AR体験をプラスしただけで展示内容がガラリと変わる!…電脳世界を疑似体感するその凄い技術を開発Pに聞いてみた【「攻殻機動隊展 Ghost and the Shell」イベントレポート】 | アニメ!アニメ!

AR体験をプラスしただけで展示内容がガラリと変わる!…電脳世界を疑似体感するその凄い技術を開発Pに聞いてみた【「攻殻機動隊展 Ghost and the Shell」イベントレポート】

虎ノ門ヒルズ TOKYO NODEで開催中の「攻殻機動隊展 Ghost and the Shell」は、アニメ『攻殻機動隊』全シリーズを横断する、まさに30年の歴史を網羅した特別記念の展示イベントです。

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「攻殻機動隊展 Ghost and the Shell」場内の様子
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1995年に押井守監督が手がけた『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』は国内だけでなく、海外アニメファンにも大きな衝撃をもたらし、2017年にはスカーレット・ヨハンソン主演の実写版も公開されました。

原作は士郎正宗氏が1989年から1990年にかけて執筆したマンガ作品。映像化は続編映画『イノセンス(2004)』のほか、神山健治監督によるTVシリーズ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(2002年)』(「S.A.C.」シリーズ)、黄瀬和哉監督による『攻殻機動隊 ARISE(2013年)』シリーズ、神山健治氏と荒牧伸志氏による配信アニメシリーズ『攻殻機動隊 SAC_2045(2020年)』に加え、2026年7月からは新作TVアニメシリーズ『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』も控えています。

「攻殻機動隊展 Ghost and the Shell」は、それら全アニメ作品の制作資料を公開するとともに、関連するアート作品の展示、遊び心あるアトラクション、イベントオリジナルのグッズの販売、コラボメニュー等を提供するものです。

中でもARグラスを用いた「電脳VISION体験」は、別途料金が必要になるものの、電脳世界を舞台にした本作にピッタリのアトラクション。展示された原画をタチコマが解説してくれるだけでなく、草薙素子がダイブする、あの“名シーン”も再現してくれて夢のようなひと時が楽しめます。

そこで本稿ではイベントの見どころを紹介しつつ、実際に体験した「電脳VISION」について「電脳VISION」統括プロデューサーの砂原哲氏、XREAL 中澤真人氏に伺った内容をお届けします。

攻殻機動隊展 Ghost and the Shell | Official Trailer

◆ARってこんなに凄い技術だったの!?

通常、展示イベントなどで使用されるARは、スマートフォンのカメラを通して3DCGキャラクターを“その場に出現させる”のが一般的。もともとARとは拡張現実(Augmented Reality)を意味しており、仮想空間に飛び込むVRとは反対に、現実世界にCGキャラクターなどを視覚合成する技術のことを指します。ARはそのほかライブイベントにも使用されていて、たとえばVTuberグループ「ホロライブ」では“各タレントが現実のステージで歌って踊っている”ように感じられる、特別なステージ演出で活用されています。

現在開催中の「攻殻機動隊展」ではそのARを「電脳VISION体験」として導入。専用スマートフォンとARグラス(XREAL)をセットでレンタルしており、それを装着することで『攻殻機動隊』シリーズと同様、視界にUI(ユーザーインターフェース)が表示されたり解説を楽しんだりすることができます。

ナビゲーションを担当するのは、おなじみの自立型AI搭載のスパイダー型ロボット「タチコマ」。アニメで声優を担当する玉川砂記子さんが、このイベントのために収録したというボイスをもとに各展示の解説をしてくれます。ARグラスのスピーカーを通じて聞こえてくるその声はまさに、“少佐”と公安9課のテレパシーなやり取りそのまま。視界に表示されるUIや映像のみならず、聴覚の部分でも“電脳体験”が味わえました。

※ARを使用した「電脳VISION体験」は機材の数に限りがあるため、チケットの販売状況によっては希望の日時にレンタルできない場合があります。

「電脳VISION体験」では床のマーカー(タチコマのイラスト)をARグラスで見ながらレンタル端末の「SCAN」をタップすることでスタート。
「SCAN」が成功すると、丸囲みのウインドウ内で作品解説が始まります。それと同時に、マーカーから順路が示されます。
順路の先で浮かんでいるポイントをARグラスで見ると、その原画にまつわるタチコマの解説がスタート。このようにして各原画の詳細を参照していきます。

「電脳VISION体験」が楽しめるのは、通常の展示と同様、第1のアトラクションである「NODE(思考の結節点)」エリアから。ここは光と映像で魅せる空間となっており、「巨大電脳ネットワークビジュアライザー “Nerve Net”」と「“知の遺跡” “World Tree: Ghost and the Shell”」の2作品を組み合わせた、電脳空間をイメージした不思議なアトラクションとなっています。

