「マクロスII」とは何だったのか? 完成から22年、いま振り返る作品の魅力 2ページ目 | アニメ!アニメ!

「マクロスII」とは何だったのか? 完成から22年、いま振り返る作品の魅力

『超時空要塞マクロス』の放映終了後から「10周年」となる1992年に登場したOVA作品『超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-』を振り返る。作品の魅力、特徴、そしてその位置づけは?

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■ 主人公は民間人、バルキリーIIのパイロットはヒロインの驚き

前作との「ギャップ」に驚かされるのは、「世界観」だけではない。恋愛ドラマを繰り広げるメインキャラクターの配置は前作をなぞっているが、個々のキャラクター設定はかなり斬新だ。まず主人公の神崎ヒビキがパイロットではなく「民間のTVリポーター」というのが驚きである。さらに歌姫のヒロイン・イシュタルは敵側の異星人という設定だ。もう一方のヒロイン・シルビーは勝ち気なエースパイロットで、戦わないヒビキに代わり、主役機「バルキリーII」で戦場を駆け回る。
これらの設定に引けを取らず、美樹本晴彦によるキャラクターデザインも攻めたものとなっている。注目すべきはキャラクターの「ファッション」だ。TVシリーズでも毎話キャラクターの服装を変えたりと挑戦的な試みがなされていたが、本作はそれをさらに押し進めた形となった。中でもイシュタルのシースルーファッションが目を引く。

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「メカ」に関しても、前作のデザインを継承しつつ独自のスタイリングがなされている。とくに主役機「バルキリーII」が象徴的だ。藤田一己が基本デザインを手がけ、大畑晃一氏が仕上げを担当した本機は、河森正治によるオリジナルのデザインを継承しつつもヒーロー然とした佇まいを獲得している。このバルキリーIIがカッコよく躍動する大張正己によるオープニング映像は必見だ。
終盤に活躍する最新鋭機「メタルサイレーン」はオリジナリティある機体に仕上がっている。こちらはバルキリーの三形態「バトロイド」「ファイター」「ガウォーク」に加え、「ガンドロイドモード」を有し、四段変形を可能としている。また敵側・マルドゥーク軍のメカは、曲線を主体とした有機的なデザインがインパクト大だ。

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最後に個人的な見どころを紹介する。それはヒロイン「イシュタル」だ。ミステリアスな雰囲気、浮世離れした美しさ、物憂げな表情……。美樹本晴彦の繊細なラインがしっかりと汲まれたキャラクター作画、笠原弘子の可憐な声も相まって、フィルム上ではその美しさが存分に表現されている。
さらにイシュタルの「歌」も素晴らしい。とくに物語のクライマックスで披露される「もういちど LOVE YOU」は、ドラマの盛り上がりとシンクロし、胸にぐっと来るものがある。マクロスファンにもあまり知られていない曲であるが、“隠れた名曲”なので本編と合わせ是非聴いてほしい。

『マクロスII』特設サイト 
/http://www.bandaivisual.co.jp/macrossII/

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『超時空要塞マクロスII』
13,800 円(税抜)
毎回封入特典: 特製ブックレット(108P)
毎回映像特典: ノンテロップOP&ED、#6 ノンテロップED、Blu-ray Box PV・CM
毎回音声特典 : 新規オーディオコメンタリー 、BD-Audio「イシュタルからの伝言」他
仕様 : 美樹本晴彦描き下ろし収納BOX 、大張正己描き下ろしインナージャケット
《沖本茂義》
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