――アニメでキャラクターに声が付いたことによって、原作小説のご執筆に変化はありましたか?
平坂
最初に声が付いたドラマCDの時から、主要キャラの伊月、春斗、那由多、京、千尋の5人に関しては漠然とした声のイメージがあって、そのイメージにあった人を選びました。なので声が付いたことで特に意識が変わったところはないかなと。
――少し声優陣についても聞かせてください。千尋役の山本希望さんは『僕は友達が少ない』にも出演されていましたよね。
平坂
千尋役の山本さんについては、『はがない』で実は女の子だというキャラクター(※楠幸村)を演じて貰ったことも踏まえたキャスティングです。「平坂読の作品で、幸村の中の人だぞ、あとは……わかるな?」みたいな……(笑)。もちろん、千尋の声のイメージを最優先した上で、ですが。
アフレコ時の印象的なエピソードだと、春斗役の日野聡さんは、7話のTRPG回がすごく大変そうでした。敵の冒険者たちが同時にしゃべるところがあったのですが、ひとりひとりの声を別々に録って何度も繰り返していました。あと、姫様(シルヴィア)の「らめぇぇえええ」というセリフで、日野さんが収録中に笑っていたのが印象的です。アンデットやゴブリンとかも全部やっていただきました。
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――ちなみにローパーは?
平坂
ローパーも日野さんです。元々効果音の予定だったんですが、日野さんが「やりますか?」と言ってくださって。
――日野さん凄いですね! では伊月役の小林裕介さんはどうでしょう? TRPGでは女性キャラになっていましたが。
平坂
TRPGでは普通に男の声でやって貰いました。一度テストで女性っぽくやってもらったんですが、流石に違和感が強いということでこの形になりました。
――第1話のラストシーンの表現も印象深いですよね。
平坂
声質を最優先して選んだのですが、上手い方だというのは知っていたので、伊月としてのお芝居をこなしてくれると信頼していました。細かい感情をしっかり汲み取った演技をしていただけて、小林さんを選んだのは間違ってなかったなと思います。
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――京の加隈亜衣さんについてはどうでしょう?
平坂
6話のラストで京が泣くシーンがオーディションの台本にあって、その泣きのお芝居がグッとくる感じだったので、そこが決め手になりました。
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――那由多の金元寿子さんはどうでした?
平坂
那由多はもう最初から完璧で、とにかく上手いなと。第6話でキャット&チョコレートをプレイするときに「壊れろ、壊れろ」と繰り返す場面があるんですが、あそこは本当はもっと長かったんです。尺を短くしても、ちゃんと病んでる感じが伝わる素晴らしいお芝居でした。
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――本作で特に気に入っているキャラクターは誰ですか?
平坂
原作のデザインとして気に入っているのは京ですね。カントクさんのこだわりで髪形や服装も毎回変わるので、見ていて楽しいです。
――カントクさんと初めて顔合わせをした時は、どんなことを話されたんですか?
平坂
元々面識はあって、社会人としてすごくしっかりした人ということも知っていたので、「これからお世話になります」的な……。
――刹那と伊月みたいに、一緒に旅行に行ったりは……!?
平坂
カントクさんと一緒に行ったことはないですね(笑)。