ここで“マーカー”と呼ばれる、床の特殊なタイルをARゴーグルでスキャンすることでタチコマたちの3D映像が登場。お客さんをもてなすために張り切る姿が見られます。なおタチコマたちの3DCGはその場に固定されているため、後ろに回ってタチコマが読んでいる本のページをのぞき込んだり、様々な角度から鑑賞したりすることもできます。

第1のアトラクションである「NODE(思考の結節点)」。電脳世界に存在する情報ネットワークを視覚化したようなコーナーです。
メインの展示フロアがこちら。手前から奥へ、歴代作品にまつわる各種資料が並んでいます。

メインの展示エリアとなる広大なフロアでは、歴代アニメシリーズの原画、設定画、美術、背景資料などを一挙公開。その数、なんと1600点以上! 1995年の『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』を皮切りに、各シリーズが発表年代順に並びます。もちろんラストは2026年7月に放送予定の最新作『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』。現在制作中ということもあってスペースは限られていたものの、新たな芽吹きにワクワクする内容となっていました。

「電脳VISION体験」が本領発揮するのは、まさにこのメインフロアです。第1のアトラクションと同様、床のマーカーをスキャンすることでタチコマがその作品について解説してくれました。

解説が済んだら、次はマーカーから伸びるラインに従って、各ポイントにて原画解説を楽しみます。各ポイントではマーカーではなく、3DCGで表示された解説ポイントにARグラスを向ける(見る)だけで自動再生。タチコマの解説に合わせて完成映像も再生されるので、実際にどのシーンでどのように使われたかが分かります。

ズラリと並ぶ原画の数々。まだアナログで作業していた時代の成果物が、そのままの形で閲覧することができます。
こちらも原画やコンテなどの展示コーナー。

このARアトラクションについて、「電脳VISION」統括プロデューサーの砂原哲氏は「すべて閲覧するだけで1時間はかかるボリュームです」と胸を張ります。

もともと砂原氏はKDDI株式会社でデザインプロデューサーを務める人物。今回の展示ではおもに「電脳VISION」を担当し、技術企画・体験設計、解説話数の選定や解説執筆などを行いました。イベントで使用されたARグラスとそれに付随する技術も、もともとは存在していたものながら、このイベントのために組み合わせたり調整したりして開発したものです。

「今回のイベントでは、ARグラスに連動して追従する3DCG(UI部分)と、マーカーや解説ポイントなど、その場所に固定された3DCGを併用する形で運用しています。一般的なイベントでは3DCGを特定のポイントに固定し、それをお持ちのスマートフォンで見るというものが多いかと思います。追従型と固定型を併用するイベントは珍しいんじゃないでしょうか」

砂原氏の説明によると、展示フロアそのものを空間として認識させ、そこにマッピングする形でそれぞれのCGを配置。「6DoF(Six Degrees of Freedom)」と呼ばれる3DCGを固定する技術や、自己位置推定技術「SLAM (Simultaneous Localization and Mapping)」などの技術を駆使したその結晶が今回の「電脳VISION」とのことです。

片山真理氏による「you’re mine #000 / #001」と「you’re mine #001」。
映画『イノセンス』に登場するカラクリ人形たち。

「通常のイベントならそこまで手の込んだことをする必要はありませんが、今回は『攻殻機動隊』の世界です。AR技術は“電脳世界”の表現にちょうどよく、開発に着手することになりました。本格的なAR運用も本イベントならでは。これまでは本格的にARが駆使できる環境がなく、ここ1年ほどでようやく整ったとのこと。本イベントに使用したARグラスも「6DoF」に対応するモデルでした。」

「最終調整も、イベントの設営が完了して初めて取りかかれました。なにしろ実際の展示に合わせて3Dオブジェクトを配置しなければいけません。あらかじめシミュレーションしてはいましたが、なるべくズレないように配置するには、やはり設営後ではないと難しいですね。そのため最終調整は急ピッチでした」

笑顔で語ってくれた砂原氏。『攻殻機動隊』についても嬉しそうに解説してくれ、本イベントにどれほどの愛情が込められているか、その熱量の高さを感じさせてくれました。

「PATH A “STORY”(世界への導入)」のコーナーでは、押井守監督、神山健治監督、黄瀬和哉監督、荒牧伸志監督による撮り下ろしのインタビュー映像も上映中。

◆タチコマに「フチコマって何?」と尋ねてみた

本稿ではARに注目しましたが、もちろんアトラクションはそれだけではありません。歴代監督による撮りおろしのインタビュー映像、現代美術家・空山基氏による草薙素子をモデルにした新作メカ女性オブジェ、監視カメラで捉えた来場者の映像にリアルタイムで「笑い男」のシンボルマークを合成する「Laughing Man Mirror」などなど……。

パリコレにも登場したというANREALAGE 森永邦彦氏による「SCREEN」。
「笑い男事件」で印象的だったハッキングシーンを再現したような「笑い男になる鏡 "Laughing Man Mirror"」。
特定のTシャツに反応して“透明化”する「AI監視社会のカモフラージュ」。人物そのものが鏡面処理されて透明化します。(Qosmo × Dentsu Lab Tokyo)

面白かったのは、タチコマの等身大フィギュアに付随するAI質問コーナーです。こちらは備え付けのマイクに質問をすると、タチコマがリアルタイムで答えてくれるもの。もちろん『攻殻機動隊』にまつわることでも、まったく異なる質問でも構いません。生成AIが用いられており、質問に対する回答をネットの中から検索し、玉川砂記子さんによるタチコマのボイスを自動生成して回答してくれます。また砂原氏がプログラムした性格に沿って回答してくれるため、キャラクターもブレることなく本当にタチコマとお喋りしているような気持ちになります。

それでは実際にどのようなやり取りができたのでしょうか?

