アニメ!アニメ!では、本作でコアラ(メス)の擬人化キャラクター・子守ユカリを演じる久野美咲さん、ナマケモノ(メス)の擬人化キャラクター・獣生ミユビを演じる小原好美さんにインタビュー。TVアニメの見どころはもちろん、近年人気が高まっている動物キャラクターの魅力についても語っていただいた。
[取材・文=榎本麻紀恵/撮影=市原達也]
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■すごく笑えて、勉強にもなる新感覚な作品です!
――TVアニメ化キャストに決まったときのお気持ちは、いかがでしたか?
久野:すごく嬉しかったです。役が決まってから原作を読ませていただいたのですが、ユカリは良い意味で強烈なキャラクターだったのでビックリしました(笑)。任せていただけたぶん、しっかり演じたいと思いました。
小原:実は、オーディションでは別の役を受けさせていただいていました。だから、ミユビを演じさせていただくと決まったときは驚きましたけど、でも同じくらい嬉しかったです。原作はすごく笑える部分もあるし、動物たちの豆知識も散りばめられているので勉強にもなるし、新感覚な作品だなと思いました。
――お2人が演じるキャラクターについても教えてください。
久野:ユカリはコアラの擬人化キャラクターです。ユーカリが大好きで、たまに天然だったりもするんですけど、基本的には明るい性格で、料理部のみんなを温かく見守っています。他のキャラクターに比べると、精神年齢が高い感じがしますね。
小原:そうですよね。大人っぽい感じがします。
久野:背が低くて体は小さいんですけど、中身はしっかりしているというギャップも感じるキャラクターですね。
小原:ミユビは、ナマケモノの擬人化キャラクターなので、喋るトーンや動作がすごくゆっくりなんです。そして、ナマケモノの生態と同じで、些細なキッカケで死んでしまうという設定があります(笑)。
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久野:こんなに作中で何度もギャグとして死んじゃうキャラクターは、なかなかいないよね(笑)。
小原:死んじゃうと笑われるっていうのもコメディならではですよね(笑)。私としても、ミユビはこれまでに演じたことのないキャラクターだったので、役の幅が広げられて嬉しかったです。
――演じる上で意識したことはありますか?
久野:ユカリ本人は悪気無く言っている台詞が、実際には鋭いツッコミになっているシーンが多いので、嫌味に聞こえないよう意識しました。それからユカリは、「だ」行の発音が「ら」行になってしまうという特徴があるので、発声も意識しましたね。アフレコが始まる前に、そもそも滑舌が悪くて「だ」行が言えないのか、それとも「だ」行だけが言えないのか、スタッフさんに確認したんです。
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子守ユカリ役・久野美咲さん
そうしたら、「全体的に滑舌が甘めなキャラクター」というディレクションをいただきました。ユカリは原作よりも、TVアニメの方が幼く描かれるとうかがったので、原作も踏襲しつつアニメならではのユカリも表現できたらと思いました。
――喋り方に特徴があるキャラクターを演じる場合、日常会話でもついその癖が出てしまうことはありませんか?
久野:それはないですね(笑)。普段から「そうれす」って言っていたら面白い人になってしまいます(笑)。
小原:いや、私は久野さんが「そうれす」って言っていたらキュンとします!
久野:え~!キュンとしないで(笑)! 小原ちゃんは、ミユビを演じるときに意識したことはある?
小原:ミユビはスローテンポだったので、優しい音が出せるようにと、意識していました。ゆっくり喋る分、他のキャラクターよりも尺が多めに取られていたのですが、用意された尺よりも早くセリフを言い切ってしまうことも多くて、スタッフさんから、「もっとゆっくり」とディレクションされていました。
――スローテンポのセリフ回しだと、感情を込めるのも難しいのでは?
小原:でも、セリフ自体は短いので、その中で気持ちを込めていくのは、逆に演じやすかったですね。
久野:そうなんだ! この現場はギャグシーンが多くてみんなの会話のテンポが速かったから、つられそうで大変そうだなって思ってたの。
小原:スローテンポで長いセリフだったら難しかったかもしれませんが、ミユビの場合は感情が込めやすかったです。
――アフレコ現場での印象的なエピソードも教えてください。
小原:みんなでアドリブをするシーンがあったんですけど、ミユビはみんなよりもテンポがかなりゆっくりなので、アドリブのシーンには参加させてもらえなかったということがありました(笑)。
久野:スタッフさんから「ミユビだけアドリブはなくて大丈夫です」って言われて、その度に小原ちゃんが残念そうな表情をしているのが印象的でした(笑)。
小原:でも、私が残念そうにしていると、他のキャストの方々が「大丈夫だよ!」って慰めてくださって、温かい現場だなって思っていました(笑)。
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――雰囲気の良い現場だったんですね。
小原:原作の空気感と同じように、現場もにぎやかでしたね。
久野:この作品では、ゲストキャラクターが登場するのですが、そのキャストさんはベテランの先輩ばかりでした。キャリアや年齢を問わず、色々な方がいらしたので、スタジオの中が先輩や後輩、先生がいる学校に見えてきて。
小原:一度、休憩時間にみんなで差し入れをいただいていたときがあったのですが、気がついたら収録を再開する時間になっていて。そこに音響監督の郷文裕貴さんが来て、「みんな収録始めるよー!」って声をかけてくださるということもあったので、そのときは「あ!先生がいる!」って思いましたね(笑)。
久野:そうそう!たしかに郷さんがアフレコ現場を引っ張ってくださる担任の先生みたいな感じだったよね。
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