タイミングが大事 アニメのメソッドを数井浩子氏が解説 あにつく2015レポート | アニメ!アニメ!

タイミングが大事 アニメのメソッドを数井浩子氏が解説 あにつく2015レポート

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9月19日、「あにつく2015」の業界向けセッションの1本目は「アニメーションメソッド」をテーマに展開された。
担当講師は、ベテランアニメーターであると同時に東京大学大学院にて認知心理学を研究中の数井浩子氏。題材には「あにつく」が行うアニメスタジオ採用イベント「アニメータードラフト会議」の課題が用いられた。
指定のCGソフトを使い「走り高跳びを描きなさい」という課題に、サンジゲンの若手CGアニメーター・本田有紀氏と敷島明紀生氏の2人が事前に挑戦したうえで、数井氏の講評を受けリテイクを制作。テイクを重ねるごとに作品がどのように改善されていったかを具体的に比較しながら、アニメーションの基礎的な法則がわかりやすく解説された。

はじめに上映されたのは本田氏のテイク1。本田氏の作品では途中、高跳びの選手が観客席からの応援を受けて体をパワーアップさせる描写がある。「パワーアップ後の体つきを大きくしたほうがいいのではないか」というアドバイスを受けて修正したのがテイク2。見比べると躍動感やメリハリの効いた映像に変わっていることがよくわかる。

また本田氏は、体つきを大きく描くために、様々な動画をリサーチしたと語る。筋肉隆々なキャラクターが登場する、『ハルク』や『ターザン』、『Mr.インクレディブル』を参照したという。
ただ、既存のフィクション作品では動きのメリハリが大きすぎて、陸上競技である走り高跳びにそのまま適応することはできない。シチュエーションに合ったアレンジが必要だと思い、派手な動きや誇張表現を薄めるなど、アニメーションに落としこむ際に工夫した点が語られた。
その後も、テイク3、テイク4と、スピード感やタイミング、レイアウトを変化させることで、画面から伝わってくるドラマ性が大きく強調されていることが示された。

つづいて登壇した敷島氏の作品は、本田氏がフィクション作品を参照したのに対し、実際の競技映像を調査したものであった。そのため本田氏の作品と比べカット割りがシンプルになり、ジャンプもよりリアリスティックな表現を志向する対照的なものとなっていた。
そこからテイク2、テイク3では、リアルな高跳びから滞空時間を少しだけ引き伸ばしたり、逆に助走の時間をコマを抜くことで短くしたりと、タイミングを調整することで動きの緩急を調整。また、飛んだあとのバーの揺れを大きくすることで、シーンの緊張感を増すなど演出上の工夫も見られた。

その後、ふたりの作品の全テイクを順番に上映したり、異なるテイクを二画面で見せたりと、進化や差分をわかりやすく解説。数井氏が繰り返し強調したように、「大きさ」と「タイミング」を変えるだけでアニメーションの魅力が目に見えて増す様子がわかりやすく示された。

最後の「若手3Dアニメーターの生の声を聞く」のコーナーでは、本田氏と敷島氏から「最初にやった3Dアニメーションの仕事」や「今まで出会った一番インパクトのある先輩」などの体験談が披露された。また「3Dの最強の教科書」では、『Autodesk 3ds Max Autodesk 3ds Max Design ビジュアルリファレンス』という3DCGアプリケーションの参考書や、『アニメーターズ・サバイバルキット』というアニメーションの原則に関する名著が紹介されるなど、これからアニメ業界をめざす学生にとって実りの多いセッションとなった。
[/アニメ!アニメ!ビズ/www.animeanime.bizより転載記事]
《深井孔》
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