「ワンピース」はどう進化してきたのか? 20年超えても読者の心をつかみ続ける“5つのポイント” | アニメ!アニメ!

「ワンピース」はどう進化してきたのか? 20年超えても読者の心をつかみ続ける“5つのポイント”

1997年から「週刊少年ジャンプ」で連載を開始し、コミックスの累計発行部数は前人未到の4億7000万部超を売り上げ、TVアニメは今年21年目を迎える。今回は、歴史を塗り替え続ける『ワンピース』の“進化点”を、5つのパートで紹介する。

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「週刊少年ジャンプ」(著者撮影)
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誰もが知る国民的マンガ『ワンピース』

1997年から「週刊少年ジャンプ」で連載を開始し、コミックスの累計発行部数は前人未到の4億7000万部超を売り上げ、TVアニメは今年21年目を迎える。
ハリウッド実写化も発表され、今だ人気が衰えない。

今回は、歴史を塗り替え続ける『ワンピース』の“進化点”を、5つのパートで紹介する。
20余年にわたる歩みの中で、本作がどのようにギアを上げ、読者&視聴者の心をとらえて離さないのか。改めて考えてみたい。
[文=SYO]



1.【物語】自ら立てた法則を打ち破った「シャボンディ諸島」編


『ワンピース』の構造が秀逸なのは、「主人公が新しい島に行く→住民たちの哀しい過去に触れる→敵とのバトルの末、解決する」という物語の流れがはっきりしていること。
「バトル」に「ドラマ」を絡めつつ、決まった法則を作ることで受け取り手にわかりやすく提示している。その過程で仲間に出会い、チームが強化されていくという流れも興味深い。

同時に、島ごとに世界観を明確に分けることで、読者を飽きさせないような工夫も凝らしている。
アラバスタ→砂漠、ウォーターセブン→水上都市、スリラーバーク→お化け屋敷……といった具合に。多彩なキャラクターに焦点が当たりがちだが、彼らが躍動する「場」の構築も実に巧みだ。

しかしこの流れが、あるタイミングで破壊される。
それが「シャボンディ諸島」編。ルフィたちは海軍本部大将・黄猿や人間兵器パシフィスタの前に完全敗北し、その場に居合わせた王下七武海のくまによって別々の島に飛ばされる。そして各々の修業編→2年後の再会へとつながるのだ。

その後は従来の「主人公が新しい島に行く→住民たちの哀しい過去に触れる→敵とのバトルの末、解決する」の流れに戻るが、間に一度「スクラップ&ビルド」を挟むことで鮮度を保つ手腕は、なかなか他の作品ではお目にかかれない妙手といえよう。

2.【バトル】強さのインフレに対する回避策――「敗北」の描写


バトルマンガが陥りやすいのは、俗にいう「強さのインフレ」。主人公が強くなる→敵も強大に、という一辺倒になってしまい、読者が飽きてしまうのだ。
しかし『ワンピース』においては、その対抗策として「敗北」や「弱さ」を初期から入念に編み込んでいる。
まずは、ルフィたち「悪魔の実」の能力者が「泳げない」という弱点を有していること。
そしてルフィが最強ではないこと。


「アーロンパーク」編では、ルフィが「おれは助けてもらわねェと生きていけねェ自信がある!!!」と叫ぶが、周囲の人間のサポートがあってこそ勝てる=人を味方につける“強さ”を描いているのだ(ルフィはこれまでのシリーズで何度も食中毒で死にかけており、そのたびに仲間や友人に救われている)。

バトルにおいても、ルフィはかなりの確率で敗北を喫する。象徴的なのは、宿敵クロコダイルとのバトルだろうか。一戦目は串刺しにされ、二戦目は干からびさせられ、三戦目でようやく勝利を収める。
「強さの序列」を手を抜かずに描いているため、アクションマンガでよくある「バトルシーンの“主人公補正”」感を抱くことがなく、冷めない。

クロコダイルとの戦闘後は、ベラミーを秒殺するほどの強さを見せるが、そのまま強さのインフレを駆け上がることなく、エネルとの対決では「ゴムと雷」という能力差でバトルにギャグを持ち込む演出も見事。
その後も、圧倒的に格下のフォクシーに苦戦を強いられるなど、いい意味で安定しないルフィの“強さ”は、本作の隠れた特長だ(最新の「ワノクニ」編でも、カイドウに瞬殺されている)。

3.【必殺技】形勢逆転の一手! 能力者への対抗手段「覇気」の導入


もうひとつ、『ワンピース』のバトルが面白いのは、チートな能力を持っている能力者にも付け入るスキがちゃんと用意されていること。
ルフィVSエネルの“能力の相性”、ウソップVSペローナの“性格の相性”などで形勢が逆転する展開もそうだが、大きいのはやはり「覇気」だろう。

当初、自然(ロギア)系の能力者は最強とされ、ルフィがスモーカーに捕まった際には手も足も出なかった。
能力者を無効化する「海楼石」というアイテムもあるが、一個人が簡単に手に入れられるものではない。そもそも、ルフィが海楼石を使うと自分の能力も奪われるため、戦闘では使えない。

