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【インタビュー】声優・緒方恵美がアニメ業界の窮乏をクラウドファンディングを通じて伝える理由

『幽☆遊☆白書』から『美少女戦士セーラームーンS』、『新世紀エヴァンゲリオン」、そして近作でも『ダンガンロンパ」シリーズなど第一線で活躍し続ける声優の緒方恵美が、活動25周年を記念したアルバム製作をクラウドファンディングでチャレンジした。

インタビュー
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■キュレーターの仕事の本質とは何か?

――このクラウドファンディングでは、直接的には海外の方に届けることができ、プロジェクトを通じて国内にその現状を伝えることができるわけですね。

緒方
はい。これをクラウドファンディングにしたのは2つの目的があります。1つは本気で正規品を欲しいと思ってくれる海外のファンに日本のファンと同じ発売日にお届けするということ。もう1つの目的は、僭越ながら私がなぜこれをやったのかということを、クラウドファンディングの紹介サイトに書くことによって、世界中の人に向けて今の日本のアニメーションの製作現状を知ってもらうことでした。
でも正直に言うと、心ある日本のファンの人は参加してくれても、海外ではそんなに売れないのではないかと思っていました。なぜなら、海外の人にとっては「あなた達が見ているものは海賊版なのだから、直接お金を払ってくれ」と言っているに等しいことですから。オカネに余裕がある国ばかりではなく、貨幣価値は違いますから、正規品を手に入れたくても難しい方々もいらっしゃるわけですし。でもサイトにアクセスしてくれて、実情を知ってそれが頭の片隅に残ってくれたら、将来的に他の誰かが何かをやった時に気付いてくれたり広まってくれたりするのかもしれない。そう考えました。

abesan――緒方さんは声優雑誌の草創期においても、被写体側として他の役者の先頭に立って、メイクや衣装などグラビア撮影のノウハウ整備に力を尽くされてきました。そして今回のプロジェクトでもベテランであるにもかかわらず、また先頭に立って切り開こうとしていらっしゃいます。そのお気持ちはどこから湧いてくるのでしょうか?

緒方
やっぱりアニメやゲーム会社の人たちは戦友ですから。どのプロデューサーの人もみんな作品に懸けていて、いろんなことを試行錯誤して頑張ってやってくれている。私は声優としているだけなら、いわば安全圏なわけです。 なぜなら出演してギャラをいただく立場ですから。でも、少しでも良い作品を作ろうとしている人達がいて、がんばっているなら仲間として何かできたらいいなと思ったし、それによってこれから業界が縮小してしまったら、後輩の声優達が活躍できる場も狭まってしまいます。
偉そうなことを言うつもりはありませんが、私はこの機会を逃したら今後そういう事は出来ないだろうなと思っていました。そこにまるでお膳立てのように友人の中にbambooさんという、これまでクラウドファンディングをうっかり何度も成功させているという方がいらっしゃったというわけです(笑)。

――bambooさんはキュレーターとのことですが、具体的にどのように関われているのでしょうか?

bamboo
プロジェクトの設計と、あとは緒方さんの不安を取り除く係です(笑)。

緒方
考えるところまでは結構意気揚々としていたんですよ(笑)。でもbambooさんにいろいろ聞いてあれも必要これも必要と知ったら急に不安になってきて。

bamboo
クラウドファンディングって大事なものがいっぱいあるんですけど、フリーで活動されている緒方さんには負担が大きいものがあるんですね。極端に言えばユーザーサポートもご自分でやらなくてはならないわけです。

緒方
不安になったのはまず予算面です。これまでアルバムを作ってきましたが、交渉関係はすべてレコード会社に乗っかっていたわけです。それを全部自分がやるとなった時に、お金の面を含めて想像以上にいろいろなことがのしかかってきました。カバーアルバムというのは自分でも良いアイディアだと思っていたのですが、それはつまり人の作品をお借りして作ることであり、今回のコンセプトは「ジャパンクオリティの正規作品を海外のファンに届ける」ですので、それをやってくれる最前線のアレンジャーにお願いするとなった場合、相応のお金が必要です。さらに国内や海外への送料や、リターンにかかるお金についてもどんどん予算が膨らんでいって、とても気安くファンの方に下さいと言える金額ではなくなってしまったんです。

bamboo
「逃げちゃダメだ」と言っている人が逃げそうになっていましたからね(笑)。今となっては笑い話ですが。

緒方
それに、もし失敗したらどうなるのかと改めて考えてしまって。元々ランティスは私のアルバムを作ろうと言ってくれていたにもかかわらず、自分で作ろうとする私を「やってみると良いですよ」と言って快く送り出してくれました。会社の利益に還元しないわけですから、そんなこと普通に考えてありえないわけです。にもかかわらず「クラウドファンディングが失敗したのでやっぱりランティスで作って」なんてことは言えるわけありません。つまり、本来であれば作れたはずのアルバムが出せなくなる。ファンはがっかりするし、私には失敗したという経歴がついて「緒方がこれまでの歴々の作品のタイトルを挙げてカバーアルバムを作ろうとしているのにお金が集まらないということは、つまり緒方には求心力がないんだ。だから今後の起用は……」と言われるかもしれないと考えるとだんだん暗い気持ちになってきて。
私ひとりの仕事がなくなるだけなら、自分が決めたことだからと元々覚悟もしていたんですが、これは今まで支えてくれたマネージャーやそれを応援してくれたプロデューサーたちの評価にまで関わるのかも……と考えたら、すごく怖くなって。単純に25周年で広まったらいいねと言っていたけれども、これは今までの私のすべてと、これからの私の全てを賭けなくてはいけない時案なんだと認識した時にそれがものすごく強くなって、ホントの話、胃を痛めて血を吐いてしまったり……。

abesanbamboo
これまでに鷲崎健や、クラムボンのクラウドファンディングを手掛けてきた経験から言うと、緒方さんのなんて成功するに決まっているじゃないかと思っていたんですよ。 どんな人で、どんな商品価値を持っているかも知っているわけですから。逆に言うと、これを成功させなかったらクラウドファンディングのプラットフォームとしていかがなものかという話ですよ。
僕はcampfireで顧問をやっていて、トーキョーオタクモードとも付き合いがあって海外のファンに一番リーチできることも知っています。このミッションが国内と同じ発売日に海外のファンにも届けるにあたってそれに対してどういう動きを取れば良いのか。そこで考えたのは、緒方さんが何を思っていて、何を悩んでいるのかということを、お客さんに直接知ってもらった方がいいなと。そこで、作戦会議ではないけれども「相談会」と称したニコ生をやったというわけです。でもまさかプロジェクト開始当日はあんなに人が来るとは思わなかった。まさに緒方砲<キャノン>ですよ(笑)。
《日詰明嘉》
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