同作は、恋愛経験ゼロなのに彼氏がいると嘘をついてしまった篠原エリカと、彼氏のふりをすることになったドSな“黒王子”佐田恭也の嘘から始まる、不器用ながらピュアな恋愛模様に目が離せなくなる青春ラブストーリーだ。
2011年から「別冊マーガレット」(集英社)で連載中の原作は、既刊15巻の累計発行部数540万部を突破した超人気作。
劇場公開を前に改めてその魅力を探るべく、作者である八田鮎子に映画を観ての感想やマンガ執筆の裏側について話を伺った。
[取材・構成:川俣綾加]
映画『オオカミ少女と黒王子』
5月28日(土)全国公開
http://wwws.warnerbros.co.jp/ookamishojo/
──実写映画化が決定したときの心境を教えてくだい。
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すごく嬉しかったです。同時に「なんだかすみません!」という気持ちも(笑)。私の作品に目をつけてくださった方がいたんだなと思って。本当にありがたいです。『オオカミ少女と黒王子』は私にとって、単行本が一冊だけで終わらなかった初めての作品。アニメにしていただいて、そして実写……もう、満足です(笑)。
──エリカ役の二階堂ふみさん、佐田役の山崎賢人さんほか、各キャスト陣についてはどう感じましたか?
八田
実は、最初は少しだけ不安があったんです。佐田くんってニ次元の良さがある、マンガっぽいキャラクターなので。マンガの世界ではカリスマ性がある高校生だし、生身の人間が演じるとなると一体どうなってしまうのだろう、と。
でも山崎さんが金髪にしてイメージを作ってくださったおかげで、映画を観て「佐田くんだ」と納得しました。私はとても好きです。
──髪といえば、原作でも佐田の髪を描くのが大変と言われたことがありますね。
八田
そうなんです、今も大変ですよ。デジタルではなくアナログ作業で描いているのもあって苦労しています。いっそのこと髪を切らせちゃえ! と何度も考えました(笑)。人間は8割がた髪型だと思っているので気合を入れて描いている部分ですね。だから映画でも、山崎さんが金髪にしてイメージを寄せてくれたのは大きかったです。
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──映画は原作のお話をきれいにまとめていたと思いました。
八田
映画の物語はおまかせでお願いしていました。原作をうまくまとめてくれた上に、私が描けなかった部分も掘り下げてくださったおかげで原作ファンの方にも新たな楽しみがあるのではと思います。
──作中には佐田のドSな黒王子だけでなく、色々な王子様がいます。印象に残っているのは?
八田
日下部くんを演じた吉沢亮さんです。私がエリカだったら日下部くんを選びます!(笑)。エリカに対する慈愛に満ちた表情がすごく良くて。じわっと泣かせてくれるお芝居でした。