採掘に生きる頑固中年“ウサギ”の人情劇! 虚淵玄とNetEaseがタッグを組んだ2.5DサイドスクロールACT「Rusty Rabbit」【レポ&インタビュー】 | アニメ!アニメ!

採掘に生きる頑固中年“ウサギ”の人情劇! 虚淵玄とNetEaseがタッグを組んだ2.5DサイドスクロールACT「Rusty Rabbit」【レポ&インタビュー】

ウサギにとってのタブーワードは「マクレガー」らしいです。

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過日、NetEase GamesにてPS5/PC(Steam)向け2.5Dサイドスクロールアクション『Rusty Rabbit』のメディア向け発表会が開催されました。

『Rusty Rabbit(ラスティ・ラビット)』はNetEase Gamesとニトロプラスとタッグを組んで手がけた作品で、企画原案/脚本を『魔法少女まどか☆マギカ』『Fate/Zero』『沙耶の唄』などの作品で有名な虚淵玄さんが手がけています。今回はメディア向け発表会として『Rusty Rabbit』プロデューサー齋藤祐一郎さん、虚淵玄さんが登壇。インタビューにて本作について語って頂きました。

『Rusty Rabbit』は人類が星を去って数千年後、ウサギが新たな頂点として君臨した世界での物語です。プレイヤーはウサギの「スタンプ」になってサイドスクロールアクションでの採掘や戦闘に励むことになるわけですが、スタンプが可愛いのは見た目だけ。内面は老境に差し掛かり酸いも甘いも嚙み分けた中年ウサギです。

そんなスタンプが愛機「ポンコツ」と共に、人間の残した巨大遺跡を発掘していくのが本作の目的です。遺跡で手に入れたガラクタ(遺物)で「ポンコツ」をカスタマイズしつつ、更なる深さに潜っていくゲームとなります。

本記事では『Rusty Rabbit』のプレイフィールに加え、虚淵玄さん・齋藤祐一郎さんへのインタビュー、そしてスタンプのCVをつとめる黒田崇矢さんのコメントを掲載していきます。

◆“兎生”酸いも甘いも味わった中年ウサギ「スタンプ」の採掘冒険譚!

ゲームを始めると、独り孤高に生きる「スタンプ」の独白から物語が始まります。スタンプは中年に差し掛かりひとり孤独にガラクタを弄りながら生活するウサギです。後述するインタビューでの虚淵さんの言葉を借りるなら“「自分の人生、一旦閉じたな」と達観している世代”とのこと。

そんな彼が若い世代である「BB団(ブラックベリー団)」と関わりを持ち、巨大遺跡「エントツ山」へ挑むことになるのが序盤の展開です。しかしスタンプは試遊している限りでは全然若者たちに馴染まず、ちょっと心を揺さぶられながらも全然頑固! FワードならぬMワードとでも言いましょうか、「マクレガー」と“皆から忌避される悪態”を付き、一向に心を開きません。

『Rusty Rabbit』はアクション面もさることながら、クスリと笑える、練りに練られた世界観やキャラクターも魅力です。人類の残したロボットがガラクタとして残っていることや、巨大遺跡の秘密はもちろんのこと……先ほどの「マクレガー」というタブーワードにも由来が存在します。それは人類がいなくなった世界でウサギが「ピーターラビット」などを基に神話を作っていることに起因します。マクレガーおじさんはピーターラビットの父親をミートパイにして食べているので、未来の世界で人間たちの書物を解読したウサギたちから見ればきっと悪魔のように映ったのでしょう。

そんなマクレガーを連呼する兎生(「人生」を『Rusty Rabbit』ではこう呼称します)を送ってきた頑固なオヤジと、夢と希望にあふれる若者集団が交わる人情劇が『Rusty Rabbit』です。筆者が驚いたのは、独り言を含めた台詞回しのカッコよさ。さすが虚淵玄さんというべきでしょうか、見事な言葉回しがいつの間にかプレイヤーを「スタンプの人生」に引きずり込んでくれました。

カッコいいおやじだな……と感じながらも、やっぱりビジュアルは可愛いスタンプ。アクションシーンではドリルや鉈、ショットガンなどを装備した愛機ポンコツに乗り込んでマップを駆け回ります。

