「ID-0」谷口悟朗監督×黒田洋介対談―「スクライド」から16年…黄金タッグがつくる、本当の意味での“SFアニメ” 3ページ目 | アニメ!アニメ!

「ID-0」谷口悟朗監督×黒田洋介対談―「スクライド」から16年…黄金タッグがつくる、本当の意味での“SFアニメ”

先頃、ついに大団円を迎えた『ID-0』。3DCG作品による骨太なSF作品は多くのファンを唸らせるものであったと評判が高く、2017年のアニメシーンを象徴する1本であったことは間違いない。

インタビュー
「ID-0」谷口悟朗監督×黒田洋介対談―「スクライド」から16年…黄金タッグがつくる、本当の意味での“SFアニメ”
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■黒田洋介「本当の意味でのサイエンスフィクション作品」その真意とは?

――黒田さんが本作について以前、スタジオオルフェの公式Twitterで「多分、僕が初めて手掛ける、本当の意味でのサイエンスフィクション作品です」【https://twitter.com/studio_orphee/status/851026835773075456】と発言していたのが気になったのですが、この言葉はどのような意図で発せられたのでしょうか?

黒田
こう書いたのはテーマの根幹がサイエンスフィクションだったからです。『ID-0』ではドラマのためのサイエンスフィクションを用意するのではなく、まずサイエンスフィクションがありきで、そこからドラマを作っています。『ID-0』は人の精神が移動すること、そしてオリハルトがすべてのドラマに共通して関わっている。これがないと成立しないとぐらいの立脚点からドラマを構築していきました。普段とは逆の方法ですね。そういった意味でサイエンスフィクション作品という言葉を使いました。だから見た目ではなく、僕の中の作り方の問題なんです。

――そうした作り方での手応えはいかがでしたか?

黒田
こういう作品をやらせてもらう機会はあまりなかったので、10年間ぐらい溜めていた引き出しをゆっくりゆっくり開けていきましたね。そしてそれは総じて楽しかったです。谷口監督とアイデアを揉み合うのも、それこそ『リヴァイアス』や『スクライド』と同じでぶつかり稽古のようにやらせてもらいました。それに、白土さんがいてくれたおかげで、サイエンスフィクションの科学考証についてはだいぶ助けてもらいましたね。「こんなことはできますか?」と相談しながら作っていけたので、安心して書くことができました。自分の中で至らない専門用語などをフォローしてもらえてよかったです。むしろ白土さんがいるので「ここは適当に意味だけ通じればいいかな」と(笑)。「こういう感じのいい言葉はないですかね?」と質問をしたり「こういう作戦は科学的に問題ないですかね?」と相談したり。同じように監督のアイデアも白土さんに一回見てもらってから進んでいきました。白土さんの素晴らしいところは「できません」ではなく「こうやった方がいいです」と能動的に作品に関わってくれる点ですね。そういう意味でも安心して相談できました。僕も監督も白土さんとは何作も一緒にやっていますから、阿吽の呼吸で作ることができました。ポスターには谷口悟朗×黒田洋介×サンジゲンと書いてありますが、白土晴一と加えても構わないぐらいの仕事をしてくれました。本当に感謝しています。


谷口
私としてもSFを堂々とやれる機会は、このご時世ではそうそうないですから。SFがやれるというだけで大喜びでした。でも白土さんこそSF界のど真ん中を歩いてきた人だから、彼のような人がいないと怖くてできない部分もありますね。

――谷口監督にとってSFを作る楽しさはどんなところにありますか?

