「SOUND THEATRE×夏目友人帳」一日だけ一期一会の公演で蘇る音楽朗読劇 | アニメ!アニメ!

「SOUND THEATRE×夏目友人帳」一日だけ一期一会の公演で蘇る音楽朗読劇

連載・コラム 高浩美のアニメ×ステージ/ミュージカル談義

『夏目友人帳』が音楽朗読劇として、
たった1日の一期一会の公演で蘇る、
『SOUND THEATRE×夏目友人帳~集い 音劇の章~』


高浩美の
アニメ×ステージ&ミュージカル談義
[取材・構成: 高浩美]


■ 10年目の『夏目友人帳』、ファン待望の“音劇”

『夏目友人帳』の連載が始まって今年で10年となる。『LaLa DX』2003年7月号に掲載、その後同誌2005年から読み切りシリーズとして隔月連載、2007年からは『LaLa』で連載されるようになった。
アニメシリーズは2008年から始まり、1期~4期まであり、4期は2012年に放送された。また『LaLa』の付録としてドラマCDが制作されたこともある。

物語の主人公の夏目貴志は妖怪が見える特殊能力を持っている。そのためにしばしば孤独を味わっていた。ある日、祖母の遺品から「友人帳」を見つけるが、それは、かつて祖母・レイコが妖怪をいじめ負かして名前を奪った妖怪の契約書だった。その書を持っているがために名を取り返したい妖怪たちから狙われる羽目に。そんな夏目はひょんなことで自称用心棒のニャンコ先生(班)と出会う。それから、ニャンコ先生と共に妖怪たちに名前を返す日々が始まる。
今回の『SOUND THEATRE×夏目友人帳~集い 音劇の章~』はアニメシリーズの声優が集う。しかも公演は2回だけ、まさに一期一会、作品ファン待望の企画と言えよう。

■ 過剰な演出を排除、イマジネーションをかき立てる手法で『夏目友人帳』の世界を紡ぐ

演出は藤沢文翁が手がけるが、2005年に劇作家・演出家として英国にてデビューし「手に汗握る朗読劇」として「SOUND THEATRE PROJECT」を創設、意欲的な作品を次々と世に送り出している旬のクリエイター。
今回の脚本と演出を手がける。音楽は『夏目友人帳』シリーズの吉森信、2幕で構成しているが、2幕目はオリジナルストーリーでしかも昼公演と夜公演、異なる物語だそう。なかなか贅沢な公演である。

1幕はアニメ第1期、第8話「儚い光」をベースにした音劇版「儚い光~きずな~」。日本情緒漂う舞台で、“木立”や神社にある灯篭がしつらえてあり、そこに溶け込むように演奏者が入る。声優陣は皆、着物姿でまさに“和”テイストで風情を感じる。音楽・照明・効果音・声で『夏目友人帳』の世界を紡ぐ。
「ホタル」と名乗る「妖」の物語で、人気エピソードのひとつである。切なく、物悲しいが、夏目や妖、人々の絆を感じる心に染み入るストーリーをイマジネーションかき立てる演出で魅せる。第2幕は演出家のオリジナルストーリー。物語に入る前にファンサービスで賑やかに始まる。客席に降りての“客いじり”は正直、楽しい。
その間に演奏者がスタンバイ、それから、客席にお香を振りまく。粋な計らいである。本編に入る前の“陽”なオープニングはメリハリがあって飽きさせない。

夜は「偽り神」という物語(夜公演)。出征したお爺さんがお婆さんに残した1本の掛け軸。大切にするうちに掛け軸にツクモ神が宿った。お婆さんは他界したが、孫の代になってもツクモ神は見守ることを忘れなかった…。
一途なツクモ神の想いは片思いに近い感情で、その想いを夏目が受け止めるところは泣ける。そこはかとなく寂しさが漂うが、運命を受け入れながらも、人の幸せを見届けたいというツクモ神の熱い思いに心も熱くなれる、染み入る話である。

過剰な演出を排除し、観客のイマジネーションをかき立てる手法はいかにも演劇的で『夏目友人帳』の世界を紡ぐ。日本の伝統芸能の能にも通じたテイストは日本の観客には馴染み易い。
会場は有楽町の国際フォーラムA、客席数は約5000。これだけの観客の心を掴むのは並大抵ではないが、声優陣の圧倒的な求心力には脱帽。それを彩る音楽の力で5000人の気持ちを揺さぶる。昼、夜共にチケットは完売したそう。こういった試みは何度でもやって欲しい。

□ 新作OVA『いつかゆきのひに』、『SOUND THEATRE×夏目友人帳~集い音劇の章~』を収録したBlu-Ray/DVD、2014年2月5日発売決定

『SOUND THEATRE×夏目友人帳~集い音劇の章~』
9月28日
国際フォーラムA
/http://natsume-ongeki.soundtheatre.jp/
アニメ公式サイト
/http://www.nasinc.co.jp/jp/natsume-anime/
《animeanime》
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