■ 魅力的なキャラクター、悲劇的な運命、そして幕末という時代新選組の魅力はなんといっても登場人物の多彩さと彼らのたどった悲劇的な運命だろう。新選組の隊士の多くは浪士であり、町人、農民出身の者もいた。局長の近藤勇自身も農民の三男だったし、土方歳三も農民の出身だった。沖田総司は肺結核で夭折、その他の面々も粛清されたり脱走したり、と数奇な運命をたどる。どの人物も“主人公”になれる中味の濃いキャラクターばかり。つかこうへいの戯曲「幕末純情伝」では沖田総司は女性として登場させているし、とにかく新選組は作家の想像力をかき立てられる題材なのだろう。そして今回のミュージカル「薄桜鬼」は沖田総司が中心となる。また、新選組と対立関係にある倒幕派も多士済々。坂本龍馬始め、勝海舟、西郷隆盛等、とにかくキャラ揃い。“対立関係”にあるものが強大だったり魅力的であったりすると、それだけ主役は際だつ。「薄桜鬼」もそうだが、新選組等の幕府側を扱った作品も倒幕派中心に描かれた作品も、どちらも正直面白い。今、オンエアされている大河ドラマ「八重の桜」も時代はまさしく幕末、NHKの大河ドラマで繰り返し幕末物が放送される所以ではないだろうか。