広島国際アニメーションフェスティバルから見えるアニメーションの現在 | アニメ!アニメ!

広島国際アニメーションフェスティバルから見えるアニメーションの現在

【独自色の強い国際アニメーション映画祭】
 8月6日から11日までの5日間、広島市のアステールプラザで第12回広島国際アニメーションフェスティバルが開催された。
 手塚治虫の希望に沿うかたちで1985年に第1回が開催された広島国際アニメーションフェスティバルは、

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【独自色の強い国際アニメーション映画祭】
 8月6日から11日までの5日間、広島市のアステールプラザで第12回広島国際アニメーションフェスティバルが開催された。
 手塚治虫の希望に沿うかたちで1985年に第1回が開催された広島国際アニメーションフェスティバルは、隔年で開催されている。

 広島国際アニメーションフェスティバルは、フランスのアヌシー、クロアチアのザグレブ、カナダのオタワとで世界4大アニメーションフェスティバルと並び称される。
 しかし、広島では各賞を競うコンペティションについて、他のフェスティバルと異なる点が多い。そのひとつは、広島は原則30分以内の短編のみしか審査の対象としてしないことである。また、一般や学生、TVやCMなどといった部門別にも分けられていないなどユニークな点が多い。

 通常のアニメーション映画祭では、選外となった作品をパノラマとして上映する。ところが広島は、こちらにも特徴がある。
 コンペティション以外の上映作品は、「ベスト・オブ・ザ・ワールド」、「学生優秀作品集」、「子どものためのアニメーション」、「平和のためのアニメーション」などといったカテゴリーに分けられ上映される。広島では、これらの中にコンペティションに入選した作品の一部も含まれていたりする。

【広島の審査委員の厳しい眼】
 そして、広島の独自の厳しい審査も垣間見える。例えば今回は、昨年のアヌシー国際アニメーションフェスティバル短編部門グランプリ(クリスタル賞)や第80回アカデミー賞短編アニメーション部門を受賞した『ピーターと狼』は、コンペティションの本選から外れ、「ベスト・オブ・ザ・ワールド」での上映となっている。
 こうしたことは広島以外でも見られるが、作品が入選するかどうかは審査員個々人の裁量に委ねられる部分が大きい。

 上映企画のなかでは、「現代日本のアニメーション」が国内の優秀作品に絞られているのもあってか、人気のプログラムの1つとなっていた。
 今回は、スタジオ4℃の短編オムニバス『Genius Party』から福島敦子氏の『Genius Party』と福山庸治氏の『ドアチャイム』や、カプコンの人気格闘ゲーム『ストリートファイター4』のオープニングムービーなども上映されていた。

【アートだけでない作品の多様性】
 広島国際アニメーションフェスティバルに限らず、国内大小の短編作品を扱うイベントや上映会は押し並べて「アート」とされてしまいがちである。これについては山村浩二氏が主宰する活動グループ「Animations」が、会期中に開催したイベントでも述べられた。
 しかし、実際に上映されているのは2D、3D、人形、実写合成などといった多種多彩な作品である。内容も一発ギャグやスピード感溢れるものも少なからずある。一般的によく想起され易い、難解で実験的といったイメージのみで、広島国際アニメーションフェスティバル片付けてしまうにはあまりにも勿体ない。

 一方、2004年から開始され、同時期に開催される広島アニメーションビエンナーレでは、劇場長編や、テレビシリーズが主に扱われている。
 また、今回の第12回広島国際アニメーションフェスティバルでは、手塚治虫生誕80周年を記念したプログラム「手塚治虫回顧上映」も催された。こうしたことは、次回の開催へ向けて節目になったように思われた。
【真狩祐志】

広島国際アニメーションフェスティバル /http://hiroanim.org/
広島アニメーションビエンナーレ /http://www.hiroshima-animation-biennale.jp/

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