今石
そうですね、とはいえ監督の雨宮とは付き合いが長く、おそらくこういうものを求められるだろうとわかっている部分があるし、今回の僕の役割は「かっこよく描くこと」だと勝手に感じていたのでとにかくかっこいい絵を描いています。原作サイドとも綿密にやり取りしたり、鎧や装甲をまとっているかのようなニンジャのデザインにして、ひと目でアニメ版だとわかるようにという雨宮の方向性を確認しつつ進めました。
――ニンジャたちは原作よりも厚みが増して、ロボット感がありますよね。
今石
原作にも「纏っているもの全てが装甲」みたいなキャラクターもいますよ。特撮ヒーローを彷彿とさせるような。それを見て僕も「こんなに幅があるんだ」と、伝統的な忍者にとらわれず自由に遊んだほうがこの作品らしいだろうと感じました。
普通に忍者を描いたら黒服だし、忍ぶ存在だから目立たない色や形にしようするかもしれませんが、ここに登場するニンジャって刀もあまり使わないし、カラテで戦うし、世界観に合わせて誇張して作っていますよね。
――今回はキャラクターデザインの方が何名かいますが、どのように分担を?
今石
メインのニンジャは僕で、フユコやトチノキなどの人間のサブキャラクターが芳垣祐介さん。メインとなる女性キャラクターでは、ナンシーを稲戸せれれさん、ヤモトをsaitomさん、ユカノを信じろさんが担当されています。
雨宮から「女性キャラは今石じゃない人に!」と言われていて(笑)、頼みたいと思っている方もいたようで。シリーズのアニメなので女性キャラクターはストレートに魅力を表現したほうがいいだろうという判断です。僕が描くと「戦う人」のイメージばかりを追加しちゃって、刺々しくなってしまうからかもしれません。
――敵が次から次へと登場するので、ボリュームも大変だったのでは……。
今石
そうなんですよ、描いても描いてもまだある!(笑)「今週は4体描いた」と思っていたら登場して半パートで死んだり、2カットしか出てないキャラクターもいますね。
――雨宮監督から今石さんに「かっこいいキャラクターデザイン」を求められていたとおっしゃっていましたが、かっこいい絵作りのポイントを教えてください。
今石
恥ずかしがらないことですかね。役者もモデルもすごくかっこいいけれど、スポットライトを浴びている時に芝居としての仕草を恥ずかしそうにしちゃうとカッコ悪い。ビシッと決めてくれることが大切で、歌舞伎の頃からそういうのってずっと続いているものだと思っています。
絵でも同じで、この線を尖らせたら古臭くて恥ずかしいかもしれないけど思い切ってやってみたらすごくかっこよくなるとか、このパーツをこう描くと気持ちいい、体のこの部分の膨らみ方がイケてるとか、気づいたことを自分の中にストックしておくことかなと思います。
後編に続く
『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』
http://www.ninjaslayer-animation.com/