■ キャラクター造形の難しさ
―― アニメ!アニメ!(以下AA)
実際に「009」にとりかかった時のキャラクター造形の難しさとかはありましたか?
―― 鈴木大介氏(以下 鈴木)
実は、そのこと自体には難しさはありませんでしたね。もともと3Dでやるというプロジェクトだったので、それがセルタッチかそうでないかの揺れはあったかもしれませんが。そもそもの麻生(我等)さんのキャラクターデザインが3D向けに描かれていたんです。立体としてのキャラクターとして、整合性のあるデザインでした。
―― AA
3Dで動かしやすい感じですか?
―― 鈴木
これは経験則ですが、目鼻はリアルであるほど3Dは作り易いんです。例えば目が大きな女の子は3Dで再現しようとすると、どうしても嘘が目立ってしまいます。2Dで嘘をつけるのは、動き自体も手描きで嘘をつけるからです。だけれども、3Dの場合は、目が大きくて可愛いキャラクターを作っても、実際に動かすとリアルに動いてしまい、それでかえって嘘が目立つわけです。
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―― AA
ジョーの髪型もよく考えると不自然ですよね。
―― 鈴木
最初にお話をいただいた時は、あのジョーの髪をどうやって立体に落し込むかな、無理じゃないかと思ったんです。でも、デザインの時点で、押さえられていました。
映画のジョーは、確かに僕たちの知っている雰囲気は出ています。でも、実はよく見ると髪型もリアルめで、ツンツンさせて前に髪を垂らしている感じです。
確かに難しかったですけれど、デザイン段階でそこまで持っていっていただいたのがありがたかったですね。
―― AA
逆にキャラクター造形で難しかった点はありますか?
―― 鈴木
フランソワーズですね。デザインは作りながら決めていきました。フランソワーズは、当初のペプシのコラボレーション映像でも登場しています。実は本編とペプシの顔は違うんです。ペプシのほうがやさしめの顔をしているんです。
あれは石ノ森(章太郎)先生の003を取り込んでみたらどうなるだろうとやってみたものです。マンガのフラソワーズは、なかなかジョーへの気持ちが届かない、はかない感じがします。優しい目となっています。
ただ、映画版を作るにあたって絵コンテを読んでみたら、このフランソワーズはもっと強いなと思いました。そこでペプシとは違った芯の強そうなデザインにモデリングし直しています。
後編に続く
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発売元: バップ