「夜明け告げるルーのうた」公開直前!湯浅政明監督の世界に触れられる珠玉の作品まとめ | アニメ!アニメ!

「夜明け告げるルーのうた」公開直前!湯浅政明監督の世界に触れられる珠玉の作品まとめ

連載・コラム

独特のタッチで世界を魅了し、数々の受賞履歴を持つ湯浅政明監督。現在公開中の『夜は短し歩けよ乙女』に続いて、5月19日から『夜明け告げるルーのうた』が劇場公開となる。2作の公開に合わせ、今回は湯浅政明の歴代監督作品を紹介しよう。どれも湯浅ワールド全開で、見ごたえのあるものばかりだ。ゴールデンウィークの時間を利用して、鑑賞してみてはいかがだろうか。

『マインド・ゲーム』
2004年公開の、ロビン西の漫画『MIND GAME』を原作とした劇場アニメ。湯浅政明初の長編監督作品で、脚本・絵コンテも手がけた。第8回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞、2005年モントリオール・ファンタジオ映画祭アニメーション部門最優秀賞、監督賞、脚本賞ほか6部門、パリ・KINOTAYO映画祭大賞(金の太陽賞)など国内外で多数の受賞を獲得。
ある日、主人公の西は電車で初恋相手のみょんと再会する。喜びも束の間、みょんには既に婚約者がいた。しかも西は、ヤクザからみょんを守ろうとして撃たれ、尻にブチこまれた銃弾で脳天が破裂するという何とも無様な死に方をしてしまう。現世に未練のある西は、神様に「とことんやる」と誓って現世に戻るのであった。
主人公の西役に今田耕司、ヤクザのボス役に島木譲二といった、吉本興業のお笑い芸人を声優に多数起用。湯浅の世界観と大阪下町の雰囲気が混在し、不思議な懐かしさと人間臭さが面白い。

『ケモノヅメ』
2006年にWOWOWで放送したオリジナルTVシリーズ。TVアニメの監督を務めるのはこれが初であり、原作も湯浅が手がける。
いにしえより続く、食人鬼を狩る戦闘集団「愧封剣」。その師範代である桃田俊彦は、食人鬼の上月由香と恋に落ちて逃亡してしまう。俊彦の弟である一馬は、逃げた二人の追跡と、愧封剣の館長職を継いで集団の運営に乗り出す。
R-15指定となっており、エロスやバイオレンスを大胆に描写する。黄色や赤などの配色が鮮烈で、印象的な画面作りだ。暗示的な問題提起やハードボイルド要素もあり、大人向けの一作だろう。

『カイバ』
2008年にWOWOWで放送したオリジナルTVシリーズ。原作・監督・シリーズ構成・脚本・キャラクター原案・絵コンテなどすべてに湯浅が関わる。第12回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞受賞。
記憶のデータ化が可能になり、肉体の死はもはや死と呼べなくなった。データバンクに記憶が保存され、富裕層は体の「乗り換え」や記憶の売買が行える世界。記憶を失った主人公のカイバは、宇宙の星々をめぐってたくさんの人と出会いながら記憶を取り戻していく。
キャラクターデザインの等身が低めで、絵本のような世界観。主人公の名前でもあるカイバは、脳の器官である“海馬”を指す。「記憶」は湯浅のやりたかったテーマのひとつだそうで、2014年に出版された「湯浅政明大全」では『カイバ』の設定が実に60ページに渡って掲載されている。

『四畳半神話大系』
2010年にフジテレビのノイタミナ枠で放送したTVシリーズ。森見登美彦による同名の小説が原作。第14回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門で大賞を受賞。
京都の大学で、バラ色のキャンパスライフを求めて様々なサークルに入部する“私”。宿敵で悪友の小津に邪魔されながら、想い人の明石さんと恋の成就させるために奔走する。1話完結のパラレルワールド方式で、様々なシチュエーションから“くされ大学生”の苦悩と青春を描いた作品。
湯浅監督が小説をアニメ化するのがこれが初めてであり、森見登美彦にとっては初の映像化。キャラクターデザインに中村佑介、脚本をヨーロッパ企画の上田誠が務めるなどスタッフ布陣も新鮮な面々を揃えた。“私”役の浅沼晋太郎による早口の台詞回しは圧巻の一言だ。

『ピンポン THE ANIMATION』
2014年にフジテレビのノイタミナ枠で放送したTVシリーズ。原作は松本大洋の漫画『ビンポン』。東京アニメアワードフェスティバル 2015でアニメオブザイヤー部門テレビ部門グランプリ受賞。
幼馴染のペコとスマイルは、小さい頃から二人で卓球を習っていた。天性の才能でプレイをしてきたペコと、努力家だがいまひとつ抜きん出ないスマイル。高校生になった二人は、一緒に片瀬高校の卓球部に入部するが、他校の強豪選手との出会いを機に、別々の道で卓球の腕を磨くことになる。
原作の絵柄をほぼそのまま再現しており、また漫画では描けなかった松本のアイデアをアニメの設定やシーンに活かした部分がある。今作では、2013年に湯浅が設立したスタジオ・サイエンスSARUによるフラッシュアニメーションが多用された。

『夜は短し歩けよ乙女』
2017年公開のアニメーション映画。原作の森見登美彦をはじめ、『四畳半神話大系』制作チームが再集結した。制作はサイエンスSARU。
京都の大学に通う先輩(私)は、後輩の黒髪の乙女に恋をしている。彼女との外堀を埋めるため、なるべく彼女の目に留まる、通称(自称)“ナカメ作戦”を遂行する先輩。好奇心旺盛な黒髪の乙女を追って、先輩は不思議な一夜を過ごすことになる。
原作は第20回山本周五郎賞を受賞し、累計売上130万部を超えるベストセラー。森見の代表作品と言えるだろう。『ピンポン THE ANIMATION』の時と同じく、小説では森見がやむなく除いた設定が活かされている部分がある。主人公の先輩役に星野源、パンツ総番長役に秋山竜次(ロバート)といったキャスティングの面でも注目を浴びる。

『夜明け告げるルーのうた』
2017年5月19日公開予定のオリジナル長編アニメーション映画。サイエンスSARUによって、全編に渡りフラッシュアニメーションで制作が行われた。2017年アヌシー国際アニメーション映画祭長編部門の、公式コンペティション作品としての出品が決まっている。
中学生のカイは、両親の離婚によって寂れた漁港の町・日無町(ひなしちょう)で暮らすことになった。鬱屈した気持ちを外に出せず、唯一の心の拠り所は、自ら作曲した音楽をネットにアップすること。ある日、クラスメイトと国夫と遊歩から「自分たちのバンドに入らないか」と誘われたカイ。町からは立ち入りが禁止され、内緒でバンド練習に使っている人魚島へ行くと、人魚の少女・ルーが3人の前に現れた。
「心から好きなものを、口に出して『好き』と言えているか?」という、湯浅の現代への疑問を着想に、少年の“心の解放”を主軸に描いた物語。キャラクターデザイン原案を漫画家のねむようこが担当しており、ルーの可愛らしいビジュアルが、フラッシュアニメーションで縦横無尽に動き回る。特に歌とダンスのシーンは、劇場の大きなスクリーンで堪能したい。
《奥村ひとみ》
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