国』では魔法使いのガンダルフを巨大なサイズで作りあげたものだ。この制作をした。
大橋さんによれば、この巨大オブジェは、塗装や中の鉄骨を組んだり、ファイバーグラスを担当した人なども含め総勢17~8人、オブジェの制作には3週間ほどかかったという。
「僕が関わったのは、約3週間くらいです。WETA自体はデザインや設計などの準備に時間がかかっていたようです。機械で大ざっぱにかたちを起こしてあった発泡スチロールに皺を入れたりする「削り出し」の作業は2週間半ほどかかり、ほぼ僕一人でやりました。」

重要なポジションをまかされたこうした成功も、決して簡単に手にしたものではなかった。WETAに行き着くまでには様々な苦労があった。
大橋さんは、WETAで働くようになったきっかけをこう話す。「『ホビット』の撮影が始まる直前頃、オークランドに住んでいました。その時に自分の履歴書や作品集をWETAへ持ち込んでみようと思い、アポなしでWETAのあるウェリントンへ飛びました。普通は立ち入り禁止だろうと思っていたのですが、ダメもとで行ってみたら、WETAの人たちは温かく迎えてくれたんです。そこで偶然、WETAのCEOリチャード・テイラーが話を聞いてくれることになったんです。本当にラッキーですよね。」
本人はラッキーとさりげなく話すが、相当の勇気とガッツを持ったものである。この時にリチャード・テイラーさんが、「そろそろ『ホビット』が始まるので、そのときに連絡します」と話したことが、WETAで働くきっかけとなった。実際には、WETAよりも先に『ホビット』のセットが作られた3 foot 7(Stone Street Studio)からの仕事依頼が入ったことで、彫刻家としてセット制作にあたる。『ホビット』の撮影終了後、WRATでの巨大ゴラムの制作の参加につながった。

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(C) Weta Workshop Ltd Photo credit:Steve Unwin


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