「九十九」森田修平監督インタビュー 「じわじわとくる、おかしみのあるアニメ」 | アニメ!アニメ!

「九十九」森田修平監督インタビュー 「じわじわとくる、おかしみのあるアニメ」

森田監督の作家性がいかんなく凝縮された『SHORT PEACE』「九十九」が、第86回米国アカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされた。その特殊な制作体制からショートアニメへの思い、そして監督の新たな歩みまでを伺った。

インタビュー
森田修平監督
  • 森田修平監督
  • 『九十九(つくも)』
  • 『九十九(つくも)』
  • 『九十九(つくも)』
2013年7月20日に公開された、短編4作品とオープニングからなるオムニバスアニメ『SHORT PEACE(ショート・ピース)』。大友克洋監督作『火要慎(ひのようじん)』、安藤裕章監督作『GAMBO(ガンボ)』、大友克洋の短編マンガを原作としたカトキハジメ監督作『武器よさらば』、森本晃司監督によるオープニングアニメーションといった巨匠たちと作品と並び上映された、俊英・森田修平監督による『九十九(つくも)』が、このたび第86回アカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされた。

『FREEDOM』の達成により日本有数の3Dアニメ作家と目される森田監督が綴った、デビュー作『カクレンボ』から続く民話的で独特な世界観と、それを織り成す3DCGによる新世代の映像美。
そんな『九十九』をめぐる本インタビューでは、14分という短い時間ながらも、森田監督の作家性がいかんなく凝縮された本作の魅力を中心に、その特殊な制作体制からショートアニメへの思い、そして森田監督の新たな歩みまで、お話を伺った。
[取材/構成 高瀬司]

『SHORT PEACE(ショート・ピース)』
/ http://shortpeace-movie.com/jp/

abesan■ 少人数体制ならではの偶然

― 『九十九』のアカデミー賞短編アニメーション部門へのノミネートおめでとうございます。

― 森田
ありがとうございます。

― 『FREEDOM』が『パトレイバー』『オネアミスの翼』と並び、アメリカではじめて出されたHD DVD仕様のアニメタイトルであったりと、以前から海外での人気も高かった森田監督ですが、『九十九』を作られている際にも海外からの目というものは意識されていたのでしょうか。
たとえば作中に散りばめられた和のテイストであるとか、エコロジカルなテーマといったものは、海外のアニメファンへのフックともなりうるものだったと思います。

― 森田 
はじめに『SHORT PEACE』の企画をいただいたときには、「日本」をテーマにして海外の映画祭にも出展するということは聞いていたのですが、そのことを特別に意識するというようなことはなかったですね。一番にあったのは、以前から描いてみたかった「妖怪もの」というテーマを掘り下げてみたいという狙いでした。
なので和のテイストの映像も、あくまで物語から必然的に導かれたもので、特に和紙を用いたテクスチャは、モノに取り憑く「九十九神」を描くからには、物質それ自体の立体感や質感が重要になってくるだろうと最も試行錯誤を重ねた部分の一つです。

― あの和柄のテクスチャはバリエーションも豊かで、画面の彩りとして印象的でした。デザインの素材には何を使われていたのでしょうか。

― 森田 
千代紙をスキャンして使っています。短編ということで制作チームも少人数で、言葉は悪いですがデザインを発注できるだけの予算もなくどうしたものかとだいぶ悩んだのですが、あるとき妻が子どものために千代紙を買ってきたのを見て「これだ!」と。
日本の伝統柄なら著作権上の問題もないですし、データで取り込んでテクスチャにするだけなら大きなサイズのものを買わなくていいので、予算を気にせず様々な柄を準備できる。そうして「これは肌に使えそうだな」とか「これは傘に貼ってみよう」とか色々と試しながら、しっくりとくる柄を探っていきました。
そうしたトライアンドエラーを繰り返しながら制作が進められるのは逆に、少人数体制ならではの利点ですね。

それに、いくつかの場面で主人公の肌にシミやホクロが付いているじゃないですか。あれって実は、和紙についていた汚れがたまたま映り込んだ、偶然の産物なんですよ。

― それは驚きです。シミというと、ラストのあくびのシーンをはじめ、映像にアクセントをもたらすユニークな演出と感じていたので。

― 森田 
あのアクビの動作もこだわりの一つなのですが、あそこで右腕にあるシミも偶然映ってしまったものを面白いからと残したものですね。もちろん普通に考えるとただのミスですから、今回もはじめはスタッフから修正されかけました。ただ僕がそのときたまたまそこにい合わせて、これは面白いから残そうと(笑)。
これもポストプロダクションにまで間近に立ち会える、少人数の制作体制だからこそできたことですね。一般的な大人数での制作現場では、知らない間に処理されてしまっていて、こうした想定外の映像効果としては残せていなかったと思います。

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