谷口
私はもともとアニメはSFに向いていると思っています。SFの定義についてはひとまず脇に置かせてくださいね(笑)。ただアニメーションはお客さんあっての商売です。最近はファンタジー的なゲーム空間を舞台にした設定が喜ばれるようになってきました。そんな状況で「SFはSFの楽しさや面白さがあるよね」と伝えたいとしても、まず企画が通りません。『ID-0』なんてSFで、しかもロボですから、もう今のご時世では絶対に企画にOKが出ないですよ。

黒田
地雷踏みまくってますよ?(笑)。

谷口
いやいや(笑)。そんな状況でも堂々とSFをやらせてもらえたのは、マーケットが日本だけで完結しないようになったからです。それによってアニメが得意だったジャンルに戻れるようになった。それに日本でも今の時期、『正解するカド』であったり『BLAME!』だったりと、奇しくも全部3Dアニメですが、そういったSF作品を作れる環境が再び整ってきています。その大きな流れの中に『ID-0』も乗ることができたのは良かったです。

黒田
日本だけをターゲットにした企画であれば、こういったストーリーは書かなかったと思います。ロボットも兵器寄りに作らざるを得なくなっていたでしょう。『ID-0』ではロボットをキャラクターとして捕らえています。少なくともシナリオの段階では大きい人間がいるぐらいの気持ちで書いていました。腕が千切れても痛くない少し特殊なキャラクターとして書いていましたね。だから海老川(兼武)さんはメカニックデザインではなく、「メカニックキャラクターデザイン」としてクレジットされているんです。ここはこだわりたい部分でした。キャラクターをデザインしてくれたんです。ロボットもののジャンルなのかもしれませんが、自分としてはそういったカテゴライズではないと思いながら書いていました。


谷口
海老川さんの仕事には感謝しています。デザインにあたっては脊髄や骨格が人間と同じというお題を出しました。このお題が厳しいことは分かっているんですよ。ロボットとしてサマになる骨格の作り方は人間と微妙に違ってきますからね。そのバランスを取ったうえで、なおかつ大量生産可能でワンオフのものではないデザインをきちんと上手くまとめてくれました。各キャラクター性も出せるようになっていて、非常にありがたかったですね。

■谷口・黒田の対照的な人間観はクリエイティブをドライブさせる

――ここで、せっかくの対談企画ですので、長年のおつきあいの中だからこそ語れる、お互いに考える谷口悟朗らしさ、黒田洋介らしさについて教えていただければと思います。

黒田
僕の個人的感想ですが、谷口さんのフィルムを見ていると「谷口悟朗は人間が嫌いだよなぁ」と(笑)。

谷口
エーッ!?

黒田
ときどきものすごく冷たくなるシーンがあるんですよ。

谷口
ああ。それはたまに言われますね。

黒田
後ろから真剣で切られるような冷たい演出があるんですよ。でもそこを知ってしまうと快感に変わっていく。僕自身も何回も斬られたので、斬られ慣れてしまったのですが(笑)。

――『ID-0』でもそんなシーンがありましたか?

黒田
ありますね。初めて見る人に色眼鏡を付けてしまうので具体的なシーンを挙げるのは控えますが、少なくとも2ヶ所ぐらいあります。

谷口
それは私が高畑勲さんや高橋良輔さんが好きだからかもしれませんね(笑)。先輩方も人間を観察対象として見ているところがありますから。うーん、でも、なんだろう。私が黒田さんに抱いている印象は真逆なんですね。情が深すぎるから、そこまで情を出して突っ込まなくてもいいんじゃないかと思うときがあります。

黒田
恐がりなんですよ。怒られる前に優しくしておこうと。

谷口
だから情が深すぎて、入れよう入れようとしすぎてリミッターがボーンと外れる瞬間がある。でも、そこが楽しいんですよ。たぶん黒田さんは人を信用しているし、信用したいんだと思います。そういった部分に関しては、私の中にはないのかもしれない。自分ではあると思っているんだけど、みんなそう言うから(笑)。そして、黒田さんは人間やそういったものに対してどこか信じていたり、そこを縁[よすが]というか、軸に置こうとしている。そこが他の脚本家さんとも明確に違いますね。人間に対して真面目に見つめ返していると言えばいいのでしょうか。人によって捕え方が違ってきますから、それはどれが正しいとかではありません。その人なりの人生観なのかもしれないし、色々な経験があったうえで培ってきたものなのかもしれない。集団作業は多種多様な価値観のぶつかり合いであり、そこをどうまとめるかということですからね。そういう意味ではお互いが違っていて結果的によかったなと思いますね。


