ミュージカル「アラジン」無期限ロングラン開幕!自由賛歌でリアルなファンタジー   2ページ目 | アニメ!アニメ!

ミュージカル「アラジン」無期限ロングラン開幕!自由賛歌でリアルなファンタジー  

高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義 ■ チケット一般発売日になんと21万枚以上がソールドアウト、日本でもメガヒットの予感

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1幕の後半の洞窟のシーン、特にランプの精・ジーニーが登場すると空気は一変、もう”ジーニー・オン・ステージ”だ。洞窟が華やかなミュージカルのステージに変わる。歌う、踊る、アニメ版でもここはショーストッパーなシーンであるが、アニメ版に負けず劣らず、いや、生身の人間が演じている分、圧巻なシーンに仕上がっている。ここは間違いなく拍手喝采。華やかなダンス、ダンスの連続、この場面に限らず、このミュージカルではあらゆるダンススタイルを取り入れており、単純にダンスだけ観ていても楽しい。
『フレンド・ライク・ミー』、アニメ版の訳詞も楽しいが、ミュージカル版の訳詞も負けず劣らず楽しく、思わず口ずさみたくなるような軽妙洒脱な言葉の連続だ。やたら張り切るジーニーと何がなんだかわからなくなってジーニーに圧倒されるアラジンとの対比が面白い。

2幕はジーニーの魔法でアラジンがなんだかあやしげなどこか遠い国の王子になって(なりすまして)宮殿に乗り込むところから始まる。盗みを繰り返す自分にどこか劣等感を感じるアラジン。ジャスミンに振り向いて欲しい、だからこそ、身なりも”セレブ”にしてもらってジャスミンに再会する。魔法で見た目を変えることは出来ても中身は変えられない。卑屈感情がにじみ出る様を島村幸大が好演。そんなアラジンの気持ちを見透かしたカシームがアラジンに意見するところはもちろんアニメ版にはない部分。真の友とは何かを考えさせる場面だ。
そして、あの名シーン、アラジンとジャスミンが魔法の絨毯に乗るシーンは実に美しい。不朽のナンバー『ホール・ニュー・ワールド』、きらめく星、大きな満月、何もかもがまさに”ファンタスティック”だ。飾らず、偽らず、ありのままの自分をジャスミンに知ってもらおうと決意するアラジン。それから物語はクライマックスへ。結末は言わずもがな、である。

ジーニー役の瀧山久志、力強い歌唱力でオープニングは堂々としたもの。コミカルな動きや台詞も申し分なく、まさに”ジーニー”。アラジン役の島村幸大は、雰囲気が”アラジン”。ちょっとお調子者だが性根は優しく、悩み傷つき成長、リアルな役作りで”当たり役”。『ライオンキング』のシンバ役で着実にステップアップし、アラジン役も納得。
ジャスミン役の岡本瑞恵は、いいたいことはズバズバと言い放つ、気の強い女の子を自然体で好演。『ライオンキング』のナラ役や『マンマ・ミーア!』のソフィ役等、現代的な役柄を得意としており、ジャスミン役も”適任”。ジャファー役の牧野公昭、寺山修司に憧れて天井桟敷に入団、という異色の経歴の持ち主。くせのある役を得意としているが、今回は”THE 悪者”。しかし、ラストは悲哀も感じさせてくれる(権力欲しさに凄く努力したのにぃ……という末路)ので、ここは必見。

舞台版、日本版だけの台詞もあるので、事前にアニメ版を見直すと面白さは倍増。日本人向けのジョークもあり、”細かい配慮”は嬉しい。もちろん、アニメでよく知られたナンバーは曲が流れたとたんに素直に感動出来るし、舞台版だけのナンバーも秀作揃い。アラジンが亡き母の言葉を思い出して歌うナンバー『自慢の息子』、友人達のコミカルなナンバーや2幕で3人がアラジンを助けるためにお城に乗り込む時に歌うナンバー等はキャッチーで耳に残る。ここも要チェックポイントだ。

イスラムの幾何学的なデザイン、様々な表情を見せる舞台装置、照明、華やかな衣装、とにかくゴージャス。アラジンとジャスミンの恋愛だけでなく、アラジンとジーニーの関係性も少しずつ変化する。またアラジンと3人の友人達の間にも変化が訪れる。友情とは何か、真の自由とは何かを考えさせてくれる。わかりやすい勧善懲悪だが、それだけではない。そこに至るまでの過程やキャラクターの心情の変化・成長が細かく描かれている。アニメ版をなぞっている訳ではない。アニメ版は”冒険もの”の要素が強いが、舞台版はミュージカルコメディであり、登場人物たちの人間模様や関係性もしっかりと描かれている。
舞台版として新たな物語と世界観を構築、”リアルなファンタジー”、世界最強と言われるディズニーミュージカル、初日の本編終了後のカーテンコールでは、会場から万雷の拍手が上がり、カーテンコールは実に7回!新たな歴史の始まりだ。
《高浩美》
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