いつまで続くのかわからない、出口の見えないトンネルのような状況に不安を感じている人も多いはず。そんな時こそアニメのようなエンタメが必要な時だと思います。
日常が失われた今だからこそ、何気ない日常が素晴らしく感じられるはずです。そこで今回は、そんな素敵な日常を描いた「日常系アニメ」のオススメを、今すぐ観られる動画配信サイト(Netflix、Amazon Prime、dアニメストア)で提供されているものの中からご紹介します。
『日常』3.11直後に日常の素晴らしさを教えてくれた

あらゐけいいち原作の同名ギャグマンガを、京都アニメーションがアニメ化した作品で、東日本大震災のあった翌月、2011年4月から放送された作品です。2011年に民放で放送された後、翌年にNHKEテレで再放送されたことでも話題になりました。
時定高校に通う、一風変わった女子高生たちと、8歳の天才少女と女の子型ロボットが暮らす東雲研究所のシュールな日常生活が描かれています。
達増拓也岩手県知事が「震災後に鑑賞して、心の大掃除になった」と述べていたことがあるのですが、震災後の不安な時期、同じように感じられた方は多いのではないでしょうか。筆者も本作の放送はすごく心の支えになりました。
こんな風に、楽しく平和な日常生活が戻ってくるといいなと心から思える作品です。
『ゆるゆり』日常アニメの大手、動画工房の出世作

なもり原作の同名マンガを、日常アニメを得意とする動画工房がアニメ化した作品です。動画工房は2010年代の日常系アニメを牽引する存在となりましたが、それは本作のヒットから始まったと言えるでしょう。
元々茶道部の部室だった部屋を占拠して「ごらく部」という、活動内容が特に決まっていない部活を立ち上げた4人の女子中学生のダラダラした日常を描いた作品です。タイトルに「ゆり(百合)」とあるように女の子の同士の百合要素をほんのりと加えた日常生活が淡々と綴られています。早くこの4人みたいに気心しれた友人たちとダラダラした日々を取り戻したいですね。
2011年に1期が放送され、人気を受けて翌年2期が放送、2015年にはOVAが制作されるなど、息長く支持されている作品です。
『ご注文はうさぎですか?』心がぴょんぴょんする

通称「ごちうさ」で愛される、Koi原作の4コママンガのアニメ化作品。春からの高校入学のために新しい街にやってきた少女、ココアが住み込み喫茶店「ラビットハウス」での日常を描いています。
住み込む家に奉仕する高校の方針で、ラビットハウスで働くことになるココアが、オーナーの孫チノやバイトのリゼらと喫茶店を切り盛りする様子や、同級生の千夜やシャロらとの学校生活を楽しくおくる様子を可愛く描いています。
OPの歌詞の一節から生まれた「あぁ^~心がぴょんぴょんするんじゃぁ^~」がネットスラングになったことでも有名。世の中が殺伐として雰囲気になってきたからこそ、心がぴょんぴょんするような何かを探していきたいですね。
2014年の1期、2015年に2期、2017年の劇場公開、2019年にはOVAが発売、さらに2020年にはTVアニメ3期が放送予定となっています。
『のんのんびより』田舎ぐらしに憧れる

あっと原作による同名マンガをアニメ化したもので、全校生徒5人(男子1人、女子4人)の分校に通う女の子たちの田舎暮らしを描いた作品です。
「にゃんぱすー」が口癖で独特の感性を持った小学校1年の宮内れんげ、大人びた美少女の小学5年生の一条蛍、いたずら好きなトラブルメーカーの中学1年の越谷夏海と、一番年長だけど子供っぽい中学2年の越谷夏海の4人の生活を中心に、大自然の中でほのぼのとした田舎ライフを綴っています。
ゆったりと時間が流れる、牧歌的な田舎の風景が美しくて、コロナ騒動が一段落したら田舎を訪れてみようかなと思うことでしょう。
2013年に1期が制作され、2015年の2期を経て、劇場版も2018年に公開、3期の制作も決定し、ファンが心待ちにしている作品の1本です。
『ARIA』天野こずえ原作x佐藤順一監督の名作

天野こずえの同名マンガを、『きんぎょ注意報!』や『ケロロ軍曹』で知られる佐藤順一監督によってアニメ化された作品。
テラフォーミングされ水の惑星となった火星、アクアの観光都市、ネオ・ヴェネツィアでゴンドラ漕ぎの観光案内人、ウンディーネを目指す水無灯里(みずなし あかり)の視点で綴られる物語です。
日々の生活のささいなことに素敵なことを見出す灯里の感性が素晴らしく、何気ない日常の素晴らしさを瑞々しく見せてくれます。
水の都の美しい情景と優しい人間たちの織りなす心地よい空間はいつまでも浸っていたくなる作品。暗くなりがちな時こそ、灯里のように素敵なものを積極的に見つけようとする姿勢が、すごく大切なのではないかと思います。
TVアニメは3期まで、OVAに劇場版も制作された日常系アニメを代表する名作の1本です。
『らき☆すた』聖地巡礼の火付け役

