現在公開中の映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』(以下『キルケーの魔女』)と直接つながりがある旧作『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(以下『逆襲のシャア』。なんと2026年3月13日から15日までの3日間、全国10館にて『キルケーの魔女』とともに同時上映されます。
1988年に公開された本作は、ガンダムシリーズ初の劇場用オリジナル作品であるとともに、アムロ・レイとシャア・アズナブルの最後の戦いを描く作品として注目されました。その戦いの中で運命の女性であるクェス・パラヤと出逢い、人生を一変させる心の傷を負ったのが『閃光のハサウェイ』シリーズの主人公であるハサウェイ・ノアだったのです。2つの作品がいかに切っても切り離せない関係かよくお分かりでしょう。
しかも『キルケーの魔女』では映画のオリジナル要素として、つながりをいっそう強める展開が繰り広げられており、『逆襲のシャア』から追いかけているファンを驚かせました。あの衝撃は未だ鮮明に残っています。
そこで本稿では再上映される『逆襲のシャア』を振り返りつつ、『逆襲のシャア』の「ここが好き!」というポイントを紹介したいと思います。
◆ファンにおける『逆襲のシャア』の存在

『逆襲のシャア』がガンダムファンの間でどのような位置づけにあるか? それは「忘れられない名作」の声がほとんどでしょう。登場するνガンダム(ニューガンダム)は2026年1月にガンプラの最上位ブランドとも言うべき「PG(パーフェクトグレード)」シリーズから6万6000円で発売されたばかりですし、ガンダムベース福岡には実物大のνガンダム立像がそびえ立っています。アムロが設計段階から関わった機体であり、最後に搭乗したガンダムでもあるということで特別に思っている人も多いはず。配色もビターでかっこいいですよね!

時系列的には歴史あるガンダムシリーズの初期に位置し、テレビシリーズ『機動戦士ガンダム』『機動戦士Zガンダム』『機動戦士ガンダムZZ』の後に作られた4作目が『逆襲のシャア』でした。しかも『ガンダムZZ』にはアムロとシャアがほぼ関わっていないので、『ガンダム』映画三部作と『Zガンダム』映画三部作さえ視聴しておけば意味が分かるところも優しいです。
内容は、『機動戦士ガンダム』と同じく地球連邦軍とジオン軍の戦いを描くというもの。アムロは地球連邦軍の大尉として独立部隊「ロンド・ベル」のエースパイロットに、シャアはジオン軍を「ネオ・ジオン」として再興しその総帥の座に就きます。人類に絶望していたシャアは巨大隕石「アクシズ」を地球に落下させて人類を粛清しようとするのですが、その一方でアムロとの決着にも執着しており、すべてを自分の手のひらの上で操ろうとしていました。

その姿はかつて彼が復讐心を燃やしていたザビ家そのもの。権力を掌握し、エゴに取り憑かれ、「クワトロ・バジーナ」としてアムロと肩を並べて戦ったグリプス戦役(『Zガンダム』)当時とは雰囲気が一変しています。反対にアムロはキャリアを重ねたおかげで頼りになるエースパイロットに。『機動戦士ガンダム』ではシャアにとって取るに足らない存在だったはずのアムロですが、今やかつてのシャアやクワトロのように、部下を率い、艦長クラスからも一目置かれる存在となっています。
そんな2人が『逆襲のシャア』でついに雌雄を決する。これ以上燃える要素があるでしょうか?

完結編とも言うべき内容だけに、映画本編では一切の説明もなくいきなり「第二次ネオ・ジオン抗争」の真っただ中に観客は放り出されてしまいます。本作のヒロインであり、アムロの恋人でもあるチェーン・アギ技術士官が、開発途中のνガンダムの顔にかけられたシートを「バサッ!」と取り払うシーンは、ファンファーレの効果もあって冒頭から高揚感を掻き立てられた人も多いはず。
◆手描きなのにハイクオリティ! 超技術の機体も登場したバトル
宇宙での戦闘では、本作で初登場した連邦側のMS(モビルスーツ/人型機動兵器)「ジェガン」「リ・ガズィ」、そしてネオ・ジオンの新型MS「サザビー」「ヤクト・ドーガ」「ギラ・ドーガ」が劇場作品らしく“よく動く作画”で激しいバトルを展開します。
「ファンネル」と呼ばれる精神感応型の小型ドローンとドッグファイトを繰り広げ、隕石の障害物を盾にしての撃ち合い。放出したダミーには機雷が仕掛けてあり、油断すると即被弾します。地の利を活かし、兵器の特性を熟知した戦術を展開し、ただの撃ち合いではない豊富なアクションを描きました。
当時のアニメ制作といえばCGではなく全部が手描き。手描きならではのデフォルメが効いた作画やアクションは劇場用作品らしく高いクオリティに。アイデア豊富な戦闘シーンは、まさに当時、ロボットアニメブームから続く伝統が光る絵作りとなっていて、異世界ファンタジーが主流となった現在ではなかなか見られない“名人芸”がそこにはありました。