生成AIでどんな質問にも答えてくれるタチコマの等身大フィギュア。
映画『攻殻機動隊ARISE』に登場したAI搭載型メカの「ロジコマ」も等身大に。

試しに「フチコマって何?」と質問すると、「原作での僕らの名前だね」とよどみなく回答。それから「フチコマ」の名前の由来まで解説してくれました。

また「全身擬態化したらいくらかかる?」と、さらにムチャな質問をしても「費用ははっきりとは分からないけど、擬態化をすると凄い能力が備わるよ。でも維持のコストがかかるんだ」と親切に教えてくれました。砂原氏によると、来場者の中には『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』シリーズでおなじみの「手のひらを太陽に」を歌ってもらう人も多いとのこと。あなたならどんな質問をしますか?

なおタチコマへの質問コーナーは常設ではなく、不定期で開催されています。どのタイミングで実施されるかはXで随時発表されるとのことなので、興味がある方はXを注目してみてはいかがでしょうか。

ブラウン管テレビを用いた草野絵美氏のアート「EGO in the Shell」。
2026年7月放送予定の新作アニメ『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』のコーナー。
士郎正宗氏による原作コミック版『攻殻機動隊』。

1600点にも及ぶ制作資料が閲覧できるだけでなく、「電脳VISION」を利用すればいつまでも居られるという、ボリュームたっぷりの本イベント。会期は4月5日(日)までとなっていますが、海外からの来場者も多いですし、「電脳VISION」やタチコマとのトークも楽しむのであれば早めに前売り券を確保することをおすすめします。

空山基氏によるアート作品「Sexy Robot_TheGhost in the Shell type 1」。(C)Hajime Sorayama. Courtesy of NANZUKA、(C)ShirowMasamune / KODANSHA
(C)Hajime Sorayama. Courtesy of NANZUKA、(C)ShirowMasamune / KODANSHA
背面のコード類もアートの一部。(C)Hajime Sorayama. Courtesy of NANZUKA、(C)ShirowMasamune / KODANSHA
公式グッズショップ。
このイベントのために開発されたグッズを含む、ユニークなオリジナルグッズの数々。
格調高い「タチコマ鍋島焼」は受注販売で77万円。
テクノ屏風「TB-02:The Ghost in the Shell」も受注販売で価格は110万円。
公式グッズショップで販売中の等身大フィギュア。


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【「攻殻機動隊展 Ghost and the Shell」開催概要】
■名称 攻殻機動隊展 Ghost and the Shell
■会期 2026年1月30日(金)~ 4月5日(日)
■会場 TOKYO NODE GALLERY A/B/C(虎ノ門ヒルズ ステーションタワー 45F)
■チケット
<特典つき>
・オリジナルデザイントートバッグ付きチケット5000円【税込】
・GHOST IN THE SHELL オリジナル複製フィルム付きチケット2800円【税込】
<入場チケット>
・一般2500円【税込】(オンライン)、2700円【税込】(会場窓口)
・高校生・中学生1900円【税込】(オンライン・会場ともに)
・小学生1200円【税込】(オンライン・会場ともに)
・未就学児 無料(要保護者同伴・保護者は入場チケットが必要・入場特典はつきません)
<体験チケット>
・電脳VISION体験チケット1300円【税込】(オンライン前売り)、1500円【税込】(オンライン会期中)、1700円【税込】(会場窓口)
※別途入場チケットの購入が必要です。
・手で掘り起こす記憶“Analog Dig”2000円【税込】
※現地のみ。なくなり次第終了
■主催
攻殻機動隊展 Ghost and the Shell 製作委員会
株式会社講談社
森ビル株式会社
KDDI株式会社 株式会社プロダクション・アイジー 株式会社パルコ 株式会社バンダイナムコフィルムワークス
■協力
株式会社イノベーターワン
株式会社サードウェーブ
株式会社enigma
株式会社アコースティックフィールド
XREAL株式会社
大日本印刷株式会社
株式会社STYLY
株式会社Preferred Robotics
株式会社ア・ファクトリー
アンドアソシエイツ合同会社

(C)士郎正宗・講談社/攻殻機動隊展Ghost and the Shell製作委員会

《気賀沢 昌志》
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