――今回の第20話「終わりなき戦い」は、ほかのゲストライターの方と比べて、本筋や設定にものすごく寄せている感じがしました。
虚淵
それは後発だったからでしょうね。細かい設定や終盤の物語展開などほぼ固まっていたので、「物語も後半なので、この伏線拾っときますね」ということも出来たし、キャラクターのセリフも、後の展開を踏まえたものに出来ました。それと、會川さんのノベライズ(『超人幻想 神化三六年』)のネタを拾ってみたりもですね。
會川
虚淵さんはお若いので、気を遣ってくれたんだと思います(笑)。
虚淵
いや、それはもう、「あるものは使いますよ」と(笑)。
――第20話は「ベトナム戦争」を彷彿とさせるエピソードですが、それを題材としたのは何故でしょう?
虚淵
會川さん、水島監督といろいろと案を出し合って決めていきました。ほかに最終候補として「ブルース・リー」と「パンダ」もあったんですけど。
會川
年表的に「昭和48、49、50年ぐらいしか舞台にできない」という前提があったんです。そのなかで虚淵さんの良さが活きそうなネタにしようと。僕自身は何を扱ってもらっても構わなくて、べつにブルース・リーでもパンダブームの話もよかったんです。
「ベトナム戦争」については、年表的にベトナム戦争終結のタイミングでちょうど良かったんですが、思想的な問題も絡んでくるし、現代においても多様な考え方があるので「けっこう大変だよ」という話もしました。ただ「帰還兵」の話はもともとやりたかったアイデアだったし、米軍基地が置かれた府中や調布は、僕や水島監督が子どもの頃に馴染み深い地域だったこともあって。
水島
僕は、府中の高校に通っていたんですけど、横田のほうにもよく遊びに行っていたんです。実際に基地に入ったことはないんですが、「フェンスの向こう側のアメリカ」というのはかなりのカルチャーショックでしたね。
會川
20話は、画的な見どころはどうですか?
水島
脚本では、真正面から取り込むとテレビシリーズ的に厳しい描写がたくさんあるし、素直に映像化してしまうとスタッフにも負担がかかる。そこを上手く逃げるための工夫が必要だなと。そこで、絵コンテを担当してくれた大久保朋くんに「邦画」というアドバイスをしたんです。邦画というのは、限られた予算のなかで工夫を凝らしますよね。「カメラはあんまり動かせないけど、そのぶん印象的な画を撮ろう」「全部の段取りを追わずに決定的な画でつないでいこう」など、そういった部分を見習おうと。結果的に、『コンレボ』ではあんまり見ないような印象的なフィルムに仕上がっていると思います。
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