そしてメカ含めてCGならではのデザインになっているところも、勝負どころを考えて作られているなと思います。
藤津
この作品は「Iマシン」と呼ばれる約18mサイズのメカがまるで人物キャラクターのように芝居をするところがひとつポイントなわけですが、どうしても表現するうえで制約が生じてしまうんです。たとえば、目を細めたりはできますが、表情芝居がほとんどできない。
堺
仮面ライダーのような感じですね。
藤津
そうですね。仮面劇ということで言えば、ウルトラマンも顔の角度やパントマイム的なお芝居で表現をしています。ディズニーアニメーションの原点はボードビリアン(喜劇俳優)のシルエット芝居にもとめられるので、アニメーションの歴史に照らし合わせると、ここで先祖返りをしているのが興味深いところです。さらに言えば仮面ライダーの場合は、あのテクスチャ感にフェティッシュの味わいが生じ、そこからキャラクターへの愛着につながるのですが、CG表現はそれが弱いので、メカニックキャラクターデザインの海老川兼武さんとどのように作り上げたのか気になりますね。それがこの作品の一番の肝だし、愛されるか愛されないかの分岐点だと思うので。演出を見ると、ロボとして表現しようとしていないのかなと思いました。
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堺
僕はそれについて、機械らしさをあえて打ち出しているような気がします。大まかには人型なんだけど、細部は非人間的なフォルムだし、中に乗り込むタイプではないし、というのは、たとえば『チャッピー』(2015年:ニール・ブロムカンプ監督)のようなSF映画のデザインに近いんですよね。ディティールの細かさも含めて、CGで作ることを前提にした上手いデザインだなと思いました。キャラクター性も高いですし。
藤津
ああ、デザインはそうですね。逆に演出面では、18mのメカではなくキャラクターを撮るときのように撮っていて、そこでもIマシンを人間キャラクターとして演出しているんですよね。
堺
宇宙船の中に入って、サイズの比較対象となる人間が出てきてはじめて、Iマシンってこんなにデカかったのかと分かる作りが面白かったです。
藤津
アニメの場合、キャラクターに愛情を持てるかどうかが重要で、そこに上手く行けるかどうかが気になったんですよね。ロボットキャラクターって、未熟な人格にすると可愛さが出るのですが、この作品の場合、Iマシンに入っている精神はみんな大人の人間だから、どうやって愛着を持てるように見せるかは、サンジゲンのアニメーションにかかっていると思うんですよね。
堺
あと、ロボットを中から操縦するのではなく、遠隔操作しているところがドローンのような扱いで、現代的なんですよね。普通はロボに人が乗ってないと感情移入が難しいのに、それも込みで攻めているなと思いました。
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