ガラクタをドリルなどでぶち破り、グラップルワイヤーや壁ジャンプを駆使し、時にギミックを操作しながら2.5Dで描かれた上下左右に広がる世界を旅していきます。ここで装備を集め拠点で改造していくというのがゲームの大きな流れ。このハクスラ的な楽しみは、サイドスクロールアクション好きにはたまらないでしょう。

そして『Rusty Rabbit』ではここにスタンプの魅力も加わります。若者にとってはつっけんどんなスタンプですが、“プレイヤーにとっては”まったく寡黙なキャラではないのです。というのも、彼はプレイ中にうるさいぐらい独り言を言うのです。まるで頑固な職人の仕事場をこっそりのぞいているような感覚で、自分のプレイにスタンプが反応してくれるのがたまりません。

ボス戦では見慣れた重機がどこかロボティックになって襲い掛かってきます。ボス「錆キリン」は中々に強く、ギリギリの戦いを強いられてしまいました。ここで負けていたら、また採掘を再開して、装備を集めて強くした“ポンコツ”で挑んで行くことになったでしょう。

そして今回体験したのは「森ビオドープ」というエリアでした。その名の通り木々が鬱蒼と生い茂る区域です。人類が何のためにこの巨大な遺跡を建造したか、そしてそこに挑むウサギたちはどのような“世界の謎”を解き明かしてくれるのか、期待が膨らみます。

◆『Rusty Rabbit』インタビュー。開発のきっかけや主人公「スタンプ」について伺った

――なぜ『Rusty Rabbit』では「ウサギ」を主役にしようとされたのでしょうか?

虚淵玄さん(以下、虚淵):きっかけは、“ウサギの人形とスチームパンク風のロボット”を組み合わせた造形物に影響を受けたところからです。原点をリスペクトするために、造形物を携帯の待ち受けにしています。それがとても気に入りまして、同人的にゲームを作ろうと思ったのが始まりですね。それをNetEaseさんに見せたところ、「ブラッシュアップして製品化しませんか」というお誘いを受けました。

齋藤祐一郎さん(以下、齋藤):虚淵さんがunityで作られていた時点と今で、大きくベースは変わっていないですね。プロローグや、村から拠点に移動して採掘を行うなどといった構想がテキストで組まれていて、「これをブラッシュアップさせていただいて製品版として届けさせていただきたい」と虚淵さんとタッグを組んでやらせていただくことになりました。

――主人公「スタンプ」のキャラについてお聞かせください。

虚淵:まず、愚痴っぽい老人の相手をしながらスカベンジングをしていくというコンセプトがあったので……とにかく言葉数が多いんですよね。「ひとりごとの多いおじいちゃん」がスタンプです。

一旦家族関係が破綻しているということもありまして、その過去に関する愚痴や若い者に対する妬み嫉みがちまちま出てくるめんどくさいお爺さんですね。ウサギたちの宗教世界で一番忌避されている「マクレガー!」っていう悪態も容赦なく使うのですが、本人は本人なりに信心深いんですよ。

冒頭で「俺の名はスタンプ。ただのウサギ」と自己紹介するあたりが、結構端的に彼の性格を表している。あくまでちょっとニヒルなところがありつつも信心深く、ガラクタへの愛があったりだとか。頑固な中年という面が色濃く出ているかなと思います。

――黒田崇矢さんを起用したことに関しまして、キャスティングの狙いをお聞かせください。

齋藤:今回虚淵さんが提案された世界観が、「見た目はキュートなんだけど中身はハードボイルド」というものです。ビジュアル面でもギャップが出ているのですが、「ここからさらにユーザーさんの予想をどう裏切っていこうかな」と考えたところ、本質としてはキャラクター性、中身の部分、芯の強さが重要だと思い、これには黒田さんがハマるとオファーさせていただきました。

虚淵:結構、キャスティングの方向性は悩んでいましたよね。女性声優に荒くれたおっさん演技をしてもらうか、あるいは可愛いキャラに渋い声でしゃべってもらう路線かと。今回は後者で行きました。イメージソースには、クリント・イーストウッドの『グラン・トリノ』がありましたね。

――スタンプは人間で言うとどれくらいの年齢なのですか?