美水かがみの4コママンガ作品を、京都アニメーションがアニメ化。
2000年代の日常系アニメの代表的な作品の1つで、アニメの舞台となっている土地を訪れる「聖地巡礼」を流行させた作品としても有名な作品です。
オタクのこなた、天然キャラのつかさ、とその双子の姉かがみ、おっとした性格のみゆきの4人がおりなすまったりした日常生活を描いています。
主人公1人であるこなたがオタク気質であり、秋葉原や池袋、コミケ会場である東京ビッグサイトなども登場し、こなたが3人を巻き込みつつ、オタクライフを満喫する日常が当時のアニメファンの心を掴みました。
つかさとみゆきの実家のモデルとなった埼玉県久喜市の鷲宮神社は今も熱心なファンが訪れています。
『たまゆら』広島のノスタルジックな風景が沁みる

『ARIA』シリーズのスタッフが中心となって制作されたオリジナル企画の日常系アニメ。原案と監督を『ARIA』の佐藤順一氏が手掛けています。
広島県竹原市を舞台に、写真好きの女子高生、沢渡楓と3人の友達との夢を追いかける楽しい日々を情感たっぷりに綴った作品です。
ノスタルジックな風景にのどかな人間模様と高校時代の輝きが加わり、何気ない日常の尊さが画面から溢れている作品です。古い街並みを残す竹原市は観光地としても有名ですが、コロナ禍で観光客は激減していることでしょう。
終息したら是非生きたいと思える素敵な場所がたくさん描かれています。
2010年のOVAに始まり、2つのTVアニメシリーズを経て、劇場版『たまゆら~卒業写真~』4部作で完結、『ARIA』と並ぶ佐藤順一監督の日常系アニメの代表作です。
『衛宮さんちの今日のごはん』過酷な戦いと対照的な平和な日常

登場人物たちが過酷な運命を背負うことが多い『Fate』シリーズの派生作品でありながら、料理を題材としたほんわかした日常を描いた作品です。
登場人物は『Fate/stay night』の面々で、サーヴァントたちも冬木市で人間のように日常生活を営んでいる設定で、例えば『Fate/stay night』の冒頭で主人公を殺そうとしたランサーが八百屋さんでバイトしていたりします。
『Fate/stay night』本編での登場人物たちの壮絶な戦いと直面した悲劇を知っていると、本作で描かれる日常の食卓風景がいかに尊いものか思い知らされます。非日常を知ったからこそ、日常が輝いて見えるということがよくわかります。
もちろん『Fate』シリーズを観たことのない人にも凝った料理アニメとして見応えある内容です。
『刀剣乱舞 花丸』過酷な戦いの合間の貴重な日常

人気ゲーム『刀剣乱舞-ONLINE-』を原作とするアニメ作品。「刀剣乱舞」シリーズのアニメは、ufotable制作のアクションを主体にしたハードな内容の『活撃 刀剣乱舞』と、動画工房による本丸での刀剣男士たちの日常生活を中心に描いた『刀剣乱舞 花丸』の2つが存在します。
『花丸』は、沖田総司の刀だった大和守安定の葛藤と成長と刀剣男士たちの日常描写を中心に描かれ、戦いの合間にこんな日常を送っているのかとほっこりさせられます。
戦うために生み出された刀剣男士たちの朗らかな日常は、戦闘という非日常を知れば知るほどにかけがえのないものとして輝くでしょう。
これまで2016年放送の1期、2018年放送の2期までが制作されています。
『干物妹!うまるちゃん』外出自粛の理想の姿

サンカクヘッドによる同名ギャグマンガを、日常系アニメを得意とする動画工房がアニメ化。
外では才色兼備の完璧お嬢様として振る舞うものの、家に中ではお菓子を貪りゲーム三昧なだらけた日々を過ごす女子高生、うまると兄タイヘイの日常を描いた作品です。
他者から見られる外出時には等身高い外見でも、家の中では2等身のダメキャラに変貌する、そのギャップをコミカルに描いています。イメージとしてのデフォルメ描写ではなく、実際に第三者から全く異なる人物に見えているのがポイント。
うまるのように日々を家の中で楽しく過ごす方法こそ、外出の難しい今多くの人が求めているものでしょう。外出自粛の極意をうまるから学びましょう。
TVシリーズは現在2期まで制作されています。
非日常となってしまった今だからこそ、平穏な日常の素晴らしさを忘れたくありません。
これらの作品で描かれる平穏な日常が1日でも早く戻ってくることを願って、自宅でアニメを楽しみましょう。
なお、各作品の配信先は次のページに記載しています。