アニメ制作技術の紹介や人材発掘・育成などを目的としたイベント「あにつく2015」で、「劇場アニメ『亜人』における造型演出」のセッションが設けられた。ポリゴン・ピクチュアズの片塰満則氏が造型監督の仕事について、そして『亜人』のアセット設定の事例を紹介した。片塰氏は造型監督の仕事について「デザイナーでもモデラーでもない。デザインを読み、解釈し、伝え、経済性も考慮する立ち位置」とコメント。デザイナーとモデラーの間に立ちデザイナーの意図を明確することで、全体の質を高める仕事だという。同社がアニメーション制作を手がけた『トロン:ライジング』では、片塰氏がヘルメットの厚みの変化をどう処理していくか断面図を描き起こしたりと、モデラーにとって必要な情報を細部まで決め込んで行くことでモデラーが立体を作ることに専念できるとした。また、『シドニアの騎士』では継衛のコックピットを例に造型監督の仕事の一例を紹介。構造やサイズ感、どれくらいの隔壁が必要かなどを細かくスケッチすることでモデラーが作業を進めやすくするだけでなく、モデル制作数を減らすための工夫をすることで時間的・経済的コストを考慮できたと話した。『亜人』ではメインキャラクターに加え、警察・研究チーム・街の人々など40人のほどのキャラ表があったが、これだけのキャラクターをCGで制作するとあまりにコストがかかるため、経済面を重視し、かつ見劣りしないアセットを作る必要があったという。キャラクターの造型は原作の1巻および2巻を参考に、“6:4モデリング”という手法をとった。6:4は顔の角度のことで、デザイン画では顔の正面と真横が描かれるが、モデリングではそのどちらでもない斜めの角度で実施。こうすることでデザイン画の印象と違和感のないモデリングが行える。理由として、描き手の癖として横顔が嘘が多いため、正面と真横の顔でモデリングを行うとデザイン画の印象と異なるためだ。一方で髪の毛は「6:4を信用せず作る」と話した。さらに、キャラクターデザインではペイントオーバーによるフィートバックを行うことでスムーズな修正作業を実現。顔が平面的に見えるため眼球を歪めて顔の前面の丸みをつける方法が有効だったという。歯は作品によってどれくらい描くかわかれるところだが、『亜人』では前歯がつながった、ある程度デフォルメされている形だが奥歯はリアルさを追求。モブキャラクターはメインキャラクターの顔の要素をミックスすることで特徴のない顔を生み出し、新たにデザインする必要がないため経済性も。亜人が操るIBMの包帯を巻いたような体の密度など、『シドアニアの騎士』に続き『亜人』でも作中でさまざまな技術的試行錯誤が行われたようだ。[川俣綾加][/アニメ!アニメ!ビズ/www.animeanime.bizより転載記事]
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