この“セル”とは、かつてアニメを制作するうえで必要とされ、ファングッズとしても愛されてきた「セル画」という素材のことを指している。だが、アニメ制作が90年代中頃からデジタルに移行したことから、若いアニメファンにとっては縁遠いものとなってしまった。
そんなセル画を長年に渡りファンに提供し続けてきたのが、セル画専門店の老舗「アニメワールドスター」だ。この9月17日、中野ブロードウェイ2階にある実店舗「アニメワールドスター」αグッズ館は、改装に伴い閉店となる。今後はWebや催事での出展にて営業を継続されるという。
そこでアニメ!アニメ!では、「アニメワールドスター」取締役を務める平喜裕氏にインタビューを敢行。セル画の魅力と国内外のファンの動向、セル画という技術継承まで、広く深くお話を伺った。
[取材・構成=いしじまえいわ]
アニメワールドスターαグッズ館
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http://www.anime-world-star.com/
アニメのセル画 50%~80%OFF 大セール ~9月17日(月)12:00~19:00
そもそも「セル画」とは?
――そもそも「セル画」とは一体何なのでしょうか。アニメ制作においてどういう位置付けにあるものですか?
平喜裕取締役(以下、平)
アニメは数多くの絵を連続表示させることで動いているように見せる映像表現ですから、秒間8枚から24枚という数多くの絵が必要となります。
それをセルと呼ばれる透明なシート上にキャラクターなどを描いたのが「セル画」です。
1900年代初頭からディズニーではセルロイドという透明フィルムに絵を描いていたそうですが、セルロイドは発火性が高く保存が難しいことから、1950年代以降の日本では、多くの場合、富士フィルムが生産しているトリアセチルセルロースという同じく透明で燃えにくい素材を使っています。
「セル」という名前はセルロイドの名残ですが、実際にはセルロイドを使っているわけでないんです。
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――なるほど。アニメでは絵をたくさん描く必要があるのは分かりますが、どうして透明である必要があるんでしょう?
平
仮に1枚の絵に背景も小物もキャラクターも全て描いていたらどうなるでしょう? それを動かそうと思ったら、1コマ1コマ絵を全部描き直し、ですね。
一方セル画であれば背景はそのまま使い回せます。別の背景を後ろに透かせば、別のシーンにもなります。
キャラクターの表情も、目や口だけ描いたセルをキャラクターの顔に乗せれば、喋っているように見えますね。
他にも表現上のメリットがたくさんあるのですが、絵をパーツに分けて描くことで効率化できるのがセル画を使ってきた一番の理由です。
平
制作工程としては、まず絵コンテとよばれる映像の設計図が描かれます。
次にコンテで描かれているカット(シ―ン)の空間的な設定や映像としての意味付けなどを行うのがレイアウトという作業になります。
今度はレイアウトに準じてどのキャラがどういう演技をするのか、その動きのキーとなる絵を描くのが原画。原画と原画の間の動きを補完し動きをつなげるのが動画の仕事です。
ここまでの絵は全て紙と鉛筆で描かれていました。動画が完成すると、これをトレスマシンでセルに転写し、裏から色を塗ります。これがセル画です。
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平
完成したセル画は背景や3DCG映像などと合わせて撮影され、フィルムになります。その後、声や音が入ってアニメはおおよそ完成となります。
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