――そして8月29日には本作のBlu-ray BOXがリリースされます。作品を見直す際のポイントをクリエイターからの視点で教えてください。

谷口
最初はキャラクター中心に見てしまうと思うので、二回目であれば背景にも注目してほしいですね。ストゥルティー号のブリッジや通路は美術監督の金子(雄司)さんがいろいろ挑戦してくれました。サンジゲンのスタイルの良さだなと感じたのは、最初の打ち合わせから担当演出とCGのアニメーションディレクター、および3DCGスーパーバイザーの今(義和)さん、撮影監督の奥村(大輔)さんや美術監督の金子さんなど全員が揃って一気に打ち合わせができることです。だから意思疎通が一発でできたうえで色々と詰めていくことができる。そうではないと美術はチャレンジできないことも多いですからね。

――ストーリーについてもすでに知っているからこそ二度目で楽しめる部分も生まれてきますよね。

黒田
見返してもらうと第2話の冒頭の意味など、細かい部分が見えてくると思います。真実を知ったうえで見るとイドの言動が微妙に揺れている部分など、監督のおっしゃったような味わいが出てくると思います。自分としては『ID-0』は非常に密度を高くしたつもりです。1話完結を死守しつつも「情報量が多すぎてすみません」と思うぐらい詰め込んで書きました。

谷口
『ID-0』は現段階の日本において予算やスケジュール、1クールのテレビアニメという枠で考えると、かなり高いレベルにあると自負しています。映像面でのチャレンジや面白さを楽しんで頂ければありがたいですね。あとは声優さんの演技ですね。縛りはありながらも、自由にやれる演技でした。お手元にソフトを置いていただいて、ヘッドフォンで何度も繰り返し聴いていただけると、ファルザさんが何を言っているのかも分かるかもしれませんよ。あ!ブルーレイだと特典で付いてくるんだった。

◆商品情報◆
■「ID-0」Blu-ray BOX<特装限定版>&DVD BOX<特装限定版>

・発売日:2017年8月29日
・価格:
Blu-ray BOX〈特装限定版〉 36,000円(税別)
DVD BOX〈特装限定版〉 18,000円(税別
・発売、販売元:バンダイビジュアル株式会社

◆特典について◆
■Blu-ray BOX限定
・キャラソンCD「We are EXCAVATORS!!」
  歌:ミクリ・マヤ(CV.津田美波)
    クレア・ホウジョウ(CV.金元寿子)
・特製ブックレット(20P予定)
・全話オーディオコメンタリー
DISC1:DIG01~04
谷口悟朗(監督)、興津和幸(イド役)、津田美波(ミクリ・マヤ役)、松風雅也(リック・エイヤー)
DISC2:DIG05~08
谷口悟朗(監督)、黒田洋介(シリーズ構成・脚本)、興津和幸(イド役)、津田美波(ミクリ・マヤ役)
DISC3:DIG09~BRIDGE12
谷口悟朗(監督)、興津和幸(イド役)、津田美波(ミクリ・マヤ役)、子安武人(アダムス・フォルテ・シュヴァリエ役)
・ファルザの日本語翻訳音声(声:小澤亜李)

■Blu-ray BOX・DVD BOX共通
【仕様】
・メカニックキャラクーデザイン海老川兼武描き下ろしBOXイラスト
【特典】
・PV&CM集
・ノンクレジットOP&ED
・ぷちアニメ劇場『クイズ!! ID-0』全12回

※特装限定版は予告なく生産を終了する場合がございます。
※特典・仕様は予告なく変更になる場合がございます。

[配信情報]
Netflixで独占配信中:http://www.netflix.com/jp/
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