「ブレードランナー」渡辺信一郎インタビュー 自作への影響、短編新作にかけた想いは | アニメ!アニメ!

「ブレードランナー」渡辺信一郎インタビュー 自作への影響、短編新作にかけた想いは

インタビュー

「ブレードランナー」渡辺信一郎インタビュー 自作への影響、短編新作にかけた想いは
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サイバーパンク映画として世界中のクリエイターに影響を与えた伝説的SF映画『ブレードランナー』の続編『ブレードランナー 2049』が10月27日に公開を迎える。
第1作と最新作との間をつなぐ物語として、『カウボーイビバップ』『スペース☆ダンディ』などで知られる渡辺信一郎監督による短編アニメ作品『ブレードランナー ブラックアウト2022』が、9月27日にWeb無料配信にて公開された。
そのクオリティの高さで話題を集めた『ブレードランナー ブラックアウト2022』だが、今回は渡辺監督ご自身に作品に込めた思いや、その見どころを伺った。
[取材・構成=いしじまえいわ]


――監督ご自身も『ブレードランナー』の大ファンとお伺いしていますが、あらためて当時ご覧になられたときの衝撃はいかがでしたか。

渡辺信一郎監督(以下、渡辺)
ブレードランナー以前のSF映画は「A long time ago in a galaxy far, far away…」と始まるように、現実世界とは直接つながっていない、いわば「おとぎ話」でした。一方『ブレードランナー』では、冒頭のテロップで2019年12月の出来事だとまず提示される。「現在と直接つながった世界の話なんだ!」と思わされました。
本作のリアリズムのもつ魅力が、その冒頭のテロップに全て象徴されている。自分含めて、アニメ業界の多くの人が影響を受けました。

――アニメ業界の仲間同士で語り合ったりはされましたか?

渡辺
直接語り合ったというよりは、それぞれが作る作品を見て「ああ、あいつも影響を受けてるな」と感じたりしていました。おのおのが影響を受けた、という感じです。


――今回、『ブレードランナー ブラックアウト2022』の監督を担当するにあたっての想いはいかがでしたか?

渡辺
プレッシャーはもちろんありました。『ブレードランナー』という作品にふさわしい、名を汚さないような作品ができるのか? 本家に対抗できるような作品を作らないと意味がない、でもアニメでつくる以上、実写映画そっくりの真似事でもダメ。
普段はオリジナル作品を担当することが多いので、プレッシャーを感じることはないんです。でも今回はさすがに原点が歴史に残る重い作品なので、スピンオフとはいえ簡単ではないぞ、と。
でも、やりたいという思いが勝ったんでしょうね。大好きな作品ですので、自分以外の他の人が簡単に受けて安易なものをつくってもらっても困る! それを見て怒るくらいなら自分がやろう! と想いを決めました。逆に他の人が作って素晴らしくても、それはそれで悔しいですから(笑)。


――キャラクターデザインを担当された村瀬修功さんなど、クリエイター陣が非常に豪華ですが、キャスティングは監督がされたのですか?

渡辺
村瀬さんには私からお願いしました。村瀬さんとは一度がっつり一緒に仕事をしたいという想いもあり、また作風的にリアル寄りの絵が描ける方にお願いしたいということもあったので、お声がけさせていただきました。他のみなさんも、リアル寄りの表現が得意な方ということでお願いした結果、ベテラン揃いになりました。
村瀬さんは『ブレードランナー』の案件だと伝えた途端、「ちょっと待って……!」と他の仕事の都合を調整して参加してくれました(笑)。他のみなさんも、『ブレードランナー』だからやってくれた、というケースが多かったように思います。

――まさに作品の魅力あってこその豪華クリエイター陣なんですね。

渡辺
結果的に予算以上のクオリティの映像になったのは、みなさんの『ブレードランナー』という作品への情熱のおかげです。一部の方から「金に飽かしてスゴイの作った」と言われているようですが、違います(笑)。


――そんな大きな影響力のある『ブレードランナー』ですが、監督ご自身の作風にも影響はあったのでしょうか?

渡辺
「SFだからビバップが影響を受けている」とか「ブレードランナーのこのシーンを真似して作ろう!」とかそういったレベルではなく、意識していなかったレベル、たとえばカットのインサートの仕方、ショットの撮り方、つなぎ方、表現のスタイルなど、深い部分で無意識的に影響を受けていると感じます。
本作で言えば、プリス(第1作に登場した女性型レプリカント)の体操選手的な動きをトリクシー(本作のヒロイン)にさせるなど、表面的なところももちろん押さえています。が、そういった目に見える部分だけでなく、作品に内包される哲学的なメッセージなど、目に見えない、一度見ただけでは分かりにくいような部分もリスペクトして作っています。


『ブレードランナー』を見た当時、1回見て理解したかというとそうではなくて、5回10回と見る中でいろんなことが分かっていきました。『ブラックアウト2022』も同じように楽しんでもらえるよう、何度も見ることで徐々に分かってくるようなメッセージを込めています。
アメリカのプロデューサーには「分かりづらいところは直して欲しい」と言われたりもしましたが、「『ブレードランナー』を1回見てすべて理解しましたか?」……というようなやり取りを、公開直前までしていましたね(笑)。

今のところ「作画最高!」というリアクションが多いようでそれはそれで嬉しいですが、そういった作画以外の部分も楽しみながら見てみてください。
また、こだわりという点で、音響は5.1chサラウンド、画質はフルハイビジョンで制作しています。

――Web配信アニメのレベルではないですね!

渡辺
映画館で上映できるスペックを想定し、作り手としてはWeb配信でパソコンやスマホで見られるのが悔しい! という作品になっています。ぜひフルHD設定 に切り替え、なるべく大きな画面で、いいサウンドシステムやヘッドホンを使って楽しんでほしいです。


――環境を整えて改めて見たくなりました。

渡辺
もし機会があれば、映画館の上映会などでも流していただけると嬉しいです。それに耐えうるように、15分間の短編映画として作りましたので。
『ブレードランナー』第1作と『ブレードランナー 2049』、それに『ブラックアウト2022』、3本セットで上映してくださる映画館、ありませんかね?(笑)

――この記事をきっかけに、どこかの映画館さんが上映してくださるといいですね! ところで監督は『ブレードランナー 2049』はもうご覧になられましたか?

渡辺
私もまだ見ていません。今度ワールドプレミアで見ます(※記事公開現時点では、すでにご覧になられている)。
ただ、撮影を見学に行ったときに断片的なラッシュだけ見せてもらいました。数シーン見た限りでは、映像的に凄まじいものになっていました。とてもハリウッドの大作映画とは思えないようなアーティスティックな映像も多かったので、すごく楽しみです。

映画の恐ろしいところで、つないだら面白くなくなることもありますし、多くのブレードランナーファンと同様「超名作の続編を作ってしまって大丈夫か? 蛇足にならないか?」と期待と不安が半々でしたが、ラッシュを見て今では期待の方が大きくなっています。


――それでは最後に、ブレードランナーファンや、『ブラックアウト2022』で初めてブレードランナーに触れた方へメッセージを願いします。

渡辺
『ブラックアウト2022』を見て『ブレードランナー』に興味を持った方がいらっしゃれば、絶対的名作ですのでぜひご覧ください。
そして『ブレードランナー』を見ていれば『ブラックアウト2022』も、今度の新作『ブレードランナー 2049』も、より深く楽しめると思います。どの作品もぜひ何度も見て、深く楽しんでいただけたらと思います。
【2017年9月28日 三鷹・CygamesPicturesにて】
《いしじまえいわ》
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