(C) Weta Workshop Ltd Photo credit:Steve Unwin
■ 『ロード・オブ・ザ・リング』『キング・コング』への興味で引き寄せられたニュージーランド
大橋さんはなぜ、ニュージーランドを自身の仕事の場所に選んだのだろうか。大橋さんは、もともと映画好きな少年だった。映画業界に興味を持ったきっかけをこう話す。
「5歳か6歳の頃に『ターミネーター』を観ました。当時、アーノルド・シュワルツネッガーの顔が半分頭ロボットだったシーンが悪夢のように頭から離れず、3~4日の間眠れませんでした。映画業界の仕事をしており、ハリウッド映画に詳しかった父に“これは人が手で作ったものなんだよ”と教えられて、恐怖がだんだん興味へと変わりました。その頃から映画業界で働きたいと思うようになりました。」
やがて、それが夢から現実の行動に移って行く。「彫刻や絵画など色々とチャレンジ。自分なりに特殊メイクを勉強したりもしました。次第にこの夢から離れなくなり、それ以外に興味がなくなってしまいましたね(笑)。」
「小さい頃から、目標はずっとハリウッドに置いていました。」と語る大橋さんの目標の地が、ニュージーランドに変わったのも映画である。
「英語を勉強するため留学について調べていくうちに、ニュージーランドに出逢いました。環境も日本ととても似ていました。また『ロード・オブ・ザ・リング』や『キングコング』という名作がニュージーランドにあるWETAが手掛けたことで、興味が大きくなりました。そこから10年くらいWETAを追いかけ続けていました。」。映画製作の重要な国として成長するニュージーランド、その中心となるWETAが、ハリウッドを飛び越えて大橋さんの心を捉えようだ。
実際に映画界で、ニュージーランドの重要性は近年ますます増している。アーティストたちの創り出す映像の評価の高さ、そして映画ロケーションの場所としての魅力の高さもそのひとつだろう。それはニュージーランドの豊かな自然とも無縁ではない。それが最適な映画のロケ地を生み出すだけでなく、クリエイティブの源泉となる。
大橋さんもニュージーランドの魅力を次のように説明する。「空気が新鮮ですし、水もきれいです。ウェリントンは風がちょっと強いですが、四季もはっきりしています。とても住み心地がいい国です。WETAの周りにも自然があります。外を見たら木が沢山あって家がポツポツと建っていて…。そして、ニュージーランド人は、温厚な方が多いですよ。」
(C) Weta Workshop Ltd Photo credit:Steve Unwin