■ちくわに秘められたヒロイン・明日架の内面
――主人公の土宮明日架についてはいかがですか?
マフィア梶田
現代の方の明日架はちょっとエキセントリックなアホの子というイメージだったけど、パラレルのアスカはなかなかしっかりした感じでしたね。
うらまる
そういえば明日架っていつもちくわを持ってますけど、アレはどういう意味なんでしょうね?
マフィア梶田
俺も気になりました。「ちくわ様」と言っていたので、ちくわをテーマにした新興宗教か何か?
――プロデューサーによると、アレは「一本道の象徴」だそうです。「私の将来は決まってるよね」という諦めに近い感情がこの世代のテーマになっていて、ちくわはそれを象徴しているとか。
マフィア梶田
なるほど。土宮明日架というキャラクターは、思っていたより自虐的な考え方を持った複雑なヒロインなんですかね?
たしかに、青春時代なんて誰しもそういうもんですよ。表では楽しそうに見えて、裏ではドロドロとしている。だから並行世界というテーマはそこがポイントになってくるんじゃないかなって思いますね。人間って、「今の自分じゃない自分」を夢見るものですから。
俺だって学生時代、現実がつまらなさ過ぎて常に別世界を夢見てました。
うらまる
そうですね(笑)。
マフィア梶田
でしょう? 世の中全てを憎みましたよね?
うらまる
ありましたよ。そういう気分のとき。
うらまる
当時は本当にただ生きてる、っていう感じだったので。
マフィア梶田
将来の夢はなかったんですか?
うらまる
なかったんです。なりたいものが全然なくて。
マフィア梶田
やべぇ、歪み方が本当に俺と同じだ(笑)。
■フィクションの中で描かれる青春に憧れるワケ
――本作ではifの世界が描かれるということで、お二人はライターとコスプレイヤーをやっていなかったらどんな人生を送っていると思いますか?
うらまる
コスプレの世界に入ったのは本当に最近で、それまでは高校の時からずっとオムライス屋さんで働いていたんですよ。
だからifの自分はたぶんそのままオムライス屋さんで働いているんじゃないかなあ……。
マフィア梶田
もし違う道を歩んでいたら、きっとクソみたいな人生だったでしょうね。他のインタビューでもちょくちょく話しているエピソードですが、ライターになるか、裏社会に浸かってしまうかの瀬戸際だったので。あらためて、俺は最良の道を引き当てたと思っています。
――なるほど。
マフィア梶田
社会のアウトサイダーだからこそ、フィクションで描かれる青春って憧れるんですよ。
だって理想的な光景じゃないですか。我々のような、学生時代に不遇な想いをした人たちこそがそういった作品を愛し、やがて作り手になっていくんだと思います。
純粋な“憧れ”で描かれた青春時代が、心に響かないわけないですよね。
――ところで第1話で、主人公の明日架はパラレルワールドからやって来たアスカと出会いましたが、お二人はもう一人の自分と出会ったらどんな反応をしそうですか?
うらまる
ええー、どうなんだろう。リア充だったら敵だと思っちゃうかもしれません(笑)。
マフィア梶田
でも、仲良くなれないことはないと思いますよ。自己嫌悪がよっぽど強くない限り、本質的には自分自身なんですから。
うらまる
うーん、上手く付き合えるのかなあ……。
マフィア梶田
まぁ作中のパターンだと、明日架の人生がどの時点で分岐したのかが問題ですね。
生まれた時点からまったく違う人生を歩んでいるのであれば、こんなにルックスが似通うわけがない。だからどこかで分岐しているはずなんですよ。
俺はそう睨んでいるんですけど、このパターンなら分岐するまでの時点で同じような人格が構築されているはずですから、意気投合するのも難しくないかと。
――逆に自分が二人いたら便利そうですね。
マフィア梶田
同じ時間に別々の生放送へ出演できますな(笑)。
うらまる
ああー、それは良いアイデアですね! それにおそろいでコスプレとかも楽しめそうです。 『Re:ゼロから始める異世界生活』のレムとラムみたいな双子キャラも相性が良さそう(笑)。
マフィア梶田
でも、絶対に「どっちがよりクオリティが高いか」でケンカになりますよ!
うらまる
あはは(笑)。「私こっちが着たいんだけど!」って、同じ人間だから意見が被りそうですね。