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「妹さえいればいい。」連載インタビュー【第5回】シリーズディレクター・玉村仁 「情緒を廃して奥行き感を演出する」

TVアニメ『妹さえいればいい』連載インタビュー。第5弾はシリーズディレクター・玉村仁 さんに演出面を中心に本作の魅力を語っていただいた。

インタビュー
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■女性の下着は、ヒロインごとにお気に入りのメーカーがある

――第9話のエンドクレジットでスタッフの「下着派」か「全裸派」が記載されるなど、本作は遊び心も満載でした。ちなみに玉村さんは……。

玉村
下着派です(笑)。やはり着ていたほうがいいと思います。生まれたままの姿も確かに素晴らしいですが、下着や服があると色々と変化をつけられるじゃないですか。

――たしかに実際の作品でも、下着へのこだわりが感じられました。デザインや描き込みが凝っていたりと。

玉村
ボードゲームやビールの描写にも言えることですが、キャラクターがピーキーなぶん、現実にあるものは極力ちゃんと描いて、リアリティとのバランスをとっていました。
下着に関しては、キャラクターごとにモデルのメーカーを設定して、 それに合わせて描いてもらいました。写真資料を漁ったりと下着についてかなり入念に調べたので、一時期、スタッフのパソコンのネット広告が全部女性の下着になっていました(笑)。


■理想の妹像は、10話に詰めこみました

――本作のタイトルにかけて、玉村さんにとっての「○○さえあればいい」というものを教えてください。

玉村
アニメ、本、サッカー観戦など趣味もバラけているので難しいですね。んー……ひとつ選ぶとしたら、仕事です。アニメの現場では苦しかったり理不尽な目に遭うことも多いのですが、アニメ業界に入ってくる人達って生活のためだけが目的ではないんです。そういう意味では、仕事と趣味が両立している、アニメの仕事さえあればいいかな、と。

――仕事は自分の趣味を満たす場でもあると。

玉村
好きなことでもあり、生活の糧でもある。それを踏まえると趣味よりも仕事の方が上に来ます。でも働きたくない時は働きたくない(笑)。だから伊月の気持ちがすごくわかるんですよ。

――理想の妹像について教えてください。

玉村
これは10話に集約しました 。妹がいなくて、妹への渇望があるからこそ描けた部分なので、ここで語る言葉よりも10話を見ていただきたいです。
10話を担当しているときは現場的にはつらい時期だったのですが、だいぶ癒されました。自分でつくったものに癒されることってあるんだなって(笑)。アフレコ時に山本希望さん(千尋役)と水橋かおりさん(春斗の妹役)の声が入って、絵に色がついたときは救われた気分になりました。あの時ばかりは春斗の気持ちに同調しましたね。

■後半に繋がる感情の機微を盛り込むことで、物語に厚みが増す

――では、最後に改めて『妹さえいればいい。』あらためて見る際に、注目してほしいポイントを教えてください。

玉村
映像的な部分ですと、伊月の部屋の棚にあるボードゲームや毎話出てくるビールなど、現実に存在するものや都市の街並みですね。街並みにも実はモデルがあるんです。さりげなく画面の裏にある情報を追っていただけると、繰り返し視聴する時により楽しいのかなと 。
お話の部分では、後半に繋がるキャラクターの感情の機微を、前半に盛り込んでいます。1話や2話など序盤から、後半の物語をちゃんと計算して、積んでいってます。

――2話で伊月が「いや、(俺には妹が)いる」と答えた時に、千尋がドキッとした表情をしていたり。

玉村
ええ。そういう後半の話数につながる伏線を前半から細く散りばめているので、 2回目以降に見ると「あの時の言動の裏にはこんな感情があったのか」と気づけると思います。一瞬の細かい表情にも注意して見ていただけると、より厚みを感じられて楽しめると思います。


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【「妹さえいればいい。」連載インタビュー記事まとめ】
第1回 原作・平坂読先生「伊月と春斗は両方とも自分」
第2回 キャラクター原案・カントク先生「平坂先生のフェチを理解して再現する」
第3回 音楽・菊谷知樹「クリエイターの日常を“渋谷系”で表現」
第4回 キャラデザ・総作画監督:木野下澄江「変態シーンがあるからこそ純愛が生きるんですよ!」
《かーずSP》
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