この1月より放送がスタートするTVアニメ『上野さんは不器用』。
天才的かつ奇想天外な発明品を使って部活の後輩・田中を振り向かせようと奮闘する上野さんと、それをバックアップしようとするもう1人の後輩・山下。そんなとある中学校の科学部で巻き起こる日常のドタバタを描いたコメディだ。
3回にわたってお届けする本作のメインキャストインタビュー。第2弾の登場は、田中役・田中あいみさん。同じ“田中”でもなかなか推し量れないのが本作の田中のようで……?
[取材・構成=御杉重朗、撮影=スギゾー]
『上野さんは不器用』

■鈍いけど、きっと優しい男の子?
――演じておられる田中はどんなキャラクターですか?
田中
この作品に出てくる中では唯一の男の子で、すごくマイペースというか、わりと鈍感な子です。
他のキャラクターたちの個性がものすごく強い中、田中は埋もれがちなんですけど、さらっと毒舌なことを言ったり、上野さんの気持ちを考えているようで、鈍さゆえに傷つけてしまうこともある、そんな感じの男の子だと思って演じています。

――上野さんや後輩の山下にはよく怒られていますが、発言自体は案外まともなんですよね。シチュエーションが致命的にズレていますけど……。
田中
言っていることはだいたい正しくて、上野さんの体を気遣ったりもできる子なので、そのさじ加減が難しいですね。「基本的にこの子は優しい子なんだ」ということは常に考えています。
――他に演じていて難しい点、注意している点はありますか?
田中
淡々としゃべり続けてしまうと、トーンが低くなって怖くなってしまうので、男子ならではのあっけらかんとした明るさを乗せるようにしています。
上野さんが高いテンションでグワッと来るので、すごくそれに乗っかりたくなりますし、ツッコミを入れるときはズバッと声を張りたくなっちゃうんですけど、そこでさらっと受け流すのが難しいですね。
だから感情が田中の中で動いて、たまに焦ったりビシッと声を上げられるところは演じていて楽しかったです。

――上野さん役の芹澤優さんは「田中さんの動じない安定感が頼もしかった」とおっしゃっていました。
田中
芹澤さんがマイクテストでいつも面白いんですよ。
だいたいその後に田中がしゃべらないといけないんですけど、笑いをこらえるのに大変で出遅れたりすることがけっこうあって(笑)。でもそう言ってくれるのはうれしいですね。
――水面下でそんなせめぎ合いがあったんですね。田中さんは芹澤さんが演じる様子をどんなふうに見ていましたか。
田中
毎回、メチャクチャ叫ぶセリフが多いのに、ぜんぜん疲れていないのがすごいなと思っていて。そういう人が“座長”として真ん中にいると、こっちもテンションが高まって演じられるので、ありがたいなと思っています。
あとはブース内でいろんな奇声の研究をしていて(笑)、そのレパートリーを面白いなと思いながら聞いていました。

――山下役の影山灯さんについてはいかがですか?
田中
共演していた作品ではふわふわとした声が高めな女の子を演じていたので、最初に山下役が影山さんと聞いたときには「どんなふうにやるんだろう?」と思いました。
原作を読んでいても山下の声は想像できなくて。上野さんや田中は「なんとなくこんな感じかな?」と想像できたんですよ。
でも山下はどんな声でも当てはまりそうだし、と思って楽しみにしていたんですけど、聞いてみたら「こんな低い声なんだ!?」とびっくりしました。
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