スペイン:美術展「Proto Anime Cut」と「アニメを文化にしていく潮流」 PART 1 | アニメ!アニメ!

スペイン:美術展「Proto Anime Cut」と「アニメを文化にしていく潮流」 PART 1

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文:氷川竜介(アニメ評論家)


■ 美術巡回展「Proto Anime Cut」との関わり

映画からテレビを経て発展してきた日本の「アニメ」という表現様式は、ようやく「文化・芸術」へのステージを確立しつつある。それも「anime」という呼称によって、日本独自のものとしての国際的な認知が、同時に高まる機運の中でだ。2012年2月、スペインのバルセロナへ出向き、現地で開催された美術巡回展「Proto Anime Cut」に参加と視察をして、その想いを強くした。

この展覧会はドイツのキュレーター、Stefan Riekeles(ステファン・リーケレス)氏による企画である。テーマは「アニメの空間と映像表現」。アニソンやコスプレなどアニメファンを集めてのイベントではなく、現代アート、メディア芸術というアプローチで日本のアニメクリエイターとその作品を紹介する意図である。2011年2月、ドイツ・ベルリンの現代美術館から始まり、欧州4都市を巡回した大規模なものだ(本年7月で終了)。

筆者は初期から数回にわたって企画の具体的内容やコンセプト、クリエイターの人選や展示品に関して共同キュレーターで日本在住のdavid d'heilly(デイヴィッド・ディヒーリ)氏から相談を受け、主としてNHKのTV番組『BS アニメ夜話』などで解説したことを発展的にしておふたりに話した。その中では、日本の都市風景とアニメ映画がそれをどう見ているか、それが日本の現代人の意識とどうつながってるかという話題が多くなっていった。
たとえば『イノセンス』では都市は人間の内面を外部化したものだというコンセプトが語られている。一方で『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』では都市をCGで動かし、変身キャラクターのように扱っている。特に『機動警察パトレイバー the Movie』では音楽と背景画のみで作品の主題とプロットの鍵となる犯罪の動機が語られ、まさにアニメでなければ不可能な「映像が語る」ということが実現している。この点は、言語を超えるアニメの国際的な特質にも関連して実際の会場でもそのパートが上映され、来場者に感銘をあたえたようである。

このような映像と現代日本人のメンタリティの関連を、具体的な制作物の説得力とともにアピールする性質の展示会は今後の課題と思っていただけに、海外からそうした要求が先に出たことが意外であり、また喜びであった。それだけに口頭で入念に解説し、アドバイスに熱弁をふるった記憶がある。驚くべきはジャスト・アイデア的に提案した「こういう人のこういう展示物があるといいな」という願いが、パワフルな行動力でほとんど実現してしまったことだ。まさに自分にとっても「夢の展覧会」となったのである。
そうした関わりもあって小倉宏昌美術監督とともに招待を受け、オープンニング・パーティーでのマスコミ対応と講義を行ったのであった(協賛:国際交流基金、La Casa Encendida Madrid)。


/PART2 総合展示で世界観を訴えるに続く
《animeanime》
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