虚淵:イメージ的には50なかばの「自分の人生、一旦閉じたな」と達観している世代を想定しています。だから僕らから言うと中年で初老くらいだけど、子どもから見ると“おじいちゃん”に見えちゃう歳ですね。

――今回のゲームプレイではスタンプの口数が多さから「語りかけられている」感覚が強かったのですが、その点について教えてください。

虚淵:僕が作っていた、ブラッシュアップ前の段階では「おじいちゃんの独り仕事に愚痴を聞きながら付き合っていく」というコンセプトだったので、プレイヤー側に語りかけてくる要素が今より強くありましたね。それこそプレイ中に余計な与太話が始まったりだとか。「これはさすがに集中できなくなるからやめましょう」となったのですが(笑)。

そういうめんどくさいお爺さんの話し相手になってあげるというコンセプトがあり、今でもその名残が残っています。プレイ中に流れる言葉は全部「スタンプの独り言」ということになるのですよね(笑)。

齋藤:虚淵さんが今まで手掛けてきた“テキストADVというジャンル”を踏まえつつ、『Rusty Rabbit』では画面側の我々に話しかけてくる印象も強く感じていたので、2.5DサイドスクロールアクションでADVパート風な流れを入れていくというのも“あえての挑戦”として入れました。本来であればこういった要素はアクションを阻害する懸念もあるのですが、『Rusty Rabbit』ではお話やキャラクターが欠かせない要素なので実装しました。

――2.5Dサイドスクロールアクションの広いマップと聞くと謎解き要素を連想するのですが、本作ではそういった「謎解き」は用意されているのでしょうか?

齋藤:『Rusty Rabbit』はスタンプが遺跡を掘って進み、ガラクタ(遺物)をあつめて家でチクチク機体を作り上げていく。そしてまた掘り進めてマップを広げていくというのが第1の軸ですね。

パズル要素が強かったり「ダンジョンにいるモンスター全部ぶっ倒そうぜ!」という作品ではないので“謎解き”で言うと、まずは世界観の解明がそれにあたります。「ここで上手くレバーを入れましょう」というギミックはありますが、基本は「世界の広がり」と「スタンプが行うクラフト」を重視していますね。

――クラフトや探索で広がる「装備」について教えてください。

齋藤:装備の種類は「採掘用の装備」としてドリルとハンマー、「攻撃用の武器」としてショットガンと鉈があり、グレードアップなどで性能が変わっていきます。初期の鉈ではブロックは壊せないものの、クラフト次第でブロックも壊せるように変わったりもします。「グレードとしては低いんだけれど、ブロックを壊せる」からもうひとつ同じ武器を作るといった楽しみができ、最終的には特殊な挙動をする武器も出てきますね!

虚淵:ご覧の通りギャグゲーなので、装備がエスカレートしていくにつれ最終的には“バカバカしいもの”がポンコツに装備されたりもします。

――先ほど虚淵さんが「ギャグゲー」と仰られたところから、本作はシリアス展開というより、楽しんでいくシナリオとみて良いのでしょうか?

虚淵:メインストーリーは“ほどほどにシリアスな人情噺”を意識しています。でもまぁ、人情噺と言ってもウサギなのでつい笑っちゃいますよね(笑)。そういった細かいネタは多々用意しています。

齋藤:シリアスだからこそ笑っちゃうんですよね(笑)。

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。

虚淵:僕はむかしテキストADVゲームを作っていたので、コントローラーでがっつり遊ぶゲームは憧れでした。だけど作るノウハウもなかったわけです。そういう、憧れていたジャンルのゲームをNetEaseさんのお力添えで作れたのは嬉しく思っていますので、ぜひ虚淵玄の新境地として楽しんでいただければと思います。

齋藤:今回のゲームは2.5Dサイドスクロールアクションですので、一見するだけだと皆様「見たことがある」と感じられるかもしれません。しかし鬼才・虚淵玄と我々がタッグを組んだことにより、新たな2.5Dサイドスクロールアクションへのチャレンジが行えました。

手に取っていただいた時にはがっつりと楽しんでいただけるようにギリギリまで調整を行っていますので、どうぞご期待下さい!

――今回は、ありがとうございました。

スタンプ役を担当しました黒田崇矢です。誰でも楽しめるゲームだと思いますので、ストーリーと共にゲーム性も楽しんでいただければ嬉しいです。今後スタンプはじめ他のキャラクター、全てのキャラクターを皆さんが愛してくれるようになると嬉しいな!私の新たな代表作になるように祈っております!


2.5Dサイドスクロールアクション『Rusty Rabbit』はPS5/PC (Steam)向けに2024年9月24日より、価格4,510円(税込)で発売開始。6月5日より予約が開始され、予約購入者は2024年9月21日より先行プレイが可能です。

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《高村 響》
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