■ 一年を経て、操真晴人になる
― 1年間を通してひとつの役、ひとつの現場に通い続けるというのはどんな感覚ですか?
― 白石隼也さん(以下白石)
最初僕もそれは思いましたね。みんなどういうモチベーションで1年間続けるんだろうって。序盤中盤ではすごく悩みました。役柄、ストーリー、方向性をどう受け止めたらいいのか。疑問点もありましたし、いろんなことを考えました。
ただ1年を過ごすという事で人間関係を妥協せず築けたのはすごく大きかったです。
僕は役者の友達があんまり多くないんですよ。テレビドラマだと長くても三ヶ月、映画だと約一ヶ月という短い期間の中で、本当の信頼関係や友情なんて築けないんじゃないかって思ってて。もちろん長く付き合っていけばいいんですけど、僕は人と打ち解けるのに時間がかかってしまうから。そんな中での今回の1年は大きかったです。
共演者から1回くらい嫌われてもどうにかなるんじゃないかと本気でぶつかっていくようにしたんです。その結果みんなが本音を言い合える関係性を築けた。それを実感できたのも初めての事でした。
― 以前、白石さんは晴人を演じるにあたって「ルパン三世」と「探偵物語の工藤俊作(松田優作)」を参考にされているというようなことをおっしゃっていました。
― 白石
ああ、はい(笑)。
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― 白石
ハッキリ言いますけど、全然そこには行きませんでしたね(笑)。
― ほんとにはっきりと(笑)。今、役作りの指針としているものはありますか?
― 白石
「誰を」というのはありません。操真晴人という役にたどり着いたという気はしています。以前は晴人がルパンや工藤ちゃんみたいなキャラクターになっていくだろうって予想していましたし、そうなるのもおもしろいなあと思っていました。だけど脚本はぼくの予想と大きく違ってました(笑)。
実際の晴人は出来事を起こすのではなくて、受ける側なんです。ルパンや工藤ちゃんとは真逆だってわかったんですよね。じゃあ自分からかけ離れたキャラクターを無理して目指すこともないかなと。自分に則した演技をしていけばいいって考えになりました。
― そう思えるようになったきっかけはあるんですか?。
― 白石
単純に共感できたんですよね。台本を読んでいく中で。打たれ弱い部分とかも近いなって思えて。
ただ、晴人は圧倒的に不利な状況の中でも軽口叩けるくらい強くなるのかなと思ってたんですけど、やっぱりならなかった。そこも僕と同じです(笑)。
― 白石さん自身と操真晴人が今とても近い状態というわけですね。
― 白石
僕、操真晴人という人物がどんな人なのか、今でもハッキリと言葉にできないんです。でもそれはつまり、自分をなかなか言葉で説明できないことと同じなんじゃないかって。それだけ自分に近いからなんじゃないかって思っています。
『劇場版 仮面ライダーウィザード イン マジックランド』
2013年8月3日(土)公開
/http://www.wizard-kyoryu.jp/
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