注目のνガンダムも当時としては画期的な機体として注目を浴びていました。その最大の特徴は「サイコフレーム」を搭載していること。これは本作が初出の超技術で、簡単に言ってしまえばパイロットの精神感応波を増幅させる効果があります。
ガンダムシリーズには「超能力者」に分類されがちな「ニュータイプ」と呼ばれる人々が登場します。それは人類が宇宙に居住することになってから得た“進化”であり、一種のテレパシーと考えることができる才能です。サイコフレームはその精神感応波を増幅することで機体の反応速度を上げたり、思念波で動くドローン兵器「ファンネル」を簡単に操作できたりする、ニュータイプ向けの技術なのです。
νガンダムは歴代ガンダムで初めてファンネルを搭載した機体であり、「フィン・ファンネル」というフィン状のファンネルで、攻撃およびバリアも形成するというファンネルの中でも当時最先端の兵器を背中に装備していました。ガンプラでリリースされたνガンダムはそのファンネルが着脱可能、かつ「コの字」型に折れ曲がるという劇中と同様のギミックが楽しかった記憶があります。

しかも当時のガンプラは成型色の段階で色がついた「いろプラ」で、接着剤が不要になったばかりのキットであったため、作りやすく満足度が高い商品でした。なおHG・MG・PGのカテゴリ分けがされたのは90年代からであり、当時は「1/144スケール(後の「HG/ハイグレード」)」「1/100スケール(後の「MG/マスターグレード」)」「1/60スケール(後の「PG/パーフェクトグレード」)」と大きさ基準で呼ばれていました。νガンダムはビス止め式だったのも懐かしい記憶です。
ちなみにガンプラはスケールが大きくなるほどギミックが増えたりディテールが細かくなったりして、その分パーツが増えます。どのカテゴリがどれだけの難易度かという話がよく出ますが、パーツの多さが違うだけで実は組む際の難易度はHG・MG・PGともに変わりません。
さらに現在はEG(エントリーグレード)とRG(リアル・グレード)の2つのカテゴリも増えています。この2つはどちらもHGと同じ1/144スケールながら、EGは初心者向けでパーツ数が少なく、RGはMG相当のギミックやディテールを1/144スケールに落とし込んだ驚くべきキットとなっています。RGのみ特殊な成形をしているので若干難易度が高いものの、パーツの密度としてはMGと同じくらいなので、恐れずチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
なおEGは手でパーツを取り外せますが、その他はニッパーで切り離すため、少なくともニッパーは買っておいて損はありません。
◆アムロとシャアを“伝説”にした映画

さて話が脱線してしまいましたが、本作『逆襲のシャア』は、アムロとシャアの戦いをエキサイティングに描いているところが特に好きなポイントです。2時間という、テレビシリーズと比べたら圧倒的に短い時間も、展開が詰め込まれていて飽きません。本来なら13話くらいあっても良さそうな展開が目まぐるしく繰り広げられ、その要所要所で劇場作品らしい、よく動くMSバトルが楽しめます。
とくにシャアの“隕石落とし”は地上のキャラクターの視点もあり終末映画の様相を呈していました。訪れる絶望的な状況の中、思わぬ展開が怒涛のように押し寄せてあの“結末”へと至る。アムロとシャアが最終的にどうなったかは明言を控えますが、あの結末があったからこそアムロとシャアはガンダムシリーズにおいて絶対的な存在となり、語り継がれる“伝説”になったのではないでしょうか。まさに“完結編”にふさわしい結末です。
そのほか宇宙を舞台にした作品らしく細かな無重力描写や、登場人物たちのちょっとした芝居も本人の性格が覗けて、演出的にも噛めば噛むほど味がする内容となっていました。
『閃光のハサウェイ』シリーズを理解するなら観ておきたい作品である一方、ガンダムシリーズが好きならば一度は観ておいて損はないと強くオススメします。
また、TM NETWORKが担当した主題歌「BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて)」も名曲ですよね!
好きなポイントを挙げたら止まらない本作。ぜひ今一度楽しんでみてはいかがでしょうか。
【上映情報】
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女 × 逆襲のシャア』同時上映~U.C.0093-0105~
■上映作品:『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』
※『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』の順番に上映いたします。作品の上映の合間の休憩時間は各劇場によって異なる場合がございます。
■上映期間:2026年3月13日(金)~3月15日(日)
■上映館:新宿ピカデリー、グランドシネマサンシャイン 池袋、ミッドランドスクエア シネマ、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX 京都、MOVIX 広島駅、TOHO シネマズ ららぽーと福岡、ユナイテッド・シネマ キャナルシティ 13、札幌シネマフロンティア
■チケット料金:特別興行一律 3,000円
(C) 創通・サンライズ












