英語翻訳された『ドラえもん』が、7月7日より米国の大手子どもチャンネル ディズニーXDで放送を開始する。放送は毎週月曜日から金曜日まで、日中の12時半から13時と子どもたちの見やすい時間に行われる。日本のアニメが、大手チャンネルの昼間の時間帯に放送されるのは珍しい。『ドラえもん』は大型タイトルとして、大ヒットを狙うことになりそうだ。また、テレビ放送による認知度の向上によるキャラクター展開も期待される。一方で、米国進出にあたっては、作品のローカライズが大幅にされたとして日本で大きな話題を呼んだ。主人公・のび太がノビーとなるなどキャラクターの名前が変わり、舞台の設定の映像が一部差し替わるなどもある。ローカライズの是非、あるいはローカライズの結果、視聴者の反応は本当にポジティブになるのか?多くの人が関心を寄せる。そんな英語版『ドラえもん』が、テレビ放送に先駆けてロサンゼルスでプレミア試写を行った。リトル東京で7月5日に開催されたアニメ祭サマー・フェスティバル(AnimE DE summer fest)の目玉作品となった。誰より早く英語版『ドラえもん』が鑑賞できる貴重な機会である。ロサンゼルス訪問中のアニメ!アニメ!編集部は、作品と観客の反応を確かめるべく、現地を訪れた。作品の素直な感想は、事前に思った以上に面白かった。上映されたのは英語版2エピソードで、それぞれ「人体とりかえ機」、「つめあわせオバケ」が登場する。吹き替え声優はオリジナルのキャラクターのイメージに違和感がなく、ストーリーのテンポもいい。オープニングやエンディングは米国風だが、エピソードは国のカルチャーの差異に関係ないものが選ばれように感じた。当初話題になったローカライズは、後から考えればあの部分と思い当るが見ている間は、ほとんど気にならない。要所要所で会場から大きな笑いが起きるなど、来場者から喜ばれていた。一方、作品の内容では、むしろ正座で座るシーンなど、原作の直し切れなかった部分が気になった。また、少なくとも上映された2エピソードでは、ドラえもんが未来のロボットであることや、キャラクターの設定の説明はまるでされていない。唐突に始まった感があるが、1話完結重視の米国流なのかもしれない。しかし、全体的に見れば、作品の仕上がりも、観客の反応も上々だった。今回のプレミア上映が日本人の多いリトル東京であることから、即断は出来ないが、今後につながる作品との印象だ。英語版『ドラえもん』の放送予定は、現在は比較的短期間とみられる。人気次第でさらに長期間になることもあるだろう。日本のアニメとキャラクターの飛躍に期待したい。会場となったアニメ祭サマー・フェスティバルは、同じロサンゼルスで同期間に開催されている日本アニメ・マンガの大型イベント アニメエキスポに合わせて実施された。若者が多いアニメエキスポに対してファミリー向けのイベントを目指している。アニメと夏祭りを融合したエンタテイメントである。開催当日は、ドラえもんの着ぐるみも登場し人気を集めていた。また、プロダクション I.Gの制作した映画『ジョバンニの島』も上映された。本作のプロデューサーで脚本を手掛けた櫻井圭記さんが現地を訪れて、参加者と交流を図った。[数土直志]アニメ祭サマー・フェスティバル(AnimE DE summer fest)/http://www.cooljapanusa.com/
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