9月19日に開催された「あにつく 2015」で、アニメ制作の考え方や進行を再考するセッション「アニメのつくり方、再定義」が株式会社グラフィニカのディレクター 堀内隆氏のもと行われた。堀内氏はSEを経て、1997年に現サンジゲン代表の松浦裕暁氏と上京。ディジメーションに入社し制作、撮影、編集などを担当してきた。最近では日本アニメ(ーター)見本市 第10話『ヤマデロイド』、『劇場版PSYCHO-PASS サイコパス』OP、『ぼくは王さま』を手掛けている。堀内氏が今回のセッションで示すのは、アニメ制作の進行についての問題だ。3DCGを強みに作品を作っていても、制作そのものはフィルム時代から変化のない古いフレームワークの中で進められているという。このため、昔からあった「スケジュールに翻弄される」「指定通りの仕上がりにならない」などの問題がそのまま現代にも引き継がれているとした。一方で、アニメの現像作業がデジタル化されることで「現像」という仕事が淘汰されるなど部分的イノベーションが起き「ギリギリまで修正が可能な」現場が生まれた、とも指摘した。「現在、アニメのタイトル数は年間およそ250タイトルほどで、エピソード数でいうと数はさらに増大する。作品数、クオリティ(画面の情報量)の両面でインフレ状態が起きている」と堀内氏。多忙な中ふとアニメ制作の目的を振り返るという堀内氏は、それを「映像を用いて自分たちの意思、思想などを他者に伝えて共有する」とコメント。その目的の一番近くにある工程が、色、音、時間などさまざまなことをコントロールできるセクション「編集」だという。「編集から映像制作を考えていくことで制作のあり方が変わるのではないだろうか」というのが堀内氏の考えだ。基本的なアニメ制作フローの中で編集はあと工程の一つで、教科書通りに考えると工程の中で何か問題が起きると前工程にフィードバックしながら、また同じ工程をたどっていく。だが、この進め方にはひずみが生じやすい。「絵コンテと撮影以降の工程(音響、映像編集)を編集として今変えても良いのではないでしょうか。プリプロも編集として考え全ての工程は編集にアクセスするイメージで進めると、色々な問題を解決できたことがあります」と、新たな制作フローイメージを提案した。『ヤマデロイド』の制作では、企画段階からビデオコンテを作成し、逐一編集を行うことで素材の確認、新たなアイデアを随時組み込めるようになったという。「村娘が実は生きていた」というアイデアは納品1ヶ月前に生まれたもので、編集に携わっているとそのアイデアが組み込めるかどうかの判断も可能だったと話した。堀内氏の考えを実現しているツールに、ハリウッド映画制作でも使われている「NUKE STUDIO」がある。編集の連動が可能な制作管理ツールで、高価かもしれないが編集の視点で進められるので非常に効果的だという。最後に堀内氏は「編集という概念もすでに古いという時代に入ったのかもしれない」「VRに編集の概念があるのかもわからない」と、新たな技術には新しい発想で考えていかねばならないと締めくくった。[/アニメ!アニメ!ビズ/www.animeanime.bizより転載記事]
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