そこで、覇気である。習得にはセンスと研鑽が必要だが、身につければ能力者にも攻撃を当てることができ、戦局は一気にわからなくなる。
この覇気の描写も、本格的に登場する以前から伏線が敷かれており、後付け感は皆無。

さらに「武装色」「見聞色」「覇王色」の3パターンが存在し、何を習得するか、あるいは組み合わせて使うかで戦局が変わっていくため、観る側も思考をめぐらす楽しさが生まれる(この「倒し方を妄想できる」部分も、『ワンピース』の魅力の一つだ)。

悪魔の実にも「覚醒」という到達点がある、といわれているが、覇気にもまた進化の余地は残されており、今後より詳しく描かれていく、と予想されている。
ルフィ自身、「ギア」という戦闘スタイルを手に入れたが、まだまだ進化の真っ最中。いかに強者が登場しようとも、戦うすべはある――。『ワンピース』のバトルは、実に多彩だ。

4.【キャラ】ウソップに象徴される、「成長」する面白さ


『ワンピース』は魅力的なキャラクターが多数登場し、“推し”が決められないほど。
ただカッコいい・美しいキャラクターはほぼおらず、欠点があったり哀しい過去を背負っていたり、ギャグパートで意外な表情を見せたりと、表層的に描いていないのがミソだ。
サンジであれば「女好き」がギャグパートにも、「“女のウソ”は許すのが男だ」といった決めゼリフにも変化し、ストイックなゾロは、極度の方向音痴。
ミステリアスなキャラだったロビンは、動物好きだったりツッコミがいちいちグロいという性格がどんどん足されていき、読者や視聴者が一緒に“旅”をするほどに、好きになっていく仕掛けが施されている。

特に心情描写が細やかなのが、ウソップだ。
麦わらの一味の男性陣の中で最弱であるウソップ(射撃やアートの才能、いざというときの心意気はピカイチなのだが)は、ウォーターセブンでルフィと対立し、決闘の末に一味を抜けるのだが、そこに至るまでの“助走”が見事。

前々から無茶な戦いを続けるルフィを心配し、自分の“弱さ”が引っ掛かっていたウソップは、デービーバックファイトの敗北、青雉の登場(ルフィの完敗)、フランキー一家に現金強奪……といった出来事の中で自責の念に駆られ、「船を替える」という事件で劣等感が爆発。
長い時間をかけて小さな負荷を与え続け、その行動に至らせる伏線の張り方が見事だ。

その後、サンジのアドバイスやルフィへの激励で居場所を再確認したウソップは、麦わらの一味としてさらなる成長を遂げていく。
見聞色の覇気に目覚め、懸賞金2億ベリーの大物になるなど、最も進化したキャラクターといえるかもしれない。

ちなみに、TVアニメ放送20周年記念作である映画『ワンピース スタンピード』では、ウソップが陰の主役といえるほどの目覚ましい活躍を見せている。

5.【敵】再登場させ、新たな面を描く「愛情」と「拡張」


麦わらの一味だけでなく、敵キャラクターの描き方も重要な側面。「敵が味方になる」アプローチはバトルマンガの王道だが、『ワンピース』も踏襲しつつ、新たな面をどんどん引き出して、さらに魅力的に拡張させていく。

例えば、クロコダイルは「インペルダウン」編で脱獄する際に再登場。その後の「頂上決戦」編でルフィを助けつつ、白ひげへの熱い想いを叫ぶなど、これまでの冷徹さをかなぐり捨てた人間らしさにあふれたキャラクターへと“描き込み”がなされている。
クロコダイルの配下だったMr.3も、打算的な男から仲間想いの熱血漢へと変貌。

ナミの人生をめちゃくちゃにしたアーロンは、人間に迫害された犠牲者的な過去があった、というシリアスな描写が後から明かされることで、これまでの物語が補完される。
一方、四皇の一角ビッグ・マムは記憶を失うことで無垢なキャラクターに変わり、好戦的なキッドは敗戦を経験して人間的な“痛み”を抱えたキャラに。

少しずれるが、エースの死後に過去編を描くというつくりも斬新で、ドラマ面を一層高めている。
シリーズを追うごとに、これまでの物語が肉付けされ、何度も繰り返し読む/観ることで面白さが増していくのは、本作の醍醐味だ。

6.まとめ


『ワンピース』にはまだまだ魅力が多数あり、例えば「ワンピースとは何なのか」「“D”とは何を意味するのか」などの未回収の謎が大量に残されている部分も、長年ファンを引き付けている大きな要素だ。
コミックスは100巻が間近に迫り、全体の物語も佳境に差し掛かっているという。

TVアニメもワノクニに突入し、これから怒涛の展開が待ち受けていることは必至。
世界を驚かせ続けている『ワンピース』が、今後どのような“進化”を遂げるのか、楽しみに追いかけていきたい。
